ソンディは、ある日、誰も気づかなかった深層に気づいてしまった。個人の無意識と群衆の無意識の間に、家族に根ざした無意識の層があることを。そして、それは彼にとって当然の発見だった。誰もが、家族を持たずに生まれてくることはないのだから。個人であれ群衆であれ、その背後には必ず「家族」という存在があり、そこに形成された無意識が存在するのだと。
「その無意識の層に、何があるのだろう?」ソンディは思索を深めていった。
彼が発見したのは、「家族的無意識」という、特別な抑圧された意識だった。それは、こう言えるだろう。「個人の中に抑圧されている祖先の欲求が、恋愛や友情、職業、疾病、そして死に至るまで、無意識のうちに選択され、それが個人の運命を決定している」というものだ。
ソンディはさらにこう説明する。「恋愛や友情、職業、病気、死の選択行動を分析すると、その根底には家族的欲求がある」と。つまり、私たちが愛する相手、友と結ぶ絆、選ぶ仕事、病気の種類、そして死に方までも、すべてが祖先の抑圧された欲求に深く関わっているのだ、と彼は言うのである。
しかし、ここで重要なのは、この選択行動が意識的なものではなく、実際には衝動的なものであり、無意識に導かれているという点だ。表面的には私たちは、恋愛や職業を自ら選んでいるように見えるが、実際にはその選択は、心の奥底にある祖先の影響に支配されているのだ。
ただし、ソンディの理論には限界があった。彼は、運命を決定する要因として祖先の欲求だけでは説明がつかないと感じたのだ。確かにそれは大きな要因ではあるが、すべてではない。密教占星術によれば、運命の「時期」までが定められている。つまり、祖先の無意識的な影響だけでは、人生の重要な瞬間がいつ訪れるのかを説明しきれないのだ。
それでも、ソンディの理論は空間的な運命の説明には十分であった。しかし、運命が時間によってどのように動いていくのか、その解明は別のアプローチを必要とした。それは彼にとって、まだ新たな課題であり、未来の研究にゆだねられることとなるだろう。
ソンディが見つけた無意識の層、その奥深さは、誰しも避けて通ることのできない「家族」という存在が私たちの人生に影響を与え続けるという、避けがたい現実を示していた。それをどう解釈するかは、まだ誰もが答えを持っているわけではなかった。




