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福の源は徳
The Source of Blessing Is Virtue

夕映えが揺れる 山の僧坊で
胸の影をそっと 風がなでてゆく
報われぬ日々の 理由を探して
若き心はまだ 答えを知らない

Namosattanan
sanmyaksanmodaktinan
taniyata
on shaley shurei juntei
sowaka

福は徳の種が 芽吹くとき訪れる
冷たい土の下で 静かに息づいて
求めるだけじゃ なにも始まらない
今日からまこう 無限へ続く種を
Namosattanan
sanmyaksanmodaktinan
taniyata
on shaley shurei juntei
sowaka

In the mountain hermitage
where the evening light sways,
a gentle wind brushes
the shadows in his chest.
Seeking the reason
why effort brings no reward,
the young heart still
knows no answer.

Namosattanan
sanmyaksanmodaktinan
taniyata
on shaley shurei juntei
sowaka

Blessing arrives
when the seeds of virtue sprout—
breathing quietly
beneath the cold, dark earth.
Nothing begins
by merely wishing for gain;
so from today, let us sow
the seeds that lead to the infinite.

Namosattanan
sanmyaksanmodaktinan
taniyata
on shaley shurei juntei
sowaka

福の源は徳 ― 三善根の教え  山の僧坊に、夕映えがしずかに

福の源は徳 ― 三善根の教え

 山の僧坊に、夕映えがしずかに差し込んでいた。
青年・透真は、師である慧然の前に座していた。胸の奥に長く沈んでいた疑い――「なぜ努力しても報われないことがあるのか」という問いを、今日こそ確かめようと決めていた。

「師よ……人は誰しも幸せを願います。しかし、望めば必ず得られるわけではありません。努力して、もがいて、それでも福は訪れない。そこには何の法則があるのでしょう?」

 透真の声には、焦りと諦めの影が色濃く滲んでいた。

 慧然は湯呑みを置き、夕暮れの光に染まる庭へ目を向けた。

「透真。経文には『関尽す可からず』とある。極め尽くすことができない――すなわち、広大・無限という意味じゃ」

「無限……?」

「そうだ。広大なものは、すぐには満ちない。逆に狭い器はすぐにいっぱいになる。福もまた同じだ。器――すなわち、徳が小さければ、与えられる福もすぐに尽きる。しかし徳が広大であれば、その福もまた限りなく生じてゆく」

 透真は眉を寄せた。
福と徳。聞き慣れたようで、深すぎてつかみきれない言葉たち。

慧然は続けた。

「経にはこうある――『三善根(=三福道)有り、窮尽す可からずして、漸く涅槃界に至る』。つまり、三つの善根を修すれば、無限の功徳が生じ、涅槃へ至る、と」

「三善根……三福道……それは何ですか?」

 師は指を一本ずつ立てながら静かに告げた。

「第一に、如来のみもとで功徳を種えること。
第二に、正法において功徳を種えること。
第三に、聖衆において功徳を補うこと。
――これが三善根だ」

 透真は思わず息を呑んだ。

「……功徳 を積む ではなく、種える、ですか?」

「そこが大事なのだよ」

 慧然は微笑んだ。その微笑みの奥には千年の森のような静深さがあった。

「人はよく『徳を積めば福が得られる』などと言う。しかしな、もともと無限の徳など持って生まれる者はいないのだ。最初の最初は――種まきから始めねばならぬ」

 透真の胸に、ふっと風が吹き抜けるような感覚が走った。

「師よ……では、努力しても報われぬのは……」

「徳が少ないからだ」

 その言葉は厳しかった。しかし、不思議と痛くはなかった。むしろ、透真がずっと求めていた“理由”が、ようやく地に落ちて形を得たかのようだった。

「福が薄いから徳が少ないのではない。徳が薄いから福が少ないのだ。
徳がないところに、福は決して宿らぬ。
だからこそ、如来は教えた――
『三善根という、出世間の福を生む三つの道がある』と」

 夕陽が山の端に沈み、僧坊に静かな闇が満ちてくる。

「透真。もし幸せを望むなら、福を求めるだけでは何も得られぬ。
まずは徳を――功徳の“種”をまくのだ。
如来のみもとに。
正法のなかに。
そして善き友、聖衆のもとに」

 その言葉は、透真の胸の奥のもっと深いところ――日々の焦燥と孤独が沈んでいた暗がりへ、暖かく染み込んでいった。

「……私は、種をまいていなかったのですね……」

「人は皆、そこから始めるのだよ」

 慧然は立ち上がり、灯された行灯に手をかざした。

「さあ透真。今日から、お前の“種まき”が始まる。
徳を育てるとは、心の畑を耕すということだ。
今夜の風は少し冷たいが……良い種は、冷たい土にも必ず根を張るものだ」

 透真は深く頷いた。
その頷きには、初めて得た確信の光が宿っていた。

如来の所に咲く光
Light That Blooms in the Realm of the Tathāgata

夕暮れの塔頭 茶の香が揺れて
胸の影をそっと照らすように
求め続けた答えは 遠くになく
静かに開く 心の底の一点に

Namosattanan
sanmyaksanmodaktinan
taniyata
on shaley shurei juntei
sowaka

如来はここに 触れた瞬間に咲く光
功徳は胸の 迷いを断つための証
外を探さず 今を見つめるたびに
仏の種が そっと息づき始める

Namosattanan
sanmyaksanmodaktinan
taniyata
on shaley shurei juntei
sowaka

In the twilight temple, tea-scent softly sways,
A gentle glow that lifts the shadows in my chest.
The answer I had sought was never far away—
It opens quietly in the deepest point of heart.

Namosattanan
sanmyaksanmodaktinan
taniyata
on shaley shurei juntei
sowaka

Here the Tathāgata—light blooms the moment we touch,
Merit becomes the proof that cuts through wandering doubt.
No need to search the world; when I look into “now,”
The Buddha-seed within begins to softly breathe.

Namosattanan
sanmyaksanmodaktinan
taniyata
on shaley shurei juntei
sowaka

 

丘の愛  Hill of Love

 

夜風に揺れるショーウィンドウの影
笑顔の奥で ひとり震えている
手に入れた恋はどれも浅いまま
名前のない孤独だけがそばにいた

 

愛が買えるなら
この涙の理由を聞いて
愛が買えるなら
隠しきれない孤独を見つけて
もう嘘なんてつかなくていいように
ただ ありのままを 抱きしめてほしい

Shadows in the window sway beneath the night breeze
Smiles on my lips, but inside I’m trembling alone
Every love I held was shallow, fading far too soon
Only nameless loneliness stayed close to me

If love could be bought
Would you listen to the reason for these tears?
If love could be bought
Would you find the loneliness I try to hide?
So I won’t have to live behind another lie
Just hold me close, just as I am tonight