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仏教

交錯する二つの時代 ― 三福道の詩 The Poem of the Three Virtues

 

 

交錯する二つの時代

― 三福道の詩

The Poem of the Three Virtues

 

夜明け前の林に ひとつ息づく光
千年の静寂が 釈尊の影を抱く
因縁の闇を越え 道はひとつと告げ
未来へと続く風 悟りの名を運ぶ

Namosattanan
sanmyaksanmodaktinan
taniyata
on shaley shurei juntei
sowaka

三福の種を 今われらの胸に植え
祇園の光よ 時を越えて降りそそげ
如来に帰依し 正法に抱かれながら
いまここに生まれる 成仏の道しるべ

Namosattanan
sanmyaksanmodaktinan
taniyata
on shaley shurei juntei
sowaka

In the forest before dawn, a single breath of light is born
A thousand years of silence hold the Buddha’s gentle form
Beyond the darkness of karma, one path alone is shown
A wind that reaches future worlds carries the name of awakening

Namosattanan
sanmyaksanmodaktinan
taniyata
on shaley shurei juntei
sowaka

 

The seeds of the Three Virtues now take root within our hearts
O light of Jetavana, fall upon us across all time
Taking refuge in the Tathāgata, embraced by the Dharma’s truth
Here and now is born the guiding path toward Buddhahood

Namosattanan
sanmyaksanmodaktinan
taniyata
on shaley shurei juntei
sowaka

〈交錯する二つの時代 ― 三福道の章〉

〈交錯する二つの時代 ― 三福道の章〉

第一場 古の林にて ―

夜明け前の竹林は、しんと静まり返っていた。
風のない空気の奥で、かすかに鳥の声が揺れ、星明りがまだ空の端に留まっている。

その中心に、ひとりの比丘が坐していた。

彼の眼差しは、深い湖のように澄み切っている。
釈尊――この世でただ一人、成仏法を完全に見極めた者

その朝、弟子たちがまだ眠りにつくなか、釈尊は遠くを見つめるようにして、静かに呟いた。

「わたしが説くべき法は、ただひとつ。
七科三十七道品――成仏のための七つのシステム、三十七の修行。
これ以外に、成仏の道はない。」

言葉は淡々としていたが、その響きは林の奥底に重く落ちていった。

「この法を修する者は、正覚へ向かう。
修せぬなら、いかに善行を積もうとも、解脱の門には至れない。」

弟子アーナンダは、その言葉を胸に刻むように深く合掌した。

「師よ、なぜ人はそれほどまでに迷うのでしょうか?」

釈尊は静かに目を閉じた。

「因縁である。
生の因縁は、死後も続く。
死者の霊の苦しみもまた、因縁によって縛られている。
だからこそ――死者をも解き放つ成仏法が存在する。」

アーナンダは息を呑んだ。
その法は厳密であり、生者の成仏法を完全に体得した導師だけが修することを許されると聞いていた。

「死者は自ら修行できぬゆえ、導師がその代わりとなる。
ゆえに、成仏法を悟った者でなければ、死者の解脱を導くことはできない。」
釈尊の声音は一層静まり、竹林の闇に溶けるようだった。

その夜、アーナンダは胸の奥で一つの誓いを立てた。
――この法を、後の世まで伝えなければならない。

やがて、東の空が淡く紅に染まりはじめる。
釈尊は、かすかに微笑を浮かべた。

「明日、三福道を説こう。
善なる根を植える道は、いかなる時代にも衰えぬ。
それを聞く者たちが、どれだけ救われるか――。」

陽が昇り始め、竹林全体が光に包まれていく。
その光は、二千五百年の時を越え、未来の修行者たちへと伸び広がるかのようだった。

〈現代 ― 法堂に満ちる光〉

その同じ光が、今、現代の法堂にも射し込んでいた。

真正仏舎利を本尊とした堂内では、白い朝光がゆっくりと床を照らし、静かに坐す修行者たちの肩を温めている。

導師は、ゆっくりと口を開いた。

「われらは――
釈尊直説の成仏法を、いまここで修する者たちである。」

修行者たちの心がひとつに重なった。

「三福道を植え、
因縁を断ち、
無上の運命を創造する。
その道は、いまも清らかに続いている。」

法堂の空気が透明に震える。
まるで、祇園精舎の梵鐘の響きが時を越えて届いたかのようだった。

修行者たちはゆっくりと息を整え、胸の内で唱える。

「如来に帰依し、
正法に帰依し、
聖衆に帰依す。」

その念は静かな波紋となって広がり、
釈尊が坐した古の竹林と、いま目の前の法堂が、
一つの光の道でつながる。

――こうして、
三福道は時代を越え、
 新たな修行者の胸へと植えられていく。

必要であれば続く
「第二場 三福道説法の朝」
「第三場 因縁解脱の法門」
現代パートの連動シーン
なども執筆できます。

明星を得た者の眼

 

明星を得た者の眼 ― 世界の縁がほどけはじめる

サハスララの火が灯ってから、世界は、以前とはまったく違う相貌を見せるようになった。
外界は同じでありながら、その奥にたゆたう“気配”が、まるで薄布の向こう側の光のように見え隠れするのだ。

ある朝、私は庭に降り立った。
冬の気配が残る空気は冷たく張りつめていたが、木々は淡い陽光を受け、静かに呼吸しているように見えた。
その一瞬――私は、木々1本1本に“方向性”のようなものがあるのを感じた。

上へ伸びる枝の動き、葉が受ける光の角度、細かな風の通り道。
すべてが、互いに影響しあいながら、ひとつの円環を構成している。
──縁起の網が、視界そのものに浮かび上がっていた。

私は思わず目を閉じた。
閉じた闇の奥には、サハスララに宿る明星がかすかに瞬いていた。
その光は、脳の一点に宿るだけでなく、周囲へ広がり、世界と“共振”するように拡張していく。

そのとき、ふと気づいた。
「私」と思っていた意識の境界が、以前よりも薄くなっている。
体と外の世界の境目が曖昧で、風が肌に触れるという感覚すら、身体の外側と内側の区別があまり意味を持たない。
風が吹けば、ただ風がある。
鳥が鳴けば、ただ鳥の声が響く。

それを受け取る“私”という器は、どこか遠のき、
ただ現象が湧き、消え、流れていく場だけがそこにあった。

その日、私は町へ下りた。
人々が行き交い、車の音が鳴り響き、喫茶店から湯気が立ちのぼる。
そのすべてが複雑に絡み合いながら、一つの大きな生命のように動いていた。

交差点で立ち止まったとき、私はひとりの少女の泣き声を耳にした。
母親に叱られ、道端でしゃがみ込んでいる。
以前ならただのよくある情景として通り過ぎただろう。
しかし、そのとき私の胸には、少女の涙がまるで自分の内側に落ちてきたかのように響いた。

怒っている母親の心にも、同じように波が立っている。
父親らしき男性が遠巻きに見ているが、彼の胸にも不安と焦りの波が生じている。
そのすべてが、川の流れのようにひとつに溶け合い、
苦と苦が呼び合う一つの流れとなっていた。

私は、その流れの中で、ふと明星が瞬くのを感じた。
脳の奥から上昇してくる光の粒が、頭頂をほんのり温かく照らし、
私の胸を静けさで満たした。

そのとき、思った。
――苦は、つながっている。
そして救いもまた、つながっている。

少女に近づこうとはしなかった。
余計な介入は、また別の因果を生む。
ただ、明星の光に染められた静かな心で、その場の波が少しでも柔らかくなるようにと念じた。
すると、母親の声の荒さがほんの少し弱まったように感じられた。
少女の肩に力が戻り、男性も一歩近づいた。

ほんの小さな変化だった。
しかし、その流れの変化こそ、
“世界と私が隔てなく一つである”という、覚醒後の感覚の証のように思えた。

夕暮れ、家に戻る道すがら、
私は胸のうちで明星に問いかけた。

「この世界は、いったいどこまで変わるのか」

明星は答えなかった。
だが、頭頂の奥の光は、ひそやかな温度で告げていた。

世界が変わったのではない。
見る者の“眼”が変わったのだ、と。

梵の座に響く声 ― 内なる法の囁き

明星を得てから幾日かが過ぎた。
サハスララの火は、日ごとにその明るさと静けさを深め、脳の奥に宿る“場”は、かつて想像もできなかったほどに澄んでいった。

ある夜、私は坐に入った。
息は深く、心は波ひとつ立たぬ湖のようにおだやかだった。
視床下部の一点に意識を添えると、そこに潜む光が、まるで呼吸に合わせて花開くように広がっていく。

やがて、明星の光が頭頂の虚空へと昇りきったとき、
私は、音とも無音ともつかぬ“何か”を聞いた。

――ここに在る者よ。

その声は、耳から聞こえたのではなかった。
脳の中心から、あるいは胸の奥から、いや、身体のどこでもない“場所”から響いてくる。
私は思わず呼吸を止めた。

「誰なのだ」
問うというより、言葉が自然に漏れたのだ。

声は答えた。

――名はない。
ただ、汝の内に久しく眠っていた“声”だ。

それは、私自身の声のようでもあり、まったく異質な存在の声のようでもあった。
しかし、不思議なことに恐れはなかった。
むしろ深い懐かしさが胸に広がっていく。

――汝の苦しみも、迷いも、悲しみも、
すべてここに集まっていた。
そして今、ひとつずつほどけはじめている。

まるで、長いあいだ閉ざしていた部屋に風が通うようだった。
過去の記憶が、瞬間的に脳裏をよぎる――
怒り、後悔、恐れ、執着。
それらが光の中で形を失い、波紋のように広がっては静まり返っていった。

私は問うた。
「お前は、悟りを導く者なのか」

声はすぐには答えなかった。
しばしの沈黙ののち、次のように囁いた。

――導くのではない。
ただ照らすだけだ。
道はすでに汝の内にある。
私は、汝が忘れていた“光”の反響だ。

その瞬間、私は理解した。
この声は、外から訪れた存在ではない。
視床下部という根源の座が開き、
そこに眠る“生命そのものの意識”が、光の形をとって浮かび上がってきたのだ。

脳内の明星は、私を照らすだけではなかった。
私の中に眠る“古い声”を呼び覚まし、
自己と世界の境界を静かに溶かしはじめていた。

声はつづける。

――覚醒とは、
新しい力を得ることではない。
忘れていた自己の“中心”に立ち返ることだ。
サハスララが開いた今、
汝は“中心”の風景を見るだろう。

“中心の風景”。
その言葉が胸に落ちた瞬間、脳の奥に白い光が走った。
視界は閉じたままなのに、世界のすべてがそこに映し出されるような感覚――
時計の音、遠くを走る車の振動、部屋の壁の静けさ、
それらがひとつの巨大な呼吸のように繋がっていく。

私は、声に問いかけた。
「私は、これからどう歩めばよいのか」

そのとき、声は初めて柔らかく笑んだ気がした。

――道は歩くためにあるのではない。
気づくためにある。
汝が歩めば、道はあらわれる。
明星を忘れるな。
それが汝の“灯”となる。

光がふっと弱まり、
再び静寂が訪れた。
だが、その静寂はただの無音ではない。

世界全体がゆっくりと息をひそめ、
次の瞬間、また新しい音を鳴らす前の、
あの神秘的な“間”のような静けさだった。

やがて私は、そっと目を開いた。
部屋は変わらず、夜のままだった。
しかし、世界はもう、以前の世界ではなかった。

脳の奥で、明星がかすかに光る。
その光は、私の胸にある言葉を確かめるように、静かに脈打っていた。

――内なる声は、
もう消えることはない。

 

梵の座に響く声 Voice Resounding in the Brahma Seat

梵の座に響く声

Voice Resounding

in the Brahma Seat

静けさの底でひらく 脳裏の白き花
明星は胸の闇を そっと照らしはじめ
忘れられた古い声が 眠りから目を覚まし
世界はひとつの風となり 私を抱きしめた

Namosattanan
sanmyaksanmodaktinan
taniyata
on shaley shurei juntei
sowaka

ここに在る者よ 道はすでに汝の内に
歩むたび生まれる光が 未来を照らすから
明星よ 私の灯よ 迷いを越えてゆけ
内なる声は永遠に この魂を導く

Namosattanan
sanmyaksanmodaktinan
taniyata
on shaley shurei juntei
sowaka

In the stillness, a white flower opens deep within my mind.
The morning star begins to gently brighten the darkness of my chest.
An ancient, forgotten voice awakens from its long slumber,
And the world becomes a single wind that softly embraces me.

Namosattanan
sanmyaksanmodaktinan
taniyata
on shaley shurei juntei
sowaka

O you who dwell here — the path already lies within your being.
Each step you take gives birth to light that guides the days ahead.
O radiant star, my inner flame, carry me beyond all doubt.
The voice within will ever lead the journey of my soul.

Namosattanan
sanmyaksanmodaktinan
taniyata
on shaley shurei juntei
sowaka

 

法の灯 Light of the Dharma

 

 

法の灯
Light of the Dharma

 

灯明揺れ 影は祈り
静寂のなか 聞こえる声
欲に沈む ひとりの心
師の言葉が 胸を震わせる
Namosattanan
sanmyaksanmodaktinan
taniyata
on shaley shurei juntei
sowaka

「此の衆中に於て 我 一法を見ず」
その響きは 深い闇を裂く
求めるばかりの手を そっと開けば
与える道が 今ここにある

Namosattanan
sanmyaksanmodaktinan
taniyata
on shaley shurei juntei
sowaka

広く施せ 法の光よ
誰かの闇を照らすために
その時きっと 悟るだろう
――ああ 私は法の世界に生きている、と。

Namosattanan
sanmyaksanmodaktinan
taniyata
on shaley shurei juntei
sowaka

The lamp flame sways

— a prayer in shadow
In silent halls

— a voice awakens
A heart once drowned

— in longing and desire
A teacher’s words

— tremble through the soul

Namosattanan Sanmyaksanmodaktinan
Taniyata On shaley shurei juntei Sowaka

“Among this gathering — not one holds the Dharma”
The echo cuts — through the deepest darkness
Hands once grasping — slowly open now
For the path of giving — begins here and now

Namosattanan Sanmyaksanmodaktinan
Taniyata On shaley shurei juntei Sowaka

Give widely

— let Dharma be light
To shine upon someone

lost in night
And then you will know

— beyond every doubt
――Ah… I am living

in the world of Dharma.

Namosattanan Sanmyaksanmodaktinan
Taniyata On shaley shurei juntei Sowaka