UA-135459055-1

Mac

密教の五つの智慧とあやまるということ

密成和尚の読む講話

第2回

密教の五つの智慧とあやまるということ

2021.01.23更新

「そういうこと」に関わりを持とうとする

前回の四無量心の調子はいかがでしょうか? 「なかなか難しかった」という方も多いのではないでしょうか。僕もそのひとりです。でも思うのですが、あまり開き直ってもいけないけれど、「そういうこと」をチャレンジしたり、目標を立てたりする事自体にも、わりと大切な意味がある、と僕は感じたりしています。
今、コロナウイルスの蔓延の中で、同じ僧侶である妻から、「今、病気平癒とか疫病のための祈祷が効かなかったら、お坊さんの存在意義ってなんなんやろうか?」とポツリとつぶやくように尋ねられたことがありました。

「僕は思うのだけど、そういうのって効いた、効かなかったということも大事だろうけれど、”言いに行くところがある”というのも大事なのかな。”お願いする場所がある”というか・・・。例えば誰かが亡くなった、不治の病を告げられた。そういうことは、あまり”言いに行くところ”がないよね。でも”なにとぞ安らかに””どうか治してあげてください”とお願いする場所や人があること自体が大切なんじゃないかな」

そんな話をしたことをふと思い出しました。つまり「そういうこと」と関わりを持とうとする事自体に意味がある。病気平癒と四無量心は、内容は違うけれど、そういった意味では、僕の中では、重なりあう部分があることです。

 

密教の智慧はトータルの総合力

僕が密教を学んでいた高野山大学のゼミの恩師が、卒業後に教えてくださったことですが、海外の学術調査でムスタンを訪れた時、ある現地の高僧から、
「あなたに仏教の真理を教えあげよう」
と語りかけられ、話の続きを聞いてみると、驚くほど基礎的な仏教の智慧を、とても短く話されたことがあったという話を印象的に憶えています。
仏教には、複雑な哲学体系も、誰も知らないような専門用語も、様々な瞑想法も存在しますが、まずは基本的な思想や行動規範を、「本当に人生の中で生活の中で」活かそうとすることは、とても大事なことだと僕は思っています。
そのような中で、僕の修行している密教は「シングルイシュー(問題点や論点がひとつであること)の真理」を追い求めるというよりは、全体性、統合性を大事しながら、「トータルの総合力」を大事にする傾向があります。ですので今回は、僕も著作で繰り返し書いてきたことではありますが、密教の「五智(ごち)」というに5つの智慧についてあらためて紹介しようと思います。

 

五智を生活の中に置いてみよう

密教の五智とは、①大円鏡智(だいえんきょうち)②平等性智(びょうどうしょうち)③妙観察智(みょうかんざっち) ④成所作智(じょうしょさち) ⑤法界体性智(ほうかいたいしょうち)の5つの智慧です。
ひとつ、ひとつの意味は、様々な説明がされるところではありますが、僕なりに意味合いをお話しすると、大円鏡智は、「鏡のように一切を分け隔てなく見る智慧」です。この連載では、こういった仏教用語を<現代の生活の中で活かす>ことはできないか。ということが大きなテーマになっていますので、少しかみ砕いて、「生活の中での大円鏡智」を我流になることを恐れず、説明してみると「できる限り先入観なしに”そのまま”人や物事をみる」という風にも言えそうです。
僕達は、あらゆる対象や存在をみる時、「あの人は、ああいう人だ」とか「こういった評価を受けているものだ」と前情報をかなり用意した状態で、接します。むしろ出会う前から結論が出ているような事も少なくありません。しかしそれだけでは、逃してしまうものが多いのではないでしょうか。
もちろんいくら「そのまま観よう。先入観なしにみよう」と思っても、自然と自動的に先入観は加味されます。しかし、できる限り対象や世界を「素」で受けとろうとする。そういった「問題意識」や「努力」も生活の中での大円鏡智だと僕は思います。

 

0123-1.jpg

続いて平等性智です。平等性智は、「あらゆる対象に対して共通性、均質性、を見出す」智慧であると言われます。これはそのままでもいけそうですが、あえてもう少し生活に近づけて話してみると、「出会う人や物事に対して”同じところ””似ているところ”を見つける」などと言うことができそうです。
妙観察智は、「すべてに対して<違い>を見つける。異質的な面、区別の面」です。平等性智と対照的な智慧というわけです。これにはシンプルに、「すべてに対して”違うところ”を見つける」という視座をあたえることができます。ちなみにこの平等性智と妙観察智はあらゆる密教や仏教の智慧の中で、僕がもっとも現実的に用いてきた智慧だと思います。つまり「同じところをみつけ、違いをみつける」という動きです。
成所作智は、「実際の活動のもとになる智慧。五感の感覚的な意識が転じて得る智慧」とされます。つまりこれは、「実際の行動、活動とする智慧。”やってみる”ということ」という風に現代の中で言えると思います。
最後の法界体性智は少し宗教的になりますが、「大日如来の絶対的な智慧。統合する智慧」という意味です。真言密教において多くの場合はど真ん中に据えられる<大日如来>そのものの絶対的な智慧です。その根底には、すべてのものが元々分かれているものではなくて、統合されているという生命観がありますので、僕はそれを「全体を結びつける智慧。元々、結びついていることを知る智慧」として提案したいと思います。
つまり①そのまま見る。②共通点を探す。③違うところを見つける。④行動する。⑤全体を結びつける。という智慧です。

虚空蔵菩薩

 

 

虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)(梵名アーカーシャガルバआकाशगर्भ [Ākāśagarbha])、またはガガナガンジャगगनगञ्ज、[gaganagañja]))は、仏教における信仰対象である菩薩の一尊。「明けの明星」は虚空蔵菩薩の化身・象徴とされ、明星天子大明星天王とも呼ばれる。また、知恵の菩薩として、人々に知恵を授けるともいわれている

虚空蔵菩薩

虚空蔵菩薩

無限の智慧と慈悲の心を人々に与える菩薩

虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)とは?

虚空蔵とは宇宙のような無限の智慧と慈悲の心が収まっている蔵(貯蔵庫)を意味し、人々の願えを叶えるために蔵から取り出して智慧や記憶力、知識を与えてくれるとされています。

真言宗の開祖・弘法大師は虚空蔵菩薩の真言を100万遍唱えるという虚空蔵求聞持法(こくうぞうぐもんじほう)を行ったそうですよ。無限の記憶力がつき、仏の智慧を体得することができるといわれています。求聞持法の本尊像のほかに、増益(ぞうやく)や除災を願って行う修法の本尊である五大虚空蔵菩薩があります。これは虚空蔵菩薩の持つ智慧を5方に配し、金剛界五仏の変化した姿としたものです。

ご利益

成績向上、記憶力増進、頭脳明晰、商売繁盛、技芸向上のご利益があります。また、丑・寅年の守り本尊です。丑・寅年に生まれた人々の開運、厄除け、祈願成就を助けるといわれています。

虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)の像容

1つの顔に2本の腕を持つ、菩薩形の像です。右手に剣、左手に如意宝珠を持っているのが一般的です。五仏宝冠を戴いた坐像として表現されます。

有名寺院と像

・京都府:東寺

虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)の真言

オン・バサラ・アラタンノウ・オン・タラク・ソワカ

虚空蔵菩薩

 虚空蔵菩薩(こくうぞうぼさつ)(梵名アーカーシャガルバआकाशगर्भ [Ākāśagarbha])、またはガガナガンジャगगनगञ्ज、[gaganagañja])

 

「虚空蔵」はアーカーシャガルバ(「虚空の母胎」の意)の漢訳で、虚空蔵菩薩とは「広大な宇宙のような無限の智恵と慈悲を持った菩薩」という意味である。そのため智恵や知識、記憶といった面での利益をもたらす菩薩として信仰される。その修法「虚空蔵求聞持法」は、一定の作法に則って真言を百日間かけて百万回唱えるというもので、これを修した行者は、あらゆる経典を記憶し、理解して忘れる事がなくなるという。 胎蔵曼荼羅の虚空蔵院の主尊であり、密教でも重視される。

元々は地蔵菩薩の地蔵と虚空蔵は対になっていたと思われる。しかし虚空の空の要素は他の諸仏にとって変わられたようで、また地蔵菩薩の独自の信仰もあり、対で祀られる事はほぼ無い。

空海室戸岬の洞窟、御厨人窟に籠もって虚空蔵菩薩求聞持法を修したという伝説はよく知られており、日蓮もまた12歳の時、仏道を志すにあたって虚空蔵菩薩に21日間の祈願を行ったという。また、京都嵐山の法輪寺では、13歳になった少年少女が虚空蔵菩薩に智恵を授かりに行く「十三詣り」という行事が行われている。

像容は、右手に宝剣、左手に如意宝珠を持つものや、法界定印の掌中に五輪塔を持つもの、右手は掌を見せて下げる与願印(よがんいん)の印相とし左手に如意宝珠を持つものなどがある。三つ目の像容は求聞持法の本尊で、東京国立博物館蔵の国宝の画像はこれに当たる。

彫像の

阿閦如来

阿閦如来

物事に動じず、迷いに打ち勝つ強い心を授ける仏

阿閦如来(あしゅくにょらい)とは?

語源は「揺るぎないもの」を意味し、物事に動じず迷いに打ち勝つ強い心を授けるといわれています。阿閦如来は「大円鏡智(だいえんきょうち)」と呼ばれる智慧を具現化した仏です。「大円鏡知」は知識や経験のない純粋な心、鏡のようにありのままを映し出す清らかな心という意味を持っています

 

大円鏡智」とは、天ほどの大きな鏡(大円鏡)は、あらゆるものの影をありのままに映す、特に人の世の「煩悩」や「汚れ」に惑わされずにすべてのものを映し、照らす、この鏡のような智慧のことを「大円鏡智」といいます。この智慧は「仏」になって、はじめて得られるもののようです

ご利益

密教における大日如来の五つの智慧を表す五智如来の一尊で、薬師如来と同等と考えらました。そのため病気治癒、無病息災、滅罪の功徳があるといわれています。

阿閦如来(あしゅくにょらい)の像容

左手は衣服の端を握り、右手は指を下に伸ばす降魔印(ごうまいん)を結んでいます。これは恐怖や誘惑に打ち勝つ強い心を表しています。阿閦如来の単独の造像はほとんどありません。

有名寺院と像

・京都府:東寺
・奈良県:西大寺

阿閃如来(あしゅくにょらい)の真言

オン・アキシュビヤ・ウン