野菜不足の現代人に 驚異のベジタブルパワー

果菜

「医者いらず」の緑黄色野菜

トマト

[主な栄養素](可食部100g中の含量)カロテン…540μg
ビタミンC…15mg
ビタミンB1…0.05mg
カリウム…210mg

西洋では、『トマトが赤くなると医者が青くなる』ということわざがあるように、トマトは栄養価に満ちた野菜で、ベータカロテンが豊富に含まれていることから緑黄色野菜の一つに数えられています。

トマトは南米が原産。初めて日本に渡来したのが17世紀頃といわれ当時は主に鑑賞用として栽培されていたようです。明治以降に食用として用いられるようになり、洋食化の進展の中で、トマトケチャップの普及とともに広まって行きました。

トマトの赤い色は、リコピンというカロチノイド系の色素で、近年では抗酸化物質として注目を集めてきており、生活習慣病や老化促進などの原因となる活性酸素を取り除く働きがあります。リコピンの抗酸化力はベータカロテンの抗酸化力を遥かに上回っています。

またトマトにはビタミンCが豊富に含まれており、トマト1個で1日所要量の約半分のビタミンCが摂取できるともいわれています。中でも日光をたくさん浴びて熟したトマトは、うま味成分のグルタミン酸などのアミノ酸が多く含まれ、果物のような美味しさがあり、ビタミンCの含有量も増えています。さらにビタミンCはコラーゲンの形成に役立ち細胞を活性化させ、骨や歯、血管を丈夫にする働きがあります。

トマトの酸味は胃液の分泌を促しタンパク質などの消化を助けます。またカリウムも含んでいるので、体内の余分な塩分を排泄し、高血圧の予防に効果があるほか、ビタミンB6が血液を浄化してくれます。トマトは生で食べることが多く、効率良く栄養素を摂取できるのがメリットでもありますが、加熱しても安定した効果が得られるのも特徴でパスタや煮込みなどにトマトをたくさん使用するイタリア料理は栄養的にも優れているといわれています。

トマトについては昨今、さまざまな加工食品がありますが、トマト自身が熱処理に強いため、いずれも生に近い栄養価を有しています。ただトマトジュースに関しては、塩分が多く含まれているものが多いので、塩分制限をしている高血圧症の人などは注意が必要です。

豊富なカロテン

かぼちゃ

[主な栄養素](可食部100g中の含量)西洋かぼちゃ
カロテン…4000μg
ビタミンC…43mg
ビタミンE…5.1mg

かぼちゃが日本に渡来したのは、今から約450年ほど前で、カンボジアから入ってきたため、カンボジアがなまってカボチャになったともいわれています。かぼちゃには西洋かぼちゃと日本かぼちゃがあり、栄養価的には西洋かぼちゃの方が優れているようです。

かぼちゃはベータカロテンを豊富に含んでいるほか、ビタミンCやビタミンE、ビタミンB1、ビタミンB2、カルシウムなども含んでいます。

ベータカロテンは粘膜を丈夫にするため、かぜに対する抵抗力をつける効果、目の疲れを癒す働きなどがあり、体の抵抗力を高めて病気にかかりにくくする効果があります。

またベータカロテンの抗酸化作用によって、活性酸素を除去し、ガン細胞の発生を防ぐとともに、免疫機能を高めてくれます。

豊富に含んだビタミンCは体内で発ガン物質が作られるのを防ぐ働きを担っています。このほか、野菜の中でもビタミンEの含有量はトップクラスを誇り、ガンの原因となる過酸化脂質の増加を防ぐとともに、血流改善や冷え性の改善、さらには肌荒れの予防などに働きます。

