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間脳の光

間脳の光

深い森の中、しんと静まり返る禅堂で、彼は一人座禅を組んでいた。足元に敷かれた敷物は長年の修行の証か、擦り切れて柔らかな風合いを持つ。木々が風に揺れるたび、葉擦れの音がかすかに耳に届く。まるで自然そのものが彼の呼吸と一体化し、彼を導いているかのようだった。

彼の目は閉じられ、しかしその奥には揺るぎない決意が宿っている。「四神足法を極める」。その言葉は、彼の魂に深く刻み込まれていた。それは仏陀が説いた教えの中心であり、覚醒への道を照らす灯火だった。

最初の修行、「身念処」は、自らの身体を観察することから始まる。父母から授かったこの身体は、やがて土へと還る一時的な存在に過ぎない――その真実を彼は静かに見つめた。呼吸に意識を向けるたび、横隔膜が膨らみ、肋骨が開く。そのリズムが、自分と自然の境界を消していくようだった。呼吸を意図的に制御することで、彼の間脳と全身の神経が調和し、徐々に心が静寂に包まれていく。

やがて「受念処」へ進むと、感覚そのものが対象となった。彼の足をかすめる冷たい風、座禅の姿勢から来る鈍い痛み。それらを拒絶することも、追い求めることもせず、ただ冷静に受け入れる。そこにあるのは、感覚の純粋な流れだけだった。

次の段階、「心念処」では、さらに深い静寂が訪れた。心の中を流れる思考や感情の波。それらが徐々に消え去り、彼の心は静謐そのものとなった。外界の音や刺激も、彼の心に影響を及ぼさない。彼の心は鏡のように澄み渡り、ただ真理を映し出す。

そして、最終段階である「法念処」へと至った彼は、真理そのものに深く没入した。万物は無常であり、苦しみの原因は執着にある。その真理が、彼の内に明確な光となって現れる。彼の呼吸は完全に整い、間脳を中心とした神経系が覚醒を迎えた。

修行の日々は彼をさらに高みに押し上げた。四神足の修行では、「欲神足」の燃える願望が瞑想の力をさらに深め、「勤神足」の努力がその基盤を支えた。「心神足」の制御によって心は揺るがなくなり、「観神足」によって彼の智慧は真理を見抜いた。結果として、彼の内に奇跡的な力――神通力が芽生え始めた。

ある日、彼は瞑想の中で、身体がふわりと浮かぶのを感じた。鳥が空を舞うような軽やかさ。さらに過去の記憶が鮮明に蘇り、他人の心をも読む能力を得た。それらの力が次々と現れる中でも、彼は一切の執着を持たなかった。奇跡的な力もまた、悟りへの道の一部に過ぎないと悟っていたからだ。

そしてついに、その瞬間が訪れる。深い瞑想の中、彼の意識は時間と空間を超えた。世界が光に包まれ、すべての苦しみが霧散していく。間脳から放たれる光が全身を満たし、彼の存在は宇宙そのものと溶け合った。

彼は悟りを得た。そこには欲望も苦しみもなく、ただ静かで永遠の平安が広がっていた。

 

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