静寂の彼岸 ― 阿那含
風はもう 止んでいた
感じるものすら 消えていく
境界のない この場所で
ただ出来事が 起きている
Namosattanan
sanmyaksanmodaktinan
taniyata
on shaley shurei juntei
sowaka
外と内の 意味はほどけ
遠さも近さも 消えていく
鳥の声は どこでもなく
ただ響きとして 在るだけ
言葉はもう 追いつかない
現れのあとを なぞる影
掴もうとした その手さえ
静かにほどけて 消えていく
何も起きない この中で
何も欠けてはいなかった
波は立っても 乗る者はなく
火は灯っても 燃える者はない
Namosattanan
sanmyaksanmodaktinan
taniyata
on shaley shurei juntei
sowaka
誰のものでもない この世界
ただ在るだけの 光の中
「いる」という影が 薄れていく
それでもまだ わずかに在る
欲も怒りも 消えたわけじゃない
ただ触れられず 通り過ぎる
未来も過去も 影のままで
結ばれることは もうない
Namosattanan
sanmyaksanmodaktinan
taniyata
on shaley shurei juntei
sowaka
問いはあるが 求めていない
答えはすでに 遅すぎる
残るものは ただひとつ
微かな“在りたい”の気配
誰のものでもない この世界
流れのままに ほどけていく
「私」という名の 霧のように
触れれば消える 最後の影
Namosattanan
sanmyaksanmodaktinan
taniyata
on shaley shurei juntei
sowaka
消えるのでもなく 残るでもない
その概念さえ 消えていく
ただ在るだけの 静寂の中
誰もいないまま 在り続ける