また食物繊維も多く含んでいるので、便秘の予防にも有効とされています。

かぼちゃには、ほどよい甘味があるので、調理の際には砂糖を控えめにして、かぼちゃの持つ本来の甘味を生かすとよいでしょう。

私たちはかぼちゃの果肉を食することが一般的ですが、わたや種子の部分にも栄養価があります。

わたには、果肉の5倍のベータカロテンが含まれており、できる限り、わたの部分を取り除かずに料理に生かしたいものです。

また、かぼちゃの種子にはリノール酸が多く含まれており、動脈硬化の予防に効果があります。あぶって殻を割って食べるとよいでしょう。

なお西洋かぼちゃは、炭水化物や糖質が多いので、カロリー制限している人は、食べ過ぎや油の摂り過ぎなどに注意が必要です。

カロテンやビタミンCたっぷり

ピーマン

[主な栄養素](可食部100g中の含量)カロテン…400μg
ビタミンC…76mg
カリウム…190mg

ピーマンは唐辛子の一種で甘味型に属する栄養価抜群の緑黄色野菜です。フランス語でこの野菜のことをピマンと呼ぶことから、ピーマンと名づけられました。

ピーマンには、ベータカロテンとビタミンCがたっぷり含まれており100g中にカロテンを400μg、ビタミンCを76mg含有。一般的にビタミンCは熱に壊れやすいとされていますが、ピーマンの場合は果肉が厚く、しっかりとした組織に守られているので、加熱しても壊れにくいのが大きな特徴です。

ビタミンCは活性酸素の発生を予防してガンの発生を防いだり、かぜや夏バテの予防、疲労回復、肌のトラブル防止などに働きます。

このほかピーマンには、ビタミンCの吸収を助け毛細血管を丈夫にするビタミンP、血液中のコレステロールを浄化する葉緑素なども含んでいます。

ピーマンは生で食べるのが最適といわれていますが、風味の問題などから生のままたくさん食べるのは困難。そこで前述したように熱に強いというピーマンの特性が生きてきます。加熱してもビタミンCが失われないだけでなく、かさが減ってたくさん食べることが可能になるので、焼いたり煮たりと、さまざまな用い方ができます。またベータカロテンは脂溶性なので、油で調理するとカロテンの吸収率が高まります。

味や臭いを嫌がる子供には、細かく刻んで、ピーマンが入っているのがわからないように他の具材と混ぜたり、あるいはハンバーグやオムライスなどの中身が見えない料理に使うとよいでしょう。

ピーマンには緑のピーマンと赤のピーマンがありますが、緑のものが完熟した赤ピーマンは緑ピーマンに比べて栄養価が高く、肉厚で甘味があります。

野菜の色の違いをご紹介

野菜の色は大きく赤色、黄色、緑色、紫色、白色の5色に分けられます。それぞれの色を代表する野菜と特徴を見ていきましょう。

<赤色系>

  • 代表的な野菜
    リコペンを含むトマト、スイカなど
    カプサイシンを含むパプリカ、とうがらしなど
  • 特徴
    リコぺンや、カプサイシンといった色素成分によって赤色になります。

<黄色系>

  • 代表的な野菜
    カロテンを含むニンジン、かぼちゃなどの緑黄色野菜
    フラボノイドを含む玉ねぎ、レモンなど
    ルテインを含むとうもろこし、かぼちゃなど
  • 特徴
    リカロテン、フラボノイド、ルテインなどの色素成分によって黄色になります。

<緑色系>

  • 代表的な野菜
    ほうれん草やブロッコリーなどの葉物野菜
  • 特徴
    葉緑素クロロフィルによって緑色になります。

<紫色系>

  • 代表的な野菜
    なす(皮)、赤しそ、紫キャベツなど
  • 特徴
    ポリフェノールの一種アントシアニンによって紫色になります。

<白色系>

  • 代表的な野菜
    イソチオシアネートを含む大根、キャベツなど
    硫化アリルを含むねぎ、にんにくなど
  • 特徴
    白色系の野菜は、土の中で育つものが多い傾向にあります。

バランスよくたくさんの色の野菜を摂る方法

健康的な身体づくりを目指すなら、毎日たっぷり野菜を摂りたいもの。先ほど紹介した5色の野菜を各色まんべんなく摂るようにすれば、栄養を偏りなく摂取できます。市販のお弁当を買うときやサラダバーなどを利用する際も、野菜の色に注目して選ぶとよいでしょう。またブレンダーを使って野菜スープやスムージーにしたり、電子レンジで蒸し野菜にしたりすれば、時短になるうえ、たくさんの野菜を一度に摂りやすくなります。もっと簡単に野菜の栄養を摂りたいときは、サプリメントや粉末状のものを利用してもよいでしょう。

老化や生活習慣病などを予防するには、1日の摂取量を目安に毎日色とりどりの野菜を摂ることが大事です。野菜の色を意識して摂るようにすれば、バランスよくファイトケミカルスを摂取できますよ。












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