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きみは21世紀にむかって生き残れるか? 一九八〇年代の後半から二十一世紀にか

  1. きみは21世紀にむかって生き残れるか?

一九八〇年代の後半から二十一世紀にかけて、世界はおどろくべき変割をとげる。それは想像を絶するおどろくべき変観である。

ひとはだれでも、昨日のつづきが今日であり、今日のつづきに明日があると思う。それは変ることなく永遠につづくものと思っている。

いままではその通りであった。しかし、これからはちがう。

昨日と今日の間に深い配層が口をあけ、今日と明日の間に越えがたい亀裂が走る。

どうしてそうなるのか?

まず、すさまじい勢いで食いつぶされてゆく地球資源の問題がある。これが全地球的な規模で、深刻な経済摩擦と産業構造の変動をひき起こす。国家間の対立抗争が高まり、これに人種問題と宗教問題がからんだとき、世界はいっきょにカタストロフィーに突入するだろう。

つぎに、目をみはるようなスピードですすんでゆく科学と技術――ことに電子機器の進歩である。これは社会にはなはだしい格差と段落を生ずる。多くのひとびとが、適応できずに落伍してゆく。能力による階級差が増大するのである。適応したかに見える者のなかにも、 人間性を喪失し、人格崩壊から犯罪、あるいは底辺社会へ転落してゆくものが続出する。国かくろ だんらく

も社会もその負担にたえきれず、破産のおそれが出てくるだろう。 端的に言おう。

れいてきかんせい二十一世紀は(もしもそれまでいまの世界が存続するならば) 極度に発達しておどろくべき性能を持つにいたったエレクトロニクスと、すぐれた霊的感性を持つヒトによって形成される世界である。すぐれた霊的感性の持ちぬしのみが、最高度に発達したエレクトロニクスを緊使して、この世界を維持し発展させてゆくことになるだろう。それ以外はすべて底辺社会に呻吟するしかないことになる。

高い霊的感性――霊的能力といってもよい。それは、人間を超えた高い感性と知性と徳性をそなえた存在である。機械が極度に発達した世界は、同様に、極度に発達したヒトでなければ、これを制御し統治することができないのだ。ボタン一つ押すことで全世界を爆破し、 キイを一つ引くことで値を越える脳を思うように操作することができる時代になるのであ

きみの備はできているか?

もうすでにその時代がはじまっているのである。

できるかぎり高い霊的世界に身を置き、つねに純粋な霊的バイブレーションにふれるのだ。

きみはその備をはじめなければならぬ。

習性とエレクトロニクス

ここに、シャカの成仏法によって創造された純粋な置的世界がある。ブッダの成仏法によって戻りなくすぐれた能力――霊的能力を身につける技法が、ここにある。

(「月刊アーガマ」昭和5年2月号 阿含宗出版局)

叡智とは霊性に根ざしたもので

なければならぬ

「二つ、お聞きしたいことがあります」

とK氏は言った。

「まず、先生のおっしゃる、霊性とエレクトロニクスをむすびつけるものはなんですか? 端的たんてき

に言って、なにが、エレクトロニクスと霊性をむすびつけるのか、ということです」

わたくしはうなずいた。内心、鋭い質問だなと思ったのである。この小文を読んで、すぐにこういう質問をするひとは、ごく稀れではないかと思ったのだ。あるいは、いかにも慧敏なジャー

ナリストらしい質問だといってもよいだろう。

「それは―」

とわたくしは答えた。

第一章 『ホロン革命』と『密教・超能力の秘密』の対論

 

「想です」

「なるほど、瞑想ですか」

「そうです。瞑想です。瞑想から、それははじまるのです」

氏はうなずいた。

「では、もう一つ、おうかがいします。先生は、あの文章のなかで、二十一世紀は(もしもそれまでいまの世界が存続するならば)といっておられるのですが、あれはどのように考えたらいいのでしょうか?」

「どのように、といいますと?」

「つまり、それまでこの世界はこのまま存続するのか、あるいは、存続しなくなるようなことが起きるのか、それともあれはたんなる修飾詞のようなものなのか、ということです」

わたくしは思わず微笑した。これはいよいよたいへんなインタヴューになってしまったなと思ったのである。

前にものべたように、この日の会合は、あらたまった対談というようなものではなく、食事でもしながら親交をあたためましょう、といった軽い申し合せのものだったのである。ジャーナリストの最大の要件は飽くなき好奇心だという。K氏こそ、まさに生まれながらのジャーナリストなのだろうとわたくしは思いながら、答えた。

7

―――叡智とは置性に様に根ざしたものでなければいばならぬ

「あれは決してたんなる修飾詞などではありません。二十一世紀を考えるとき、必然的にあの言葉を添えなければならない危機感があるわけです」

「車直にいって、世紀末になると、いつの時代でも、終末観や破滅思想があらわれて、警告を発するものですが、先生の場合はいかがですか? やはりそういった警告の一種ですか? それと

も、それ以上のものなのですか?」

「それ以上のものですね。警告と救済は宗教の任務であり、使命ともいうべきものですが、しかし、この場合、たんなる警告ではありません。わたくしはいま、危機感と申しましたが、危機感どころではない、恐描感すら感じています。この世界の存続に対して、わたくしは非常な恐れを感じております。人類は遂に二十一世紀を迎えることができないのではないか、そういった危機橋を越えて、時には絶望感すら、わたくしは感ずることがあります」

「たしかに、現代は、だれでも危機感に襲われないものはないといっていい。核の問題、環境破増の問題、エネルギーの問題、人口増加と食糧の問題、また、いつ襲ってくるかわからない天災変がある。どれ一つをとってみても、人類に致命的な打撃をあたえないものはない。しかし、 一方、これだけ高度の文明を築き上げてきた人類がこのまま滅亡してしまうとは考えられない。 これまで、人類の戦智は、何回もの危機を乗り越えてきた。そしていま、人類はその叡智を結集

してこの危機を越えようとしています。現に、世界的なすぐれた知識人たちによるそういう

会食がいくつも持たれています。そういったものもすべて無力だと、先生はお考えですか?」

「いま、K先生は、人類が直面しているいくつかの問題をあげられましたが、わたくしは、そう

いった一つ一つの個別的なものではなく、もっと根本的なところで、強い危機感を感じているの

です。いま、先生は、叡智を集めて、とおっしゃいました。叡智とはなんでしょうか。それはた

んなる知識の集積ではありません。また、集積した知識を応用するだけの能力でもない。それ

は、霊性に根ざしたものでなければならないのです。叡智とは霊性に根ざしたものです。その置

性を、いま人類は失ってしまっている。叡智を失った人類が、この危機を乗り越えることができ

るかどうか。いや、わたくしは、霊性を失って叡智を無くしてしまったからこそ、人類はこの危

機を招いてしまったのだと思うのです。だから、わたくしは、必然的に人類はこの危機を乗り越

えることができないと考えざるを得ないのです」

『ホロン革命』と

『密教・超能力の秘密』の対話

「やっばりそうですか」

とK氏はうなずいた。

9キロン革命』と『吉数・超能力の秘密」の対話

 

「じつは最近、ホロニック・サイエンスで有名な、アーサー・ケストラーの『ホロン革命』(工作舎)

を読んだのです。そして非常にびっくりしたのは、この世界的な科学評論家のいっていることと、すでに千年も誰に桐山先生がその著書で書いておられたということです。これにはびっくり 「しました。かれの主張は大脳生理学から出発しているのですが、それは、十年前に先生が書かれた『変身の原理』(角川文庫)、『密数・超能力の秘密』(平河出版社)とまったくおなじ視点から出発しているわけです。そして、そのテーマもおなじです。ケストラーも桐山先生もともに人類の危機、この世界の破滅を警告しており、その原因もまた、両者とも、人間の脳に原因があるといっている。ただ、その破滅から人類を救出する方法として、ケストラーは、ホロンの理論を考え、

一般ジステム論による『道』を提案した。かれは、日本語版への序で、こうのべています。 『人間の精神の進化、創造性、病理が、本書の主題である。本書はまた、人類が絶望を超えてとるべき道を、試みに提案するものである』と。

これにたいし、桐山靖雄は、自己の密教修行の体験をもとに、大脳生理学を基盤として、『変身の原理』『密教・超能力の秘密』で密教の方法を世に提案したわけです。これもまた、まさしく、人間の精神の進化、創造性、病理が主題であり、人類が絶望を超えてとるべき道」を提案したものです。この両者のちがいは、方法論が違うだけで、そのちがいは、アーサー・ケストラ ―がサイエンス・ライターであることと、桐山靖雄が宗教家であることとの、立場のちがいだけ

 

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倶利伽羅剣 ― 目覚め ―

倶利伽羅剣 ― 目覚め ―

夜の雨が、都会のアスファルトを叩いていた。
信号の赤が、水たまりに歪んで映り、まるで血のように揺れている。
青年は、廃寺の裏手に立っていた。
取り壊し予定のその寺は、もう誰も参らなくなって久しい。
だが、彼にはわかっていた――
ここに、何かが眠っている。
境内の奥、倒れかけた堂の床下に、錆びた鉄箱があった。
こじ開けると、中には一本の剣が収められていた。
柄は黒く焼け、鞘は割れ、刀身は赤黒く濁っている。
しかし、その剣には、異様な気配が宿っていた。

――動くな。
声が、青年の内側に直接響いた。
「……誰だ?」
――名は、倶利伽羅。
その瞬間、剣身に亀裂のような光が走り、
炎の形をした龍の影が浮かび上がった。
その夜、青年は逃げるように寺を出た。
だが、剣は彼の手を離れなかった。
鞘に戻しても、袋に包んでも、捨てても――
翌朝には、必ず枕元にあった。

やがて、彼の周囲に奇妙な出来事が起こり始める。
怒りに満ちた人間の言葉が、刃のように胸を刺す。
暴力が連鎖し、街の空気が濁り、
人々の心に「壊したい」という衝動が広がっていく。
そのたび、剣が微かに震えた。
――煩悩が、溢れている。

「……だから、何だっていうんだ。」
――斬れ。
青年の手が、思わず震えた。
「人を斬れっていうのか?」
――違う。
斬るのは、人ではない。
人を縛るものだ。

数日後、青年は、かつての親友と再会した。
その友は、成功と裏切りと憎悪の渦に巻き込まれ、
他人を踏み台にしてのし上がり、
今では暴力団の金庫番として闇に沈んでいた。
再会は、罵倒と脅迫で終わった。
「お前みたいな奴はな、
どんな正義面しても、結局は弱いままだ。」
その言葉が、青年の心を深く刺した。

怒りが湧き、憎しみが燃え、
胸の奥で、何かが壊れそうになった。
その瞬間――
剣が、熱を帯びた。
――今だ。
青年は、初めて剣を抜いた。
鞘から離れた瞬間、
刀身は炎に包まれ、龍が剣に巻きつくように現れた。
それは、ただの幻ではなかった。
現実が、剣の形に引き裂かれた。
剣は、友の胸に向かって振り下ろされた――
ように見えた。
だが、刃は肉を斬らなかった。
代わりに、
友の背後にまとわりついていた黒い影――
怨嗟、嫉妬、恐怖、執着、支配欲――
それらが、炎の龍に噛み砕かれ、焼き尽くされた。

友は、その場に崩れ落ち、泣いた。
子どものように、声を上げて泣いた。
「……苦しかった。
ずっと、誰かに勝たなきゃ、
誰かを踏まなきゃ、生きていけないと思ってた……」
青年の手は、震えていた。
だが、剣は静かだった。
――それが、救いだ。

その夜、夢の中で、青年は炎の海に立っていた。
炎の中央に、ひとりの存在がいた。
低く、力強く、動かぬ姿。
天地眼の怒りの相。
剣と羂索を手にした、童子の姿。
――不動明王。
「……あなたが、この剣の主ですか。」
――主ではない。
我は、この剣そのものだ。

不動明王は、ゆっくりと青年を見下ろした。
――倶利伽羅とは、
怒りが智慧へと転じた姿。
破壊が、再生へと転じた形。
お前の心が、怒りに飲まれるなら、
この剣は、ただの凶器に戻る。
だが――
怒りを、慈悲へと変えられるなら、
この剣は、仏の手となる。
「……俺に、そんな資格があるんですか。」
――資格は、覚悟だ。
不動明王の声は、雷のように響いた。
――逃げるな。
――壊れるな。
――立て。
――斬れ。
――救え。
その言葉とともに、炎が青年の胸に流れ込んだ。

目覚めると、剣は静かに、枕元に置かれていた。
だが、もう以前とは違った。
刀身は澄み、赤黒い濁りは消え、
炎の龍は、剣の中で眠るように息づいている。
青年は、剣を手に取った。
「……倶利伽羅。」
――我は、お前の怒り。
――だが、お前の慈悲でもある。
それが、この剣の最初の言葉であり、
彼の修行の始まりだった。

その日から、青年は街を歩く。
剣を振るうためではない。
心を斬るために。
壊すためではない。
生かすために。
炎は、まだ燃えている。
だがそれは、滅びの火ではない。
それは――
目覚めの火だった。

 

不動明王

不動明王

梵名はアールヤアチャラナータビジャヤラージ +(Aryacalanärha vijayaraja)といい、正式には型不動威怒明王と呼びます。

諸仏は、つねにさまざまな手段をとって、わたしたち衆生をさとりの道へ歩ませようとします。

しかし、なかには、やさしさだけの慈悲では心を変えない、強情な衆生もいます。

こうした尋常な方法ではとうてい救済できないかたくなな衆生に対して、大日如来は叱りつけるという慈悲のかたちをとって教え導きます。このとき、大日如来は不動明王に変化し、忿怒の相をもってあらわれます。この忿怒は実は慈悲のきわみなのです。

四年生まれの守り本尊とされています。

不動明王真言

なうまくさまんだばざらだんせろしゃだそわたやうんたらたか