神足を持つ者
彼は瞑想の奥深くに沈んでいた。外界の光は届かず、ただ己の内側が無限に広がっていく空間——虚空の中、彼の意識はゆっくりと浮上し始める。
「見よ、これが四神足法の門である」
声が響いた。それは声でありながら、言葉を超えた“響き”だった。
第一の門——欲神足
ムーラーダーラ・チャクラが赤い光を放つ。その中心には、求める意志が渦を巻いている。肉体の根源、地に根ざした力。それは単なる欲望ではない。魂が自らを進化させるために選び取る“聖なる渇き”であった。
第二の門——勤神足
スヴァーディシュターナからマニプーラへと、エネルギーが駆けのぼる。腹部のチャクラが金色に燃え、肉体の力を限界まで鍛え上げる。熱き意志と勤勉なる鍛錬が、肉体を神殿へと変える。
「勤神足は、肉体の聖化である。己を支配せよ。汗と痛みを超えたとき、肉体は魂の器となる。」
第三の門——心神足
アナーハタとヴィシュッダが開かれる。心の深奥に眠る感情が、清浄なエネルギーとなって上昇していく。古き脳——ワニとウマの獣性の本能が揺らぎ始める。彼の脳に新たな光が灯る。
「心神足は、魂の呼吸である。古い脳に、新たな言葉を刻め。」
第四の門——観神足
サハスラーラが、ついに光の蓮華として開花する。観神足は、知性と霊性の統合である。視床下部が共鳴し、間脳が覚醒し、脳幹の奥深く、古代より封印されていた曼荼羅の光が彼の意識に映し出される。
そして、彼は気づいた。
「チャクラを開くだけでは、まだ半ばにすぎぬ。統合せよ。各門は孤立してはならぬ。光の流れを、全体として一つにせよ。」
それは、宇宙の法に従った厳粛な統合技法——すなわち「成仏法」そのものであった。
「四神足法を全うせし者は、業を超え、因縁を解き、死者と生者の境界を越えるであろう。」
彼は目を開けた。瞳の奥に、あらゆる存在を照らす光が宿っていた。




