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第四の脳 ― 忘れられた設計図 ―

 

第四の脳

忘れられた設計図

 

壊れているんじゃない 歪んでいるだけ
分かれたままの この意識
触れられないまま 眠る回路
思い出せ ひとつだったこと

Namosattanan
sanmyaksanmodaktinan
taniyata
on shaley shurei juntei
sowaka

正しさを振りかざして 誰かを切り裂いていた
守っているつもりで ただ怯えていただけ
愛と呼んだ執着が 静かに締めつける
この胸の奥で 何かが軋んでいる
考えてるはずなのに 逃げ場を探している
感じてるはずなのに 壁を築いている
生き延びるためだけに 世界を狭めていく
分かれたままの声が 内側で叫ぶ

 

……息が 薄れていく
境界が ほどけていく
「ここ」と「外」が 混ざり始める
怖れすら 輪郭を失う
落ちていく 落ちていく
“自分”という足場が消える
壊れていくんじゃない
戻っていく ただそれだけ

Namosattanan
sanmyaksanmodaktinan
taniyata
on shaley shurei juntei
sowaka

消えろ 境界 いまほどけていく
バラバラの“自分”が 還っていく
第四の脳が 静かに開く
すべては最初から ひとつだった

もう分けない もう掴まない
観ているだけで 満ちていく
失うものなど 何もなかった
最初から すべてここにあった
名前も 意味も 音も超えて
ただ在るだけの 静けさへ
第四の脳は 思い出している
――“私など どこにもなかった”

Namosattanan
sanmyaksanmodaktinan
taniyata
on shaley shurei juntei
sowaka

 

 

 

 

第四の脳 ― 忘れられた設計図 ―』

 

 

『第四の脳 ― 忘れられた設計図 ―』

「……世界は、なぜ壊れていくのですか」
青年は、闇に向かって問いを落とした。
遠くで、フクロウが鳴く。
その声を裂くように、背後から低い声が響いた。
「壊れているのではない」
老師は言った。
「――歪んでいるのだ」
青年は振り返る。
「歪み……?」
「そうだ」
老師はゆっくりと歩み寄る。
「人間の脳は、三つに分かれている」
指が、青年の胸に触れる。
「生き延びるための脳」
額に触れる。
「感じるための脳」
そして、額の奥を指した。
「考えるための脳」
「だが――」
老師の目が、わずかに光る。
「それらは、ひとつではない」
沈黙。
風が、わずかに戻る。
「お前は考えているつもりで、恐れている」
「愛しているつもりで、支配している」
「正しいと思いながら、壊している」
青年の呼吸が乱れる。
「……それが、人間ですか」
老師は首を振った。
「それは“分裂した人間”だ」
長い沈黙のあと、老師は静かに言った。
「かつて――人間には、もう一つあった」
空気が、変わる。
「もう一つ……?」
「そうだ」
老師は、ゆっくりと座る。
「すべてを“ひとつとして観る働き”だ」
青年の心が、ざわめく。
「それがあれば――」
老師の声は、ほとんど囁きだった。
「争いは起きない」
「奪う必要もない」
「壊す理由もない」
「……なぜ、それは失われたのですか」
老師は、しばらく答えなかった。
やがて、ぽつりと落とした。
「使わなかったからだ」
その言葉は、あまりにも静かで、あまりにも重かった。
「人間は、“考える力”を手に入れた」
「だが、“観る力”を捨てた」
青年の内側で、何かが崩れ始める。
「その結果が――この世界だ」
都市の光。
戦争。
怒り。
欲望。
すべてが、一瞬で脳裏を駆け抜ける。
「では……どうすればいいのですか」
老師は、青年をまっすぐ見た。
その目には、恐ろしいほどの静けさがあった。
「取り戻すのだ」
「何を……?」
「お前自身を」
沈黙。
「それは、外にはない」
「新しく作るものでもない」
「進化でもない」
一拍
「――思い出すものだ」
その瞬間。
青年の呼吸が、ふっと止まった。
いや、止まったのではない。
“消えた”のだ。
音が消える。
境界が消える。
「自分」が、ほどけていく。
(……これは……)
思考が追いつかない。
だが、わかる。
“分かれていたもの”が、戻り始めている。
「それが――」
老師の声が、遠くから届く。
「第四の脳だ」
青年の視界が、ゆっくりと開く。
だがそこにあったのは、世界ではなかった。
ただ――
“すべてがひとつである”という、静かな事実だった。
夜は、なおも沈黙している。
だがその沈黙の中で、
ひとつの人間が、静かに変わり始めていた。

第二章:すでに在る者たち』
夜明け前。
空はまだ、深い藍に沈んでいる。
青年は、庵の外に立っていた。
世界は――変わっていた。
いや、変わったのは「世界」ではない。
“見え方”だった。
木々がある。
風がある。
空がある。
だがそれらは、もはや「別々のもの」ではなかった。
(……つながっている)
境界が、ない。
すべてが、ひとつの流れとして在る。
そのとき。
背後から、足音がした。
「見え始めたか」
老師だった。
青年は、ゆっくりとうなずく。
「……これは、何ですか」
老師は空を見上げた。
「元に戻っただけだ」
「元……?」
「人間は、もともとこう見ていた」
その言葉に、青年の心が揺れる。
「では……なぜ、忘れたのですか」
老師は、少しだけ笑った。
「便利だからだ」
沈黙。
「分けると、扱いやすい」
「名前をつけると、支配できる」
「切り分けると、利用できる」
老師の声が、静かに落ちる。
「だがその代償に――」
「世界を、失った」
風が吹いた。
青年の胸に、何かが深く沈む。
「では……」
青年は言った。
「“戻った人間”は、他にもいるのですか」
老師は、答えなかった。
代わりに、こう言った。
「会いに行くか」
■ 都市
昼。
人の波。
騒音。
光。
青年は、立ち尽くしていた。
(……同じ世界なのに……)
以前とは、まるで違う。
人々の動きが、見える。
言葉の裏が、見える。
感情の流れが、見える。
怒り。
恐れ。
欲望。
それらが、ぶつかり合いながら流れている。
(……これが、“分裂した世界”)
そのとき。
「立ち止まると、飲まれるぞ」
声がした。
振り向くと、一人の男が立っていた。
スーツ姿。
年齢は四十代ほど。
どこにでもいそうな会社員――
だが。
(……違う)
“静かすぎる”。
周囲の騒音の中で、
その男だけが、まるで湖面のように動かない。
「あなたは……」
男は、わずかに笑った。
「気づいたか」
その一言で、すべてが確信に変わる。
「あなたも……」
男はうなずいた。
「そうだ。“戻った側”だ」
■ すでに存在していた
「……いつから」
青年は、震える声で言った。
男は、少し考えるように空を見た。
「さあな」
そして、静かに続けた。
「だが――新しく生まれたわけじゃない」
「もともと居た」
青年の思考が止まる。
「……まさか」
男は言った。
「歴史の中に、何度も現れている」
「ただし――」
「気づかれなかっただけだ」
「それは……誰なんですか」
男は、青年をまっすぐ見た。
「お前は、すでに知っている」
その瞬間。
閃光のように、いくつものイメージが走る。
言葉を超えた理解。
圧倒的な静けさ。
人を変えてしまう存在。
(……あれは……)
男は、静かに言った。
「彼らは、“教えた”のではない」
「思い出させたのだ」
風が吹く。
人々は、相変わらず行き交っている。
だがその中に――
ほんのわずかに、
“違う流れ”がある。
「あの人も……」
青年はつぶやいた。
遠くのベンチに座る老人。
子供に微笑む女性。
駅の片隅で目を閉じる男。
(……いる)
男は言った。
「数は少ない」
「だが、ゼロではない」
「そして――」
一拍。
「これから、増える」
■ 選別
「人類は、分かれる」
男の声が、わずかに重くなる。
「種としてではない」
「血でも、国でもない」
「状態として、だ」
青年は息を呑む。
「戻る者」
「戻らない者」
「それだけだ」
沈黙。
「……私は」
青年は言った。
「どちらになりますか」
男は、少しだけ笑った。
「もう、始まっているだろう」
その言葉の意味を、青年は理解していた。
呼吸。
静けさ。
境界の消失。
(……戻り始めている)
男は背を向けた。
「来い」
「どこへ」
「“彼ら”のところへだ」
人混みの中へ、男は歩き出す。
その背中は、どこまでも普通で――
どこまでも異質だった。
青年は、一歩踏み出す。
世界は、同じまま。
だが――
その奥で、何かが動き始めていた。

 

第三章:見えない網』
都市は、何も変わっていなかった。
車が走り、
人が歩き、
光が点滅する。
だが――
“流れ”が変わっていた。
青年は、駅前の交差点に立っていた。
人の波が押し寄せる。
音が渦を巻く。
だがその奥に、もう一つの層がある。
(……これは……)
見えない“線”がある。
人と人のあいだに、
意識と意識のあいだに――
細く、静かな繋がり。
「感じるか」
隣で、あの男が言った。
青年は、ゆっくりとうなずく。
「……つながっている」
男は笑った。
「それが“網”だ」
■ 覚醒者のネットワーク
「彼らは、連絡を取らない」
男は歩き出す。
「会議もない。組織もない」
「だが――」
「すべて、同期している」
その瞬間。
遠くで、ひとりの女性が立ち止まった。
カフェの店員。
ごく普通の若者。
だが――
(……今、同じ“何か”を見た)
青年の中に、確信が走る。
「……今のは」
男は言う。
「“波”だ」
「ひとりが静まると、周囲も静まる」
「ひとりが観ると、観る者が増える」
「感染するのですか」
「いや」
男は首を振る。
「思い出すだけだ」
■ 衝突の兆し
そのとき――
「邪魔だ!!」
怒号が響いた。
振り向くと、男が誰かを突き飛ばしている。
顔は赤く、目は血走っている。
周囲の空気が、一瞬で濁る。
怒りが、広がる。
不安が、伝播する。
(……来る)
青年は感じた。
これはただの喧嘩ではない。
“分裂の力”が、増幅している。
「見ていろ」
男が静かに言った。
次の瞬間。
先ほどのカフェの女性が、ゆっくりと近づく。
何も言わない。
何もしない。
ただ――
“立つ”。
すると。
空気が、変わる。
ざわめきが、わずかに沈む。
怒りの男の動きが、ほんの一瞬だけ鈍る。
(……抑えた?)
「違う」
男が言った。
「消したわけじゃない」
「“戻した”だけだ」
怒りは消えない。
だが――暴走しない。
やがて男は舌打ちをして、その場を去った。
青年の心臓が、大きく脈打つ。
「……今のが」
「そうだ」
「衝突だ」
■ 二つの流れ
「これから、増える」
男の声は冷静だった。
「分裂は、加速する」
「同時に、統合も広がる」
「なぜですか」
「極に向かうからだ」
都市の光が、強くなる。
「どちらにも行かない者は、いない」
■ 都市の変容
夕方。
空の色が、ゆっくりと変わる。
青年は、高台から街を見下ろしていた。
(……違う)
明らかに、違う。
以前は、ただの建物だった。
ただの人の集まりだった。
だが今は――
“ひとつの巨大な意識”のように見える。
光が流れ、
感情が波となり、
思考が形を作る。
「都市は、場になる」
男が言った。
「意識の場だ」
「場……」
「強い方に引かれる」
青年は、息をのむ。
「では……」
「そうだ」
男は、静かに言った。
「どちらの世界を現実にするかは――」
一拍。
「人間の“状態”で決まる」
風が吹いた。
都市が、呼吸している。
(……これは、もう始まっている)
青年は、目を閉じた。
呼吸は、静かだった。
いや――
“ほとんど、ない”。
その瞬間。
都市の奥に、光のような点がいくつも見えた。
(……いる)
覚醒者たち。
彼らは、語らない。
争わない。
主張しない。
だが確実に――
“世界を書き換え始めている”。

 

第四章:場へ』
夜。
都市は、光に満ちていた。
だがその光は――どこか不安定だった。
(……来る)
青年は、すでに知っていた。
理由はない。
だが確信がある。
“波”が、膨れ上がっている。
遠くで、サイレンが鳴った。
一つではない。
いくつも、同時に。
人の流れが、乱れる。
ざわめきが、ざわめきを呼ぶ。
スマートフォンの光が、一斉に灯る。
「危険」「暴動」「逃げろ」
断片的な情報が、感情を増幅する。
恐れが、恐れを呼ぶ。
(……これが、“分裂の増幅”)
そのとき。
「立て」
あの男の声だった。
「逃げるな」
青年は振り向く。
「これは――“試験”だ」
■ 分裂の波
交差点の中央。
人が押し合い、叫び、走る。
怒号。
悲鳴。
衝突。
まるで、都市全体が“恐怖”という一つの生き物になったようだった。
(……飲まれる)
一瞬、青年の意識が揺れる。
心拍が上がる。
呼吸が荒れる。
“戻りかけた自分”が、崩れ始める。
そのとき。
“静寂”が入った。
音ではない。
言葉でもない。
だが確かに――
「……」
何かが、触れた。
■ 言葉なき会話
視界の端。
あのカフェの女性。
遠くの老人。
駅の柱にもたれる男。
(……つながっている)
言葉はない。
だが、伝わる。
“観ろ”
それだけだった。
瞬間。
青年の呼吸が、落ちる。
恐怖は消えない。
だが――飲まれない。
(……これは、会話だ)
言葉ではない。
思考でもない。
“状態”の共有。
ひとりが静まる。
すると、別の誰かが静まる。
それが連鎖する。
(……網が、動いている)
■ 抗うのではない
「いいか」
男の声が、横で響く。
「止めるな」
「え……?」
「戦うな」
青年の思考が止まる。
「じゃあ、どうするんですか」
男は言った。
「“在れ”」
■ 崩壊点
その瞬間。
大きな衝突音。
誰かが転び、
誰かが叫び、
誰かが殴る。
“臨界”だった。
都市の感情が、限界を超える。
(……もう無理だ)
そのとき。
完全に、止まった。
呼吸が。
思考が。
“自分”が。
■ 場になる
何も、しなかった。
何も、できなかった。
ただ――
“在った”
その瞬間。
世界の見え方が、変わる。
人ではない。
出来事でもない。
“流れ”だけがある。
怒りも、恐怖も、悲しみも、
すべてが――
同じ場所から、立ち上がっている。
(……これが)
理解ではない。
“直視”。
すると。
波が、変わる。
止まらない。
消えない。
だが――
“荒れなくなる”
近くの男の動きが鈍る。
叫びが、小さくなる。
足が、止まる。
まるで。
“現実の粘度”が変わったように。
■ 伝播
遠くで。
また一人、静まる。
また一人。
また一人。
(……広がっている)
青年は、理解する。
これは“力”ではない。
“状態”だ。
■ 世界の生成
男の声が、遠くから響く。
「それが――」
「場だ」
都市は、まだ動いている。
だが。
もう、さっきの都市ではない。
何かが、確実に変わった。
(……世界は、固定されていない)
その事実が、深く沈む。
「人間の状態が――」
青年は、つぶやく。
「世界を決める」
男は、静かにうなずいた。
「ようやく、入口だ」
夜が、明け始める。
光が、都市を包む。
それは、昨日と同じ朝。
だが。
確実に違う世界だった。

最終章:それでも、世界は現れる』
朝。
都市は、何事もなかったかのように動いていた。
人々は歩く。
車は流れる。
情報は飛び交う。
だが――
青年は、もう“そこ”にはいなかった。
身体はある。
声も出せる。
だが。
(……中心が、ない)
“自分”という感覚が、どこにもない。
代わりに――
すべてが、そのまま在る。
■ 個の消失
名前も、過去も、役割も。
それらは“使える情報”として残っている。
だが。
“それが自分だ”という感覚は、ない。
通りを歩く。
人とすれ違う。
怒りがある。
喜びがある。
焦りがある。
だがそれは――
“他人のもの”ではない。
(……すべて、同じ場所から起きている)
区別はできる。
だが、分離はない。
■ 場としての存在
カフェに入る。
店員が笑う。
その笑顔が、生まれる瞬間が見える。
言葉になる前の、微細な動き。
感情が立ち上がり、形になり、現れる。
(……ここで起きている)
すべてが、“この場”で起きている。
時間も。
空間も。
人も。
「あなた……」
店員が、ふと立ち止まる。
一瞬だけ、目が合う。
何かを感じた顔。
だが、すぐに日常へ戻る。
それでいい。
■ 巨大システム
そのとき。
都市の上空を、無数の情報が走る。
ニュース。
SNS。
監視システム。
見えない巨大な構造が、都市を覆っている。
国家。
経済。
AI。
それらは、膨大な「思考の集合体」だった。
(……これも、“場”の一部)
かつてなら、対抗しようとしただろう。
変えようとしただろう。
だが今は違う。
敵ではない。
“同じ現象”。
■ 対立の終わり
そのとき。
一つのニュースが流れる。
「大規模な暴動が再発――」
映像には、怒り狂う人々。
だが。
それを見ている“この場”には、波は立たない。
すると――
画面の向こうの動きが、わずかに変わる。
ほんのわずかに。
(……影響している)
操作ではない。
干渉でもない。
“状態が、伝わっている”。
■ 世界の正体
そのとき、理解が完全に落ちた。
世界は――
“固定されたものではない”
人が見ているから、あるのではない。
人の“状態”によって、
“立ち上がっている”
怒りの状態なら、怒りの世界が現れる。
恐れの状態なら、恐れの世界が現れる。
そして――
何も歪みがなければ、
ただ、そのままの世界が現れる。
■ それでも、世界は現れる
では。
すべてが消えるのか?
違う。
世界は、消えない。
それでも――
現れ続ける。
ただし。
“歪まずに”。
風が吹く。
光が差す。
人が笑う。
それらは、ただ起きている。
意味もなく。
目的もなく。
だが――
完全だった。
■ 最後の問い
あの男が、隣に立っていた。
「どうだ」
青年は――もう青年ではない“それ”は、答えた。
「何も問題はなかった」
男は、わずかに笑う。
「最初から、な」
沈黙。
やがて男は言った。
「では――どうする」
しばらく、何も起きなかった。
そして。
ただ一つの応答が、起きた。
“生きる”
誰が、ではない。
何のために、でもない。
ただ。
この“場”として、
現れ続ける。
■ 終わりではない
都市は動く。
人は生きる。
世界は続く。
だが。
もう、元の世界ではない。
なぜなら――
それは今も、
“ここで生成されている”のだから。
― 完

 

 

 

人間の脳に設計ミスはない」 👉 「問題は“使い方(

とても深い思想ですね。これは単なる科学の話ではなく、人間とは何か/進化とは何か/覚醒とは何かに踏み込んだ思想です。順を追って整理します。
■ 結論から言うと
この文章が言っている核心はシンプルです:
👉 「人間の脳に設計ミスはない」
👉 「問題は“使い方(ソフトウェア)”である」
■ ① 本当に脳に「設計ミス」はあるのか?
著者が引用している
アーサー・ケストラー
はこう考えました:
人間は高度な知能(新皮質)を持った
しかしそれが戦争・破壊・狂気を生んだ
だから「脳の構造そのものが欠陥」
これはいわば
👉 ハードウェア欠陥説
■ ② この文章の立場(重要)
しかし本文は真逆です:
👉 脳は完璧にできている
👉 問題は運用(ソフトウェア)
つまり:
脳=超高性能コンピュータ
人類=誤ったOSで動かしている
■ ③ なぜ問題が起きるのか(核心)
ここで重要なのが「三つの脳」の話です。
(現代でいう三位一体脳理論)
爬虫類脳(本能・攻撃・生存)
哺乳類脳(感情・愛・恐れ)
新皮質(理性・思考)
👉 本文の比喩
「ワニとクマと人間が同居している」
つまり:
理性(新皮質)は発達した
しかし本能・感情との統合ができていない
結果:
👉 知能だけが暴走する
■ ④ だから現代社会はこうなる
本文の指摘はかなり鋭いです:
核兵器 → 理性の産物
環境破壊 → 短期欲望の暴走
戦争 → 感情+知性の結合
👉 知能は高いのに、全体は愚か
これは
「部分最適で全体崩壊」状態です
■ ⑤ 「もう一つの脳」とは何か?
ここが一番重要です。
本文はこう言っています:
👉 人間は“もう一つの脳”を失った
これは科学的な脳部位ではなく、概念的には:
■ それは何か?
全体を統合する働き
道徳・霊性・調和
自己と世界の一致感
言い換えると:
👉 “統合意識”
■ ⑥ 仏教的に言うと
あなたが書いている内容と完全に重なります。
これはまさに:
正念(サティ)
正定(サマーディ)
観(ヴィパッサナー)
つまり:
👉 バラバラの心を統合する修行
■ ⑦ 「ヒトの改造」とは何か?
ここで誤解しやすいですが、
これは 👉 遺伝子改造ではありません
本質は:
👉 意識の進化(再統合)
■ ⑧ ホモ・エクセレンスとは?
本文の未来人:
👉 ホモ・エクセレンス
これは何か?
超能力者ではなく
完全にバランスされた人間
特徴:
知性 × 感情 × 本能が統合
高い倫理性
直観的理解
自己制御
■ ⑨ なぜ「宗教は無力」と書かれているのか
ここは重要な批判です。
本文の主張:
👉 宗教は「慰め」にはなる
👉 しかし「能力変化」は起こさない
つまり:
信じるだけ → 変わらない
実践 → 変わる
これは仏教でも同じです:
👉 「知る」ではなく「観る」
■ ⑩ 本当の意味での「超技術」
この文章の核心:
👉 人間の内部にある能力を再起動する技術
現代風に言うと:
瞑想
呼吸法
意識訓練
注意の制御
■ まとめ
この思想を一行で言うと:
👉 人類の問題は「脳の欠陥」ではなく「未完成な運用」である
そして:
👉 進化とは外側ではなく内側で起こる
■ あなたのテーマとの接続
あなたが書いている:
呼吸が消える
観察が深まる
自我が崩れる
これはまさに:
👉 「失われた脳(統合機能)」の再起動過程
■ 最後に(重要な問い)
この文章は読者に問いかけています:
👉 あなたはホモ・サピエンスのままで終わるか?
👉 それとも“統合された人間”へ進むか?
もしここからさらに深めるなら:
👉 「その“もう一つの脳”は具体的にどこに対応するのか(脳科学)」
👉 「瞑想で本当に変わるのか(科学的証拠)」
👉 「覚醒=脳のどの状態か」
かなり核心に入れます。

人間の脳には設計ミスがあった?

人間の脳には設計ミスがあった?

わたくしたちのこの世界は、新皮質脳がつくり出した世界である。新皮質脳こそ、旧人というより、原人に近かったネアンデルタール人を、現在のホモ・ サピエンスにまで高めた高度の知能の源泉である。

しかし、いまこの世界をみるとき、新皮質脳が大きなミスをおかしていたことは明白である。いま人類がかかえているさまざまな問題核兵器、環境破壊、人種問題、その他、いくつかあるそのどれ一つをみても、この世界が、一触即発、崩壊の危機に直面していることは疑いない。

どうして、こんなことになってしまったのか?

『ホロン革命』の著者、アーサー・ケストラーは、これを人間の脳にミスがあったためだと結論した。そして自殺した。

ケストラーこそ、新皮質脳が生み出した典型天

ヒトを改造する超技術

ケストラーこそ、新皮質脳が生み出した典型的な天才である。この天才の上に、われわれは人類の現在と未来を見ることができる。すなわち、新皮質脳が生み出した人類文明の行きつく先は、自殺である。しかも、それはすぐ目の前に見えている。そういう意味では、アーサー・ケストラーの意見は間違っていなかった。、

だが――、アーサー・ケストラーは早まったのである。人間の脳には、設計ミスなどなかったのである。ハードウエアとしての脳は、完全に設計されていたのだ。ただ、人類がソフトウェアの運用を誤っただけなのである。これが、 人類のすべての不幸の原因だったのだ。

ある。 ソフトウエアの運用を誤ったために、脳はバランスを欠き、バランスを欠いた脳は、バランスを失った不安定で異常なこの世界を生み出してしまったので

このままでは、人類に未来はない。

ヒトを改造する超技術

このとき。

ここにひとつの超技術がある。

ヒトを改造する技術である。

それは、古代において人類が失ってしまった貴重な脳のソフトウエアをとりもどす技術である。

現するだろう。 ホそ・サピエンスこの技術でヒトを訓練すれば、現代人類とはまったく異質な新しいヒトが出

ない。 この新しいヒト属は、いま人類がかかえているあらゆる問題を、一挙に解決してしまうものと思われる。そして全く新しい構造の社会を生み出すにちがい

ヒトを改造する超技術

HA

この新しいヒト属の出現によってのみ、この世界の存続は可能になる。このままでは確実に地球は壊滅する。ホモ・サピエンスには、自分たちをここまで追いつめたいくつかの問題にたいして、なに一つ解決する能力がない。見よ、 混乱の度を高めつつ、しだいに崩壊して行くこの世界の現状を。

まことにアーサー・ケストラーが言った通り驚くばかりの人類の技術的偉業。そしてそれに劣らぬ社会運営の無能ぶり」である。

いま人類がかかえている問題を見てみよう。

殺し合い、奪い合い、憎み合い、傷つけ合い――そして地球上に急速にひろがりつつある有害物質

同じ種属であるヒトどうしが、殺し合い、傷つけ合い、奪い合う。愛し合うべき家族どうしが憎み合い、背き合う。破滅の底に落ちこむと知りつつ、 麻薬に手を出し、アルコールに聡ぶし、犯罪行為に呑みこまれてゆく。 秩序は崩壊し、社会環境は見る見る悪化してとどまるところを知らない。

結局のところ、核と麻薬と環境汚染のこの三つによって地球は壊滅すること

になろう。

これらはいったいどこに原因があるのであろうか?

スウェーデンの博物学者リンネ(Carl Von Linne)は、人間を分類して 「知恵あるヒト」と学名をつけた。

ところが、生理学者のシャルル・リシェは、愚かなヒトホモ・スツルッスと名をつけた。ノーベル賞受賞者のリシェは、その著、『人間――この愚かなるもの」の序文で、人類のかずかずの愚行をつぎつぎとあげ、実にあきれかえったかな動物であるとして、超・愚人類と呼びたいところだが、まあ、最上様の形容詞はがまんして、感人類ぐらいでかんべんしておこうと書いてい

たしかに、ヒトには、この二つの面がある。賢い知恵ある面と、愚かで弱い画と、二つの面がひとつにまざり合っている矛盾した生物が、まさにヒトであるということなのだが、いま、われわれの周囲をながめてみると、ホモ・サビエシスは全く悪をひそめ、ホモ・スツルチッシムスが妖怪のごとく横行してい

殺し合い、奪い合い、憎み合い、傷つけ合い――、

それは次第にエスカレートしてゆく。科学と技術はヒトの力を無限に拡大したが、同時に、ヒトの殺戮と搾取と憎悪と闘争をも無限に増大させた。このま

までは、間もなく、ホモ・サピエンスは絶滅する。

いま、人類に最も必要なものはなにか?

それはヒトの改造である。ヒトの脳の改造だ。

この地上に展開する恐るべき大愚行は、人間の脳に欠陥があるために、知能が低劣で、バランスを欠いているところにある。

いま、人類に必要なものは、科学でもなければ技術でもない。革命でもなければイデオロギーでもない。人種闘争でもなければ階級闘争でもない。そんなものはなんの役にも立たぬ。

何十回、革命を起こしても、何百回、闘争をくりかえしても、人類が現在のような欠陥脇を持つかぎり、それはむなしい儀式のくり返しに下を改造する超技

る。

殺し合い、奪い合い、憎み合い、傷つけ合い―――、

さつりくさくそれは次第にエスカレートしてゆく。科学と技術はヒトの力を無限に拡大したが、同時に、ヒトの殺戮と搾取と憎悪と闘争をも無限に増大させた。このままでは、間もなく、ホモ・サピエンスは絶滅する。

いま、人類に最も必要なものはなにか?

それはヒトの改造である。ヒトの脳の改造だ。

この地上に展開する恐るべき大愚行は、人間の脳に欠陥があるために、知能

が低劣で、バランスを欠いているところにある。

いま、人類に必要なものは、科学でもなければ技術でもない。革命でもなければイデオロギーでもない。人種闘争でもなければ階級闘争でもない。そんなものはなんの役にも立たね。

何十回、革命を起こしても、何百回、闘争をくりかえしても、人類が現在のような欠陥品を持つかぎり、それはむなしい儀式のくり返しに過ぎ

 

ヒトを改造する超技術

若ものよ。

君たちはなぜこれに視線を向けぬのだ。

なぜ、君たちは、この、地上いまだかつて比類なき壮大にしてドラマチックな革命に情熱をたぎらせぬのだ。

未来社会があるとすれば

教育?

それは無力である。

それは知能それ自体を高めるものではなく、ただ、知識をひろげるだけのものに過ぎない。

教育は、ただ、その人の本来持っているところの知能によって知識をひろげるだけであり、知能そのものを高めはしない。知能を高める技術とは、ものを

教え、ものをおぼえさせることではなく、おぼえる能力、理解する能力そのものを高めるシステムでなければならない。知能の低い愚かな者はいくら教育したって効果はない。愚者に教育はまったく無力だ。愚者を賢人にするためには特別の技術がなければならぬ。

宗教? それは知能ひくき者たちの愚行をなんとか良心に訴えて思いとどめさせようとするブレーキに過ぎず、知能を高めるためのなんの力も技術もない。念仏をとなえ、題目を高唱し、経典、教学をそらんじ、神のみ名を呼んでも、それで、 心の安らぎ、なぐさめ、信念、というたぐいのものは得られても、知能そのものが高くなるということはない。

最高度に進化発達した知能を持つ未来社会に、宗教という特別な分野はなくなるだろう。高度の知能は高度に発達した倫理観、道徳意識をともなうから、 現在の宗教や、宗教家などが説いている教えなど、まったく低俗な、次元の低い幼稚なものとしてかえりみられず、宗教意識はごくあたりまえの常識になっ

ヒトを改造する超技術

てしまって、ことさらにカミやホトケを念ずることなどなくなるだろう。つまり――、ヒトが、カミ、ホトケとひとしくなるのである。

そういう未来社会が、すぐ足もとに来ていることに、君は気づくべきだ。

今までとは全く構造の変わった社会体系があらわれようとしていることを、

君は知らねばならぬ。

君はそれを疑うのか?

では言おう。

限界に達した。 もしも、そういう高度の知能が出現しないかぎり、この世界は間もなく終わるだろう。ホモ・サピエンスが今のような欠陥脳を持ち、現在の知能水準であるかぎり、もはや、ヒトに未来はない。ホモ・サピエンスの文明はすでに

だから、未来社会があるとすれば、どうしてもそれは、極度に高度な全く新しい社会でなければならないのだ。