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覚醒の叙事詩 ― 宇宙に目覚める魂 ―

覚醒の叙事詩
― 宇宙に目覚める魂 ―

山の夜は深く、
杉の風が静かに庵を渡っていた。
炉の火は小さく揺れ、
青年は息を整え、闇の奥を見つめていた。
長い道を歩いてきた。

苦しみ、迷い、問い続けてきた。
人はなぜ生まれ、
どこへ向かうのか。
そのとき――
老師の声が静かに響いた。
「心を観よ。」
その言葉は、
夜の山を越え、
魂の奥へと沈んでいった。

やがて青年の眉間の奥に
小さな光が生まれた。
それは
明珠。
遠い宇宙よりも古い、
覚醒の種。
光は静かに広がり、
暗い心の空に
一つの星が灯った。

やがて青年は知る。
未来とは
遠い場所ではない。
いま生まれる一念が、
すでに次の人生を形づくっている。
思いは種となり、
行いは土となり、
運命という花が咲く。
そのとき老師は言った。
「来世は偶然ではない。
心がそれを創る。」
青年は深く息を吸い、
静かに瞑想に入った。

すると見えぬ川が流れ始めた。
それは
輪廻の川。
無数の命が生まれ、
無数の命が消えていく。

だがその流れの中に、
一つの門があった。
光の門。
その門を越える者を
古き教えはこう呼ぶ。
須陀洹。

流れに入る者。
青年の胸で、
迷いの鎖がほどけはじめた。
やがて欲の炎は静まり、
怒りの影も消えていく。
心は澄んだ湖のように
静かに広がっていった。

老師は言った。
「ここから先、
魂はもう戻らぬ。」
それが
阿那含。

戻らぬ者。
夜の空には星が満ち、
宇宙は深い沈黙に包まれていた。
そしてついに、
最後の門が開かれる。
生まれと死の波を越え、
苦しみの根が断たれるとき。
心は空となり、
空は宇宙となる。

そのとき、
青年は知った。
探していたものは、
遠い場所にはなかった。
それは最初から
この心の中にあった。

やがて老師は静かに告げた。
「いま――
輪廻は終わった。」

青年は目を開く。
山の夜は静かで、
風が杉林を渡っていた。
だが世界はもう違っていた。
空は限りなく澄み、
宇宙はひとつの静かな呼吸のようだった。
そのとき生まれた者を、
古き言葉はこう呼ぶ。
阿羅漢。

輪廻を越える者。
山は静かに息をし、
星は遠く輝いている。
宇宙は変わらない。
だが一つの魂が
ついに目覚めた。
それは
宇宙そのものの覚醒であった。

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