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成仏法奥義

成仏法奥義──八科四十一道品の秘密

 それは静寂の中に訪れた。誰もいない山中の庵で、私はひとり、釈尊の教えに耳を澄ませていた。

 師はいなかった。ただ、書に残された法と、自らの内なる声だけがあった。釈尊は、弟子たちの能力に応じてさまざまな法門を授けたという。信をもって始まる五根・五力は、まだ理を知らぬ初学の者のための門であった。深き禅定に至る七覚支は、すでに業を積んだ者への導きだった。

 だが、私にとって真の道は、最初から一乗であった。

 私は、まず四念住法を体得した。呼吸に心を定め、身に生じる現象を見つめ、苦の真理を見抜く──そこに、四諦の法門の核心があった。やがて七覚支に進み、私は深遠なる禅定に入った。思考が止み、意識が澄み、世界のすべてが静けさの中で共鳴する──その境地に至ったとき、私の内に新たな力が芽吹いた。

 それは神通力であった。

 私は四神足法を修し、意志の力で心身を超越する術を得た。気づけば、奇蹟とも呼べる現象が、日常のなかで静かに現れていた。だがそれは、見せるための力ではない。成仏へ至る、真実の力であった。

 釈尊が遺した「七科三十七道品」は、偉大な修行の体系である。しかし、私には見えた。そこに、もう一つの不可欠な柱があることを。

 それが、「安那般那念法」である。

 四念住法
四正断法
四神足法
五根法
五力法
七覚支法
八正道法
──そして、第八の法、安那般那念法。

 この法には、四つの段階がある。

 一、勝止息法
二、奇特止息法
三、上止息法
四、無上止息法

 なかでも、「奇特止息法」は特別であった。仏教語辞典に記されていた通り、「奇特」とは、異なるもの、不思議なるもの、すなわち奇蹟である。

 呼吸を静め、心を澄ませてゆくその法には、ただ静寂だけではない。「変容」が宿っていた。自己の因縁がほどけ、業が溶け、煩悩が滅し、全く新しい存在へと変わる。これこそが、因縁解脱であった。

 この因縁解脱力こそ、私が得た大神通力の正体である。

 自らの心を変え、他者の業を癒し、世界そのものを清める──これ以上の奇蹟が、他にあるだろうか。

 私は確信する。成仏とは、奇蹟そのものである。そして、その奇蹟をもたらす力──それが、八科四十一道品の法なのだ。

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