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守護仏を本尊とする成仏法

守護仏を本尊とする成仏法

 L・ソンデイ博士の若き日、まだ「ソンデイ中尉」と呼ばれていた頃の出来事は、私に深い示唆を与えていた。
彼は、自身の異母兄とまったく同じ条件をもつ女性と恋に落ち、結婚の一歩手前まで進んでいた。だがその異母兄は、かつて悲惨な結婚をし、不幸な生涯を送った人物であった。

 博士はこの出来事を「運命の反覆」と名づけた。兄が歩んだ道を、なぜか自分もまた辿ろうとしてしまう――まるで目に見えぬ力に操られるかのように。
彼は言う。異母兄の欲求や葛藤が、ソンデイ自身の無意識に抑圧され、それが彼を突き動かしたのだと。

 だが、私はこう考える。
その説明だけでは足りないのではないか。

 なぜなら、この二人には血のつながりすらなかったのだ。遺伝的に継いだものは何もない。せいぜい、幼い頃に聞かされた「異母兄の不幸な結婚」の記憶が、ぼんやりと意識に刻まれていた程度だろう。
しかし、そのかすかな記憶が、どうして突然、強烈な力をもって彼を「反覆行動」へと駆り立てたのか。

 博士自身も論文にこう記している。
――それがどこから来たものかわからない。ただ、この強制意識の流れに乗ってはならないことだけは悟った、と。

 では、その強制意識とは何か。
私は言う。
それは「他の存在」から来たのだ。

 異母兄は死後もなお、その強い欲求と葛藤に縛られ、霊障のホトケとなっていた。彼の念が、靠的精神感応によってソンデイ中尉の無意識を刺激し、彼を動かしたのである。

 もし、この霊障のホトケをそのままにしておけば、どれほど努力しても不幸は繰り返される。だからこそ、私は弟子たちに告げたのだ。

 ――これを断ち切れるのは、守護仏を本尊とする成仏法しかない。

 修法の壇上には、守護仏を祀った宝塔が輝いていた。その光は単なる灯火ではなかった。金色の大光明、すなわち守護仏の霊波である。真言密教でいう「如意宝珠の光」。人の深層意識にまで浸透し、邪悪な波動を打ち砕く純粋最高の霊波――聖なる振動であった。

 私は深く息を吐き、弟子たちの顔を見渡した。
「人を不幸へと導く“他の存在”があるのなら、必ずそれを救い、解き放つ存在もまたある。それが守護仏なのだ。宝塔から放たれる聖なる霊波こそ、解脱と成仏をもたらす道なのである。」

 その言葉に、壇上の光は一層強く輝きを増した。まるで、守護仏自身が応えるかのように。

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