UA-135459055-1

Mac

恵果、空海を見抜く ―― 言葉より先に法が交わる瞬間

 

青龍寺の朝は、まだ人を選ばない。
鐘が鳴る前、
境内は静まり、
露が石に残っている。
空海は、門前に立っていた。
名を告げる使者はいない。
紹介状もない。
ただ、歩いて来ただけの僧。
それでも、
足が止まらなかった。
恵果の朝
恵果は、すでに坐していた。
瞑想でも、休息でもない。
ただ、そこに在る。
弟子たちが出入りし、
経を整え、
声を潜めて動く。
その流れの中で、
恵果の眉が、
わずかに動いた。
理由は、分からない。
だが、
空気が変わった。
入室
空海は、案内される。
畳の匂い。
香の残り香。
壁に掛けられた曼荼羅。
そのすべてが、
説明を拒んでいる。
恵果は、顔を上げない。
沈黙。
空海は、礼をした。
言葉を選ぼうとした――
その前に。
見抜かれる
恵果が、顔を上げた。
その眼は、
僧を見る眼ではなかった。
弟子を見る眼でもない。
異国の僧を測る眼でもない。
法が、法を見る眼。
その瞬間、
空海の胸の奥、
摩尼宝珠の位置が、
静かに震えた。
恵果は、言う。
「来たか」
それだけだった。
言葉が不要になる
空海は、息を吸う。
自己紹介も、
志も、
修行歴も、
すべてが不要だと、
身体が知っている。
恵果は続ける。
「求聞持を修したな」
問いではない。
確認でもない。
事実の宣言。
空海は、うなずく。
それ以上、何も言わない。
法が交わる
恵果は、立ち上がり、
曼荼羅の前に進む。
指で、中心を示す。
「ここだ」
その瞬間、
空海の内側で、
同じ位置が、
同時に応える。
胎蔵界。
除盖障院。
不思議慧。
説明は、なされない。
一致だけが起こる。
時間の短縮
恵果は、笑った。
「長くは要らぬ」
「お前は、
すでに半分、終えている」
それは誇りではない。
評価でもない。
事実だった。
空海は、その言葉に、
安堵も、喜びも、
感じなかった。
ただ、
ようやく合ったという感覚。
師と弟子
恵果は、初めて名を呼ぶ。
「空海」
まだ、日本でも定まらぬその名を、
まるで昔から知っていたかのように。
「ここに留まれ」
「急ぐ」
「だが、
すべてを渡す」
その言葉が、
未来を決める。
言葉の後
その日、
多くの説明がなされた。
真言。
印。
灌頂。
だが、
本当の伝授は、
最初の沈黙で終わっていた。
法は、
言葉より先に交わった。
だからこそ、
すべてが、
間に合った。
空海は、夜、ひとり坐す。
思う。
――師とは、
――探す者ではなかった。
――見抜く者だった。
そして同時に。
――弟子とは、
――選ばれる者ではない。
――すでに来ている者なのだ。

令和8年1月1日(木)正午より、阿含宗総本殿にて「開運 阿含の初護摩」がお焚き上げされ、本部・各道場へ中継されます。
また、「北見サテライト」ではサテライト・ライブビューイングを行います。

各道場へご参拝の皆様に「一粒萬倍」福銭と家門の災難除けお守りをお授けいたします。
どうぞ、周りの方もお誘い合わせの上ご参拝し、一年の福運を頂きましょう。

道場にお越しになれない方は、ライブ配信でご覧ください。
■ライブ配信 1/1(木) 12:00〜
https://agon-live.com/hg26
※再配信:当日18時から4日18時まで

[お知らせ]

●本部では1/1中継終了後に新春大梵行(三千円〜一万円の初護摩札整理修行)を行います。
大変縁起の良い梵行です。どうぞご家族揃ってご参加ください。
(各地区の初護摩札整理修行については、各道場行事予定を参照するか、電話でお問い合わせください)

●2/8(日)第53回 阿含の星まつりまで、残り約1ヶ月半なりました。
現在、各地区で星まつり護摩札と護摩木を受付中です。
また、1/18(日)開祖生誕祭へ向けた「開祖御威光顕耀・法恩感謝」「霊性顕現 修行順調」護摩木2本セット
を受け付けております。(1セット二千円以上お申し込みで聖菩提樹祈願札を1枚お渡し)
ご参拝の際は、どうぞ護摩木コーナーにお立ち寄りください。

それでは皆様のご参拝お待ちしております。合掌
———————————————–
阿含宗 北海道本部
住所:札幌市厚別区厚別中央3−3
TEL:(011)892

空海   百日目 ―― 求聞持が身体を変え始める

When the Gumonjihō Begins to Change the Body

 

 

百日目の朝 色は変わらず
山は黙って 影を落とす
ただひとつ 違っていたのは
この身が 先に目を覚ましたこと

Noubou Akyashakarabaya Onarikya Mariborisowaka

नौबौ अक्यशाकरबया ओनारिक्य मरिबोरिसोवाक

唱えなくても 息が法になる
探さなくても 珠はここにある
奇跡はいらない 覆いが消えれば
人はただ 人に還ってゆく

Noubou Akyashakarabaya Onarikya Mariborisowaka

नौबौ अक्यशाकरबया ओनारिक्य मरिबोरिसोवाक

 

 

The morning of the hundredth day
wore no special color.
The mountain cast its usual shadow.
Only this was different—
my body awakened first.
Namo Akyashagarbhaya

On Arikya Maribori Sowaka
नौबौ अक्यशाकरबया ओनारिक्य मरिबोरिसोवाक

 

the breath itself becomes the Dharma.
Without searching,
the jewel is already here.
No miracle is needed—
when the veil falls away,
a person simply returns
to being human.
Namo Akyashagarbhaya

On Arikya Maribori Sowaka
नौबौ अक्यशाकरबया ओनारिक्य मरिबोरिसोवाक

空海   百日目 ―― 求聞持が身体を変え始める

空海   百日目 ―― 求聞持が身体を変え始める

百日目の朝は、特別な色をしていなかった。
山はいつもと同じ影を落とし、
洞の前の草は夜露を抱いたまま揺れている。
鳥は鳴き、風は通り過ぎ、
世界は、何事もなかったかのように在った。
ただ、彼の身体だけが違っていた。
空海は、岩の上に坐し、
呼吸がすでに真言になっていることに気づく。
唱えようとしなくても、
息が自然に言葉を含む。
胸に力はない。
額に熱もない。
それなのに、身体の奥に、澄んだ流れがある。
身体が先に悟る
百日のあいだ、彼は数えなかった。
一日目も、十日目も、
何かが起きたという手応えはなかった。
それでも、確実に変わったことがある。
疲れない。
いや、正確には――
疲れが、溜まらない。
思考が長く続いても、
身体がそれを拒まない。
かつては、学びのあとに訪れていた鈍さが、
今は、澄んだ静けさに変わっている。
空海は悟る。
――これは、心が身体に従ったのではない。
――身体が、先に道を知ったのだ。
覆いが外れる感覚
洞の奥で、目を閉じる。
すると、思考が立ち上がる前に、
答えが、すでにそこにある。
探さない。
組み立てない。
ただ、現れる。
それは啓示でも、神通でもない。
遮りが消えただけだった。
虚空蔵の言葉が、いま、実感として蘇る。
「覚えようとするな」
覚える必要がない。
智慧は、もともと失われていなかったからだ。
摩尼宝珠の位置
百日目の夜、彼は一つの変化に気づく。
胸の奥、心臓の少し上。
そこに、静かな中心がある。
熱ではない。
光でもない。
だが、確かに、そこから
身体全体へ、何かが行き渡っている。
それは、
曼荼羅で見た摩尼宝珠の位置と、同じだった。
空海は、はじめて理解する。
――珠は、外にあったのではない。
――身体が、珠を思い出したのだ。
若さという現象
百日を越えたころ、
肌は荒れず、目は澄み、
眠りは深い。
老いが引いた、という感覚すらない。
ただ、滞りが消えた。
生命は、本来こう流れるのだと、
身体が教えてくる。
天才になる兆しはない。
だが、衰えない確信がある。
この身は、長く道を歩ける。
そのことが、何より尊い。
百日目の静かな確信
夜明け前、洞の外で、
空が薄く色づく。
空海は立ち、
世界を見渡す。
知を得るために修したのではない。
力を得るためでもない。
ただ、覆いを外すためだった。
求聞持とは、
人を超人にする法ではない。
人を、本来の人に戻す法なのだ。
百日目。
奇跡は起きなかった。
だが、
この日を境に、
彼はもう、戻れない。
身体が、
法とともに歩き始めたからだ

空海   百日目 ―― 求聞持が身体を変え始める When the Gumonjihō Begins to Change the Body

空海   百日目 ―― 求聞持が身体を変え始める

When the Gumonjihō Begins to Change the Body

 

 

百日目の朝 色は変わらず
山は黙って 影を落とす
ただひとつ 違っていたのは
この身が 先に目を覚ましたこと

Noubou Akyashakarabaya Onarikya Mariborisowaka

नौबौ अक्यशाकरबया ओनारिक्य मरिबोरिसोवाक

唱えなくても 息が法になる
探さなくても 珠はここにある
奇跡はいらない 覆いが消えれば
人はただ 人に還ってゆく

Noubou Akyashakarabaya Onarikya Mariborisowaka

नौबौ अक्यशाकरबया ओनारिक्य मरिबोरिसोवाक

 

 

The morning of the hundredth day
wore no special color.
The mountain cast its usual shadow.
Only this was different—
my body awakened first.
Namo Akyashagarbhaya

On Arikya Maribori Sowaka
नौबौ अक्यशाकरबया ओनारिक्य मरिबोरिसोवाक

 

the breath itself becomes the Dharma.
Without searching,
the jewel is already here.
No miracle is needed—
when the veil falls away,
a person simply returns
to being human.
Namo Akyashagarbhaya

On Arikya Maribori Sowaka
नौबौ अक्यशाकरबया ओनारिक्य मरिबोरिसोवाक