である。 これまでの大脳生理学は、古い皮質(旧皮質・古皮質)と、新しい皮質(新皮質)しか知らなかった。ところが、このほかに、重要な脳がもうひとつあったの
ある。 それは、他の二つの脳を統合し、コントロールする最も重要な脳であった。それは「間脳」とよぶ脳である。大脳生理学は、生理学としてこの脳のあることを知っていたけれども、その機能についてはほとんど知ることがなかったので
「ふうむ」
「しかし、それを知っている人たちがいた。その代表が、ゴータマ・ブッ
ダーシャカです。シャカは『成仏法”という名でこの霊性の場を再開発するシステムを完成した。そして古代密教が、これを受けついだ」
「古代密教、とおっしゃるのは、どういうわけですか?」
「後世の密教は、大乗仏教の影響を受けて、シャカがつたえたシステムを ・様式化してしまったのです。まったくちがったものにしてしまった」
「なるほど」
「しかし、仏像とか、仏画とかは、古代密教の表象をそのままつたえてい
「ます。密教の仏像の多くが、第三の目を持っているのはこのためです」
みけん 「あの眉間のところにある目ですね?」
まけいしゆら
「そうです。その密教の代表ともいうべき仏像が、摩醯首羅です。これ
は、梵語のMaheśvara (マヘーシュバラ)を音写したもので、これを犬自在天」と漢訳し、宇宙の大主宰神とされております。眉間に第三の目が
「それは、ひと口でいうと、第三の目というのは、霊的次元のさまざまな現象を知覚し、見聞する能力を持つ目、といったらよいでしょう。視床下部のほうはそれを動かす“場”です。それはつまり、いまわれわれが持つ普通の目と脳との関係にあると思ったらよいでしょう」 「なるほど」
「視床下部がなぜ霊性の“場”であるかということについて、わたくしは、『密教・超能力の秘密』で、脳生理学と、ホルモン分泌学と、酵素薬理学の三つの面から解明しています。この視床下部が第三の目と運繋して活動するとき、人間は霊性を顕現するのです。その究極において、『密教・超能力の秘密』でいっているように、カミ、ホトケにまで到達するのです。
「人間は、知性・理性の場である新皮質と、本能の座である辺縁系の中間にある『間脳”に、霊性の場・霊性の脳を持っていたのです。これにより、 人間はバランスがとれるのです。ところが、この間脳にある霊性の場を人間は失ってしまった」
わたくしは、この脳を、「霊性の場」とよんで、「間脳思考」の中で質問に対し、つぎのように答えている。
「桐山先生は、ケストラーのいうように、人間は脳に致命的な設計ミスを持った異常な生物種であるとお考えになりますか?」
「いや、わたくしはそう思いません。設計はほとんど完全に近かったと思います」
います」
「すると、設計は完全に近かったが、設計通りに進行しなかったということですか?」
摘しています」 「そうです。ですから、ケストラー自身もいっているように、かれのもう一つの推理、『ホモ・サピエンスが最後の爆発段階に達したある時点で何かに狂いが生じたことは」といっているのが正しいのです。設計ミスではなかった。設計はほとんど完全だったが、進化の途中で方向が狂ってしまったのです。わたくしは、すでに、それを「密教・超能力の秘密」の中で指
「具体的にお示し下さい」
「人間は脳に霊性の部位を持っているのです。これはそのように設計されているのです。だから、この部位がその設計の通りに活動していたら、人類はケストラーのいうように『狂気”の症状をあらわさなかったでしょう。したがって、いまのような破滅に直面するようなことにはならなかったのです。ところが、この部位が進化の途中で閉鎖されてしまった。その
ために、人類は超悪人になってしまったのです」
「ふうむ、これはおどろくべき発想ですね」
「発想じゃないのです。事実なのです」
「その霊性の部位とはどこですか?」
かんの 「脳の最も中心である間脳の、視床下部です。このいちばん奥に、その部
位があります。ただし、これがはたらくためには、そのすぐそばにある松果腺という内分泌腺の特殊なはたらきが必要です」 しょう
「それは大脳生理学者の説ですか?」
「いいえ、そうじゃありません。わたくしの修行体験による発見です。インドのクンダリニー・ヨーガ、チベットの密教の修行などを参考に、わたくしが把握したものです。脳生理学はまだそこまで到達しておりません。 ただし、アメリカのホルモン分泌学の権威J・D・ラトクリフという学者
は、その著書『人体の驚異」の中で、おもしろいことを言っております。
「その機能がようやくわかりかけてきた松果腺は、脳の下側にくっついて
きゆうかけいいる小さな毬果形の腺で、人間が原始時代の且をかつそれ
いる小さな毬果形の腺で、人間が原始時代の祖先から受けついできた第三の目の残跡と推定されている」
というのです。
第三の目というのをご存じですか?」
「ずうっと以前に、そういう題名の本を読んだことがあります。なんとか
という英国人が、チベットでラマ僧について密教の修行をし、眉間のだに、四次元世界や霊界を見ることができる第三の目を持ったという内容で、ベストセラーになりましたね。もうほとんど内容を記憶しておりませんが、読んだおぼえがあります」
「そうですか、わたくしは、「密教・超能力の秘密」で、このラトクリフの
文章を引用して、こうのべております。『第三の目とホルモン”という章で、 「おそらく、ヒトは、『第三の目”などというと、いかにも空想的な、馬鹿馬鹿しいことのように思うかも知れない。しかし、ヒトは、たしかに第三の目を持っていたのである。いや、げんに持っているのだ。人間のからだ
のなかで最も重要なはたらきをする内分泌腺をくわしく調べてゆくと、それがはっきりしてくるのである。
ヒトはまさしく第三の目を持ち、しかもそれはJ・D・ラトクリフのいうように、残跡”ではなく、いまでも、活用すれば、実際に『見る』ことすら可能なのである。最近の科学の実験がそれを証明している。その最近の実験を紹介する前に、ひとつ、この不思議なはたらきをする内分泌腺というものを、もう少しくわしく調べてみようではないか」
と、こうのべております」
「その第三の目が、つまり、先生のおっしゃる霊性の部位というわけですか?」
「いや、ちょっとちがいます。密接な関係はあるが、ちょっとちがいます。第三の目は、ラトクリフのいうように、松果腺です。わたくしのいう霊性の場は、それよりすこし深部の視床下部のそばです」
「それはどうちがうのですか?」
「それは、ひと口でいうと、
あって、合計、三つの目を持っています。われわれは、目が二つです。その二つの目の一つは、辺縁系の脳に通ずる目であり、もう一つは新皮質の脳に通ずる目で、この二つが一対になって、現象世界(物質世界)を見るのです。このほかに、じつはもう一つの目があった。それは間脳の視床下部の脳に通ずる霊性の目で、霊的世界を見る目です。これが、第三の目とよばれるものなのです」
「で、その第三の目が、『残跡”となると同時に、先生のおっしゃる霊性の
『場”もはたらかなくなってしまったということですか?」
「そうですね、しかし、それは、霊性の『場”が閉ざされてはたらかなくなってしまったから、第三の目もはたらかなくなって、たんなる痩痣” になってしまったのだともいえるでしょう。要するに、この両者は、密接
な相関関係にあるものですから―――」
「ふうむ」
インタビュアーと質問者はしばらく考えこんでいたが、
61 第一章 人類は火?




