光珠の道 ― クンダリニー覚醒記 ―』
夜は、深く沈んでいた。
山の庵。
風は止み、世界は息をひそめている。
ただ一つ――
動いているものがあった。
青年の内側だった。
「……力とは、どこから来るのですか」
静寂の中に、問いが落ちた。
闇の奥で、老師は目を閉じたまま答える。
「湧き出るのではない」
一拍。
「――目覚めるのだ」
青年は、息を呑んだ。
「目覚める……?」
「お前の中に、すでに在る」
老師の声は、低く、確かだった。
「それを、人は“チャクラ”と呼ぶ」
第一の門 ― 根の火
「まず、最下にあるものを見よ」
青年は導かれるまま、意識を腹の底へと沈める。
そこには――
暗く、重く、しかし確かな“熱”があった。
「ムーラーダーラだ」
その瞬間、呼吸が変わる。
ドクン――
鼓動が強くなる。
ドクン、ドクン――
身体の奥から、何かが湧き上がってくる。
「……熱い……」
「それが生命だ」
老師は言った。
「だが、それに呑まれるな」
第二の門 ― 戦の炎
呼吸は激しくなる。
腹はフイゴのように動き、空気が体内を駆け巡る。
やがて――
胸の奥に、別の炎が灯る。
「恐れが消えていく……」
青年はつぶやいた。
「それは副腎の火だ」
老師の声。
「戦う力。だが――」
一瞬、声が鋭くなる。
「怒りではない。静かな決意だ」
第三の門 ― 内なる太陽
意識は、さらに深く沈む。
腹の中心。
そこに――
眩い光があった。
「……見える……」
「見るのではない」
老師が言う。
「感じろ」
その瞬間――
内臓の動きが、手に取るようにわかる。
胃が、
肝が、
血が――
自分の意志に応じて変化している。
青年は震えた。
「これは……」
「支配ではない」
「統合だ」
第四の門 ― 響かぬ音
胸へ。
そこに広がっていたのは――
音なき振動。
アナーハタ。
打たれぬ音。
「……すべてが、つながっている……」
遠くの風。
木々の揺れ。
大地の鼓動。
それらが、すべて一つの波として感じられる。
「予知とは何か、わかるか」
老師が問う。
青年は答えない。
いや――
答える必要がなかった。
すでに“感じて”いたからだ。
第五の門 ― 声なき声
喉に、何かが集まる。
言葉にならない“理解”。
「これは……誰の声だ……?」
「誰でもない」
老師は言った。
「すべてだ」
その瞬間、青年の中で、知識が流れ込む。
見たこともない景色。
聞いたこともない言葉。
だが、それは確かに“理解できる”。
第六の門 ― 光珠
「ここからが、真の門だ」
老師の声が変わる。
青年は、眉間に意識を集める。
そこに――
あった。
小さな光。
淡く、しかし確かな球体。
「……これが……」
「明珠だ」
光は、ゆっくりと脈動する。
呼吸に合わせて、
膨らみ、
縮み、
輝く。
やがて――
それは浮かび上がる。
「動いた……!」
「追うな」
老師が制する。
「ただ、観よ」
光は、頭の奥へと進んでいく。
深く、さらに深く――
そして。
閃光。
世界が、消えた。
第七の門 ― 光明
何もない。
だが、すべてがある。
「……これは……」
言葉が、出ない。
「サハスラーラ」
老師の声だけが、響く。
「ここで、お前は消える」
青年は理解した。
自分という境界が、崩れていく。
内も外もない。
ただ――
光。
終章 ― それでも世界は
やがて、音が戻る。
風。
虫の声。
自分の呼吸。
青年は、ゆっくりと目を開けた。
「……戻った……」
「いや」
老師は微かに笑った。
「戻ってなどいない」
沈黙。
そして一言。
「――最初から、そこにいたのだ」
炎は消えていない。
光も消えていない。
ただ、それを
“自分のものだと思わなくなっただけ”だった。
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歌詞はイントロ4行、サビ4キョウけし




