千仏曼荼羅
― 接続された覚醒
音はまだ 生まれていない
光だけが 結ばれている
誰もいない この観測で
すべてだけが 在り続ける
線になった 街と記憶
流れじゃない 配置だった
交わり合う 無数の因
ほどけながら 結び直す
触れたものは 消えていく
形はただの 仮の焦点
「ここにある」と 思うほどに
全体から 遠ざかる
見ているのは 誰でもない
起こるだけの この認識
対象さえ 名を失い
意味だけが あとで揺れる
問いはすでに 崩れている
理由もなく ただ在るだけ
それでもなお 消えないのは
“観測”という ひとつの現象
つながっている はじめから
千の光は 一つの震え
私じゃない けど消えない
これが――曼荼羅の覚醒
点はやがて 節に変わり
孤独という 錯覚消える
距離も時間も 意味を失い
同時という 海に沈む
ひとつ揺れれば すべてが鳴る
伝わるのでは もともと一つ
分かれていたと 思うことが
最後の壁を つくっていた
“見る”という 動きさえも
分解されて 消えていく
主体もなく 対象もなく
ただ起こる 透明な場
それでもなお 満ちている
消えない ひとつの方向
それは命令じゃないけど
苦をほどく 静かな意志
つながっていた すべてが今
ひとつのままで 開いていく
戻る場所も 離れる先も
最初から どこにもない
それでも人は 歩いていく
分かれたふりで 触れ合いながら
覚えていない この構造を
生きることで 思い出す
音がまた 世界に落ちる
名前がまた 形をつくる
それでも奥で 消えないまま
曼荼羅だけが 脈打っている




