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『日の国の法と、金星の法が競いあう』

――それは、ノストラダムスの予言に秘められた、もう一つの意味だった。

「日の国によって保たれる」――。
その一節を、古文書の上で指でなぞりながら、彼は低くつぶやいた。

「……まさに、このことを言っていたのだ。」

夜明け前の光が障子を透かして差し込み、静かな書院の空気を金色に染めていた。
机の上には、開かれた古い書物と、散乱する数枚のメモ。
そのどれにも、同じ言葉が書きつけられている。
『日の国の法と、金星の法が競いあう』。

人々は長らく、その言葉を「衝突」「争い」と解釈してきた。
だが彼――慧真(えしん)には、別の響きが聴こえていた。
競いあうとは、破壊し合うことではない。
互いに磨き合い、ひとつの目的へと進むこと。
すなわち、二つの法が競いながら協力し、やがて「偉大なるメシアの法」を完成させるという意味に。

彼は筆を取ると、ゆっくりと書き写した。

日の国の法と金星の法が競いあう
予言のエスプリをわがものとしながら
双方たがいに耳をかたむけないが
偉大なるメシアの法は日の国によって保たれるだろう

筆跡は震えていた。だがその震えは恐れではなく、確信の震えだった。

「予言のエスプリ……」慧真は小さく呟く。
それは、ユダヤとキリスト――二つの宗教に宿る、同じ霊の響き。
ともにメシアを語りながら、互いに拒み合い、同じ空を見上げながら耳を閉ざしてきた。
だが、メシアの法はそのどちらからも生まれない。
それは、日の国――日本から現れる。

窓の外、東の空がかすかに朱を帯びた。
慧真の胸に、遠い太古からの響きがよみがえる。
金星の光――愛と調和の象徴。
日の国の光――智と覚醒の象徴。
二つの光が重なるとき、四神足の法が顕現し、真の成仏法が完成する。

彼は立ち上がり、空を見た。
「……このままでは、地球は潰れる。」
その声は震えていたが、静かな決意を含んでいた。
「神の名を口にしながら人を殺す時代は終わらせねばならぬ。いまが、ギリギリの時なのだ。」

風が障子を揺らす。
その音に導かれるように、慧真は最後の言葉を記した。

起て――日の国の、メシアの法の使徒たちよ。
いまこそ、眠れる光を呼び覚ますときだ。

その瞬間、朝日が山の端から昇り、部屋の中を真紅に染めた。
彼の瞳に映ったのは、まるで新しい時代の夜明けだった。

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