七覚支宝と成仏法
七覚支とは、仏道修行における「覚りに至る七つの要素」であり、成仏法を実践する上での柱である。その中でも、念・定・捨という三つは、人間の精神の働きと直結し、修行者の心を調え導く宝となる。
念覚支 ― 念の力を強化する
仏教辞典などには「心を平安にする」と説明されるが、それは結果であり、修行そのものではない。念覚支の実際は「念の力を強化する」ことである。
人間の精神は 知・情・意 の三つの働きから成り立つが、それは偏りやすい。念覚支の修行は、この三つを調和させ、意志力・知性・感情を均衡よく強める実践である。すなわち、正しい選択をなし、真実を見抜き、心を安定させる力を涵養する。結果として「心が平安になる」という境地に至るのである。
定覚支 ― 一心に定める修行
定覚支とは、心を一つの対象に集中し、散乱を離れる修行である。これは文字や言葉で説明しきれず、実地に体得するしかない純粋な行である。禅定に入ることによって、煩悩の波が静まり、心が澄み切る。ここにおいて、覚りの根本たる「四禅定」「滅尽定」が展開する。定覚支は、七覚支の中でも中核にあたり、仏道の実践を支える根幹である。
捨覚支 ― とらわれを離れる
捨覚支とは、あらゆる事象に執着する心を離れることである。世の事物にとらわれれば煩悩が生じ、苦を招く。「煩悩の犬、追えども去らず」と言われるように、知っていてもこだわりは残る。捨覚支の修行は、この執着を見破り、手放す訓練である。執われを離れた心は自在であり、清浄にして解脱の境地に近づく。
七覚支宝と成仏法
念・定・捨の三覚支を含む七覚支は、それぞれが「宝」として修行者を支える。念は精神力を強化し、定は心を一つに統一し、捨は執着を解き放つ。さらに、精進・喜・軽安・法察といった他の覚支も加わり、七宝は相互に支え合って働く。
これらの実践を通じて修行者は煩悩を超え、心を平安にし、ついには智慧の光を顕現する。七覚支宝は単なる心理的安定ではなく、成仏へと至る「道」であり「宝」である。成仏法とは、この七覚支を生きて行じ、平安と智慧と解脱の境地に到ることである。




