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四神足の書 ― 天地を統べる者の秘法

四神足の書 ― 天地を統べる者の秘法』

静寂の山に、夜明け前の光が差し込んだ。
老いた賢者シッダは、弟子トウマを前にしながら、焚き火の赤を指さした。

「トウマよ。
成仏の道は――『教え』と『法』の二つにわかれる。
だが、釈尊の見た究極はただ一つ。
法の中心にして終着、四神足である。」

その声は大地の奥から響くようで、山の空気がわずかに震えた。

◆四神足を成就した者 ― 大聖者

「四神足を極めた者は、仏陀に準ずる大聖者となる。
生と死の縁を超え、因果の闇に光を通し、迷える者を生者・死者を問わず成仏へ導く。
その存在は、風の行く先まで悟る者だ。」

トウマは、賢者の語る「大聖者」の姿に、言葉を失った。

◆七科三十七道品と四神足

賢者は、砂に指で円を描きながら続けた。

「世尊が示した三十七道品は、確かに偉大な教えだ。
しかし、深く見ればそれらはすべて――四神足を目覚めさせるために存在する。

五力法もまた修行法ではあるが、これは四神足に寄り添う翼のようなものだ。」

火の粉が風に舞い、四つの流れを描く。

◆四神足と五力 ― 密なる対応

賢者は火を見つめながら静かに言った。

欲神足には、揺るぎなき**精進力(信力)**が寄り添い、

勤神足には、燃え続ける念力が宿り、

心神足には、澄んだ湖のような定力が現れ、

観神足には、すべてを貫く慧力が開く。

「五根はこれら五力の源であり、教えの種だ。
教えは四神足の影のように動き、その行を補う。
だが――観神足を会得した者に、教えは不要となる。
八正道でさえ、ただ他の修行者を導くための言葉となるのだ。」

トウマは息を飲んだ。
悟りとは、教えを捨てる境地にまで至るのか、と。

◆四神足の修行は、チャクラの覚醒から始まる

賢者は夜空を仰ぎ、天の中心を指さすように言った。

「四神足を開くということは――
己の内に眠るクンダリニーの蛇を目覚めさせることだ。
チャクラが一つ開くごとに、四神足の道もまた姿を現す。」

そして、一本の杖で地面に七つの光輪を描いた。

●欲神足

ムーラーダーラ
スヴァーディシュターナ
――地と水のチャクラが開くとき、欲神足は芽吹く。

●勤神足

マニプーラ
アナーハタ
ヴィシュッダ
――火・風・空の三輪が燃え上がるとき、勤神足は走り出す。

●心神足

アージュニャー
――心の目が開くとき、心神足は世界を貫く。

●観神足

サハスラーラ
――千弁蓮の頂が光を放つとき、観神足は完全となる。

◆そして、四神足の行は始まる

賢者は最後に、焚き火の前に置いた小さな石を手に取り、弟子に渡した。

「トウマよ。
四神足とは、力ではなく“覚醒の階段”だ。
これを登り切れば、おまえは因縁を照らす者となる。」

トウマは震える手で石を握りしめた。
それはただの石ではなかった。
彼の内なるクンダリニーを呼び覚ます、最初の火種だった。

夜空には、まだ昇らぬ太陽の気配だけが静かに広がっていた。

 

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