たら、人間の改造など不可能といっていいだろう。だから、仏陀はこれを用いた。
仏陀が四神足法において用いる気息、すなわちプラーナとは、クンダリニーから生ずるエネルギーなのである。単なる呼吸の息、あるいは意念だけではない。
初期の瞑想の段階では、意念による瞑想である。修行者が、クンダリニーを覚醒す
るに十分なだけの意念を持つと、強力になった意念の力は、クンダリニー覚醒に向けられる。クンダリニーを覚醒するための部位が二カ所ある。そこに正しい刺激があたえられると、クンダリニーは目ざめる。この修行は、導師にしたがって、細心大胆におこなわれなければならない。
阿含経の中に、いくつか、仏陀が毒龍、あるいは毒蛇を調伏して偉大な力を発揮する教説が出てくるが、その毒龍、毒蛇は、クンダリニーをあらわしているものと思ってよい。古来、クンダリニーは、三つの頭を持った龍、あるいは九つの頭を持った蛇の姿で表現されているのである。阿含経で語られる毒龍調伏の説話は、単純な毒蛇退治の物語ではなく、仏陀が、強烈で、だれもが手を焼くクンダリニー・エネルギーのコントロール化に成功したことを明かしているのである。
だから、仏陀のクンダリニー・エネルギーの使いかたは、クンダリニー・ヨーガの手法とまったく異なり、クンダリニーを完全にコントロールしつつ使うのである。つ
まり、クンダリニー・エネルギーを「行らせる」という手法である。
それはどのようにして、なされるのだろうか?
ピンガラとイダーを使う仏陀の秘法
あろう。 いい気持で眠っているゴジラを叩き起こすようなバカな真似はしないほうが賢明で
るのである。 モンスター仏陀の法では、怪物クンダリニーを、ごくおだやかに、上機嫌(?)に目ざめさせ
どのように?
道教はクンダリニーを知らない。しかし、クンダリニーには到底およばないけれども超常的な強い「気」のエネルギーを呼び起こすだ(ツボ)を知ってこれを使って
いる。
チャララ
これは道教の最極秘伝になっていて、これを知る人はごく稀である。(アンリ・マスペロがその著書で、ちょっとこれにふれている)
この経穴(中国でツボと呼ぶ部位は、チャクラの一種であるとわたくしは考えている)は、クンダリニーのチャクラから、少し離れたところにある。道教は、いまいったように、このチャクラを使って強い「気」を呼び起こすのである。クンダリニーの代わりといってよいだろう。クンダリニーそのものは、知らないのである。
仏陀の四神足法では、この道教のチャクラを使って、まず、強い「気」のエネルギ ―を呼び起こす。次いで、この「気」を本命のクンダリニー・チャクラに送りこむ。 クンダリニーの眠る部位の周囲に、この「気」をゆるやかに行らせてゆくのである。 クンダリニーは、徐々に、おだやかに目ざめはじめる。
わたくしは思うのだが、道教は、この「気」を使ってクンダリニーを目ざめさせるという秘法を落としてしまって、「気」だけを使う法を完成したのではなかろうか。 或いは、これは仏陀の極秘の法として、ごく一部の高弟だけに伝え、外部に洩らさず、
いつしか消えてしまったのであろうかと、わたくしは考えている。いうならば、クンダリニーという巨大モーターを起動させるための始動用小型モーターだけが、道教に伝えられたと考えるわけだ。
クンダリニーという過激きわまるエネルギーを、みごとにコントロールして使う仏陀のこの秘法には、ただただ感嘆するしかないのである。
だが――、仏陀の秘法はこれだけではないのである。さらにおどろくべき秘技を、 仏陀はわれわれに教示するのである。
それは、ひと口にいうと、ピンガラとイダーの気道を、アクセルとブレーキに使うのだといったらよいであろう。ただし、これが、クンダリニー・ヨーガのピンガラ、 イダーそのものであるかどうかは、わからない。
或いは、仏陀があたらしくつくり出した気道であるのかも知れない。というのは、 クンダリニー・ヨーガのピンガラとイダーは、前にのべたように、脊柱を通るスシュムナー管の両側を上昇するのであるが、仏陀のこの二つの気道は、その反対側の、腹部を上下するからである。しかし、わたくしは、この二つの気道の果たす機能からし
て、やはりこれはピンガラとイダーであって、仏陀がこのように変えられたのであろ
うと思っている。したがって、この二つの気道を、やはり、ピンガラとイダーという名称で呼ぶことにする。
か? いま、この二つの気道の機能からして、といったが、どういう機能を持っているの
ピンガラ気道は、クンダリニー・エネルギーにたいし、発動・昂揚の機能を持つ。
イダーの気道は、沈静・凝縮の機能を持つ。
つまり、さきにいったように、アクセルとブレーキの役目を果たすのだ。
それは、つぎのように使われる。
二本のスシュムナー管
DH さきにのべた通り、クンダリニー・ヨーガでは、尾転骨部分から延髄にかけて、背住を真っ直ぐ、スシュムナー管が通っている。目ざめたクンダリニーは、ここを上昇




