紫微斗数(しび-とすう)は占いの一種。唐末から宋の時代にかけての有名な仙人であった陳希夷が創始したと伝えられている。紫微斗数の名前は、北極星(太一、天皇大帝)である紫微星[1]を主とする星々から運命(=数)を量る枡(=斗)を意味している。
紫微斗数では特に北斗七星と南斗六星が重要視されており、特に重視される甲級星の大多数はこの2つの星座に起源を持っている。甲級星のいくつかと実際の星の対応は以下のようになっている。
- 紫微垣
- 北極星 – 紫微(甲級主星)
- 北斗七星
- 大熊座α星 – 貪狼(甲級主星)
- 大熊座β星 – 巨門(甲級主星)
- 大熊座γ星 – 禄存(甲級補星)
- 大熊座δ星 – 文曲(甲級補星)
- 大熊座ε星 – 廉貞(甲級主星)
- 大熊座ζ星 – 武曲(甲級主星)
- 大熊座η星 – 破軍(甲級主星)
- 南斗六星
- 射手座ζ星 – 天府(甲級主星)
- 射手座τ星 – 天梁(甲級主星)
- 射手座σ星 – 天機(甲級主星)
- 射手座φ星 – 天同(甲級主星)
- 射手座λ星 – 天相(甲級主星)
- 射手座μ星 – 七殺(甲級主星)
- 中天
- 太陽 – 太陽(甲級主星)
- 太陰 – 太陰(甲級主星)
北斗七星の中で実際に等級が低い禄存、文曲の2星は、甲級ではあっても補星となっている。結局、紫微、貪狼、巨門、廉貞、武曲、破軍、天府、天梁、天機、天同、天相、七殺、太陽、太陰の14星が甲級主星と呼ばれており、紫微斗数において最も重要な働きをする。特に「どのような」といった象意の主要な部分と吉凶の判断は甲級主星から判断することになる。
なお、北斗七星がかたどる杓の柄を構成する廉貞、武曲、破軍の3星は死の使いとされていた[6]が、紫微斗数においても、廉貞、武曲、破軍の3星は軍事との関わりがあって、破軍は特にその傾向が強い。これは紫微斗数で使用する星々が、位置は実在天体の位置と無関係に暦から計算されるものであっても、同じ名前の実在天体当てはめられた象徴を受け継いでいることの証左となるだろう。
紫微斗数の星々が元の実天体の性質を受け継いでいるという事象は、太陽・太陰でより顕著で、例えば太陽は夜明けに対応する卯宮にあるとき品位が最上の廟となる。また紫微斗数において太陽が持つ基本的な象意は公明正大であって、これは西洋占星術等での実太陽の象意と共通する部分がある。
従って紫微斗数では実在天体の位置を考慮しないことをもって、紫微斗数で使用する星は『虚星』であって実在しないなどという主張は端的に言って間違いである。