
霊性完成の到達点は、カルマからの超越である。
カルマとはなにか? いうならば、地球における引力のようなものである。
地球上に存在するものすべて、地球引力の支配下にある。いかなるものも、引力から逃れることはできない。いや、地球という存在そのものが、引力によって成り立っているのである。人間におけるカルマもそのとおりである。人はすべて、輪廻のカルマの絶対的な規制を受けている。このカルマから、もろもろの「因縁」が生じて、人間を繋縛しているのである。いや、カルマと因縁によっけばて、人間が成立しているのだ。このカルマと因縁の緊縛から完全に解説したときが、霊性の完成である。いうならば引力からの脱出である。反重力の修行なっだ。その修行によって自分の存在の次元が変わるのである。
存在とはなにか? それは究極のところ『波動”である。『自分』という波動 ・を変えてしまうのだ。それにより『カルマ”という波動を越えてしまうのである。
人間という存在の波動を変える原点は、間脳の視床下部にある。ここの波動を変えることにより、全身の波動が変わり、特殊な精神波動と肉体波動を持つ存在になる。それは、カルマの規制を受けない、ふつうの人間とはまた異なった、高オーラ殊な「霊光」が発生するようになる。この特殊なオーラの発生は、全身の波動が
高度な霊的存在とよぶよりほかない存在となるのである。これが成就すると、特オーラ変化したことを示すのである。オーラについてはまたあとでのべるが、このオーラの発光源は間脳なのである。瞑想だけでは、以上のような次元の変化”は不可能である。もちろん、心の安定、集中、まったく新しい高い次元へのメディテイト等、瞑想はこの修行に絶対必要なものである。しかし、それはひとつの手段にすぎない。瞑想は、大脳辺縁系と新皮質脳しか動かすことができない。だから瞑想だけではだめなのである。間脳をはたらかす瞑想でなければ、オーラは発生しない。したがって、カルマを越えることはできないのである。
霧がかった早朝、トシは山奥の小屋の中で静かに座っていた。窓の外には、森を覆う朝靄が揺らめいている。彼の意識は深く内側に向かい、まるで目には見えぬ重力に引かれるように、心の中の因縁とカルマの束縛を感じ取っていた。
「すべては、この見えぬ糸に縛られている……」
トシの心の声が囁く。輪廻の規則、過去の行為の因果、避けられぬ業の波動。それらが、まるで地球の重力のように彼の存在を押さえつけているのを、彼は身体の奥底で感じていた。
しかし、彼は諦めなかった。師から伝えられた修行法は、単なる呼吸や瞑想ではなく、間脳の奥底にまで波動を巡らせる特殊な道であった。視床下部に意識を集中させ、体内の全ての波動を整える――そのとき、彼の胸の奥で微かな光が宿るのを感じた。
光はやがて全身に広がり、身体の境界を超えて周囲の空気までも微かに振動させる。トシは悟った。これこそ、カルマの束縛から解き放たれ覚だ。過去の重荷、未來への不安、すべてが静かに溶け、魂の波動は自由に震え始める。
「これが、霊性完成……」
彼は小さく呟きながら、間脳から発せられる光と波動に全身を委ねた。今、彼はもはや従来の人間ではない。カルマを超越した高次の存在として、この世に立っていた。外界の重力を超えるように、魂は軽やかに、しかし確かに確固たる軌道を描いていた。
瞑想だけでは届かない世界。波動の変容、間脳の奥底から発せられる光の流れ。それらを経て、トシは初めて、自らの霊性が完成したことを体感したのだった。