彼は、風のように生きていた。家も職も定まらず、まるで根のない草のように、浮いては沈み、変転を繰り返す日々。たとえ一時的に幸運を掴んだとしても、その運命はすぐに崩れ去ってしまう。居場所がなく、未来がない彼の人生は、まるで浮浪者のようであった。
彼の周囲には、同じように浮かび沈む者たちがいた。彼らもまた、どこかで幸運を手にしたかもしれないが、それを保つことはできなかった。特に女性たちは悲惨だった。結婚生活を続けることができず、再婚や三姫、あるいは妾として生きるしかなかった。時には、道を外れ、娼婦にまで身を落とす者もいた。それは彼女たちが背負う運命、因縁のせいであった。
だが、運気不定の因縁を背負う彼の家族にも、別の闇があった。彼らは互いに運気を吸い合い、傷つけ合い、分散していく宿命を背負っていた。毛利元就の「三本の矢」の教訓とは逆のように、彼の家族は互いに支え合うことができず、反発し合っては離散していく。家運が衰退し、次第に孤立し、没落していくのであった。
その家の中では、親子や兄弟たちが常に争っていた。表面上は平和に見えることもあったが、同じ屋根の下に住むだけで、無意識のうちに互いの運気を奪い合い、神経をすり減らしていた。彼らの生命力は、まるで目に見えない光線のように放射され、互いに相手を傷つけていた。何気ない一言が、無意識の反発を引き起こし、激しい争いが生まれるのだ。
もし、この因縁を持つ家庭で争いがなければ、家族の中に病弱な者や、運の悪い者が必ず現れる。彼らの運命は、才能があってもチャンスを掴めず、常に不遇に見舞われるのだった。それが「肉親血縁相剋の因縁」であり、これを断ち切らなければ、いくら努力しても彼らの運命は変わらない。
そして彼もまた、その因縁を背負ったまま、人生を漂うように過ごしていた。何度も手を伸ばした幸運はすり抜け、努力は報われず、孤独に沈んでいく。彼が望む光は、いつまで経っても遠いままだった。




