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倶利伽羅剣

倶利伽羅剣倶利迦羅剣(くりからけん)は、不動明王の立像が右手に持つ剣[1]三昧耶形では不動明王の象徴そのものであり、貪瞋痴の三毒を破る智慧の利剣である。倶利伽羅竜王が燃え盛るとなって剣に巻き付いた姿で描かれることから、この名がある[1]

倶利伽羅龍剣二童子像 奈良国立博物館蔵 重要文化財
倶利伽羅龍蒔絵経箱 奈良・當麻寺奥院蔵 国宝
倶利伽羅竜王を描いた

愛知県名古屋市にある熱田神宮は同名の刀剣を所蔵しており、別宮八剣宮神宝として『張州雑志』にも記載されている[2]1971年(昭和46年)には、愛知県の指定文化財になっている[2]

また、縦に裂いたを巻き付けるようにして竹串に刺した蒲焼を、その形から倶利伽羅剣にちなみ「倶利伽羅焼き」(くりから焼き)と呼ぶことがある[3][4]

フィクション

倶利伽羅(くりから 倶梨迦羅とも表記)は、サンスクリット「kulihah」に由来する不動明王の化身とされる竜(竜王)の名。剣(倶利伽羅剣)に絡みついた黒い竜の姿で表される。倶利伽羅竜王。

倶利伽羅(くりから 倶梨迦羅とも表記)は、サンスクリット「kulihah」に由来する不動明王の化身とされる竜王)の名。剣(倶利伽羅剣)に絡みついた黒い竜の姿で表される。倶利伽羅竜王

クンダリニー

彼の背骨の最下端、骨盤の奥深く──骨低骨と呼ばれるその場所には、知られざる神秘の門があった。そこから始まる中空の道、スシュムナー管。まるで天と地をつなぐ透明な柱のように、その管は脊柱の中を静かに走り、脳の奥深く、無意識の領域へと届いていた。

だが、スシュムナー管はただの通路ではない。その内側には「ヴァジリニー」と呼ばれる気の流れ道がさらに存在し、そしてそのまた内側には、肉眼では決して見ることのできない、クモの糸のように繊細な「チトリニ」と名づけられた気道が隠されていた。三重の道は、眠れる龍を目覚めさせるための神聖な経路だった。

この秘められた構造を用いるのが、「スシュムナー、ピンガラ、イダー」という三つの気道を活性化させる法、すなわちクンダリニー・ヨーガである。

「クンダリニー」──それは、すべての人間の内にひそむ、渦巻く生命の根源力。その力が目覚めたとき、ひとは己を超え、常人には至れぬ高次の精神領域へと旅立つ。

彼は今、静かに目を閉じ、その旅の一歩を踏み出そうとしていた。背骨の奥に、かすかな振動が生まれる──それは、長き眠りから目覚めようとするクンダリニーの前兆だった。

四神足の門を越えて——蛇火(サーペント・ファイア)の目覚め

四神足の門を越えて——蛇火(サーペント・ファイア)の目覚め

闇の中に、かすかな光が生まれた。それは深い深い、尾骶骨の底。まるで眠れる龍のように、三巻き半のとぐろを巻いていた「彼女」が、微かに動いた。

クンダリニー。

修行者・蓮真(れんしん)は、長い沈黙の座に入り、ついにその日を迎えていた。仏陀の成仏法——四神足法を、ただの理論ではなく、肉体と精神の総力をもって実践に移す、その第一歩を。

「欲」——欲神足(よくじんそく)
蓮真はまず、自らの切望に向き合った。それは、単なる肉欲や金銭欲ではない。成仏への純粋なる希求、自他を解脱せしめる大願である。欲が清浄な意志へと転じたとき、下腹部にあるスヴァーディシュターナ・チャクラが静かに回転を始めた。

つづいて、「勤」——勤神足(ごんじんそく)
この修行法は、まさに精進そのものだ。飽くなき努力と集中が、マニプーラ・チャクラに火を灯す。腹部に燃えるこの火は、あらゆる障害を焼き払い、修行の力を倍加させた。蓮真の肉体は内側から変わっていく。神経が鋭く張りつめ、生命力が脈動し始める。

そして、「心」——心神足(しんじんそく)
心の静寂と洞察力を養うことで、アナーハタ・チャクラヴィシュッダ・チャクラが共鳴を始める。これは単なる精神集中ではない。古い脳、すなわちワニのような本能の脳と、ウマのように奔る感情の脳を統御し、霊性の脳である新皮質へと意識の拠点を移すための工程だった。

ついに、第四の門——観神足(かんじんそく)
蓮真は、世界のすべてを観る「観」の境地へと至る。額のアージュニャー・チャクラから、頭頂のサハスラーラ・チャクラへと、エネルギーが昇華していく。その間、脳の間脳部、すなわち視床下部辺縁系をつなぐ神経経路が、霊的エネルギーによって新たに編み直されてゆくのだった。

ここで重要なのは、ただチャクラを開くだけでは不完全であるということ。蓮真は理解していた——統合こそが鍵であると。各チャクラは個別に力を放つが、それぞれを結ぶ回路がなければ、その力は拡散し、消えていくだけである。

「統合回路をつくれ。脳に送れ。そのすべてを、ひとつの意志に集束させるのだ。」

その教えに従い、蓮真は神経経路の再創造という未知の領域に踏み込んでいった。クンダリニーは、今や猛烈な火柱となってスシュムナー管を駆け上がる。そしてその火は、ピンガラとイダーという二つの気道にも螺旋を描いて流れ込む。サーペント・ファイア——蛇火が、ついに蓮真の中で完全に目覚めたのだ。

だが、蓮真の旅はまだ終わらない。四神足法の目的は、神通力の獲得ではない。それは、因縁を超え、生者も死者も成仏へと導く「大聖者」への道。

——五力法が待っている。

次なる試練へと向かう彼の瞳は、すでに凡夫のそれではなかった。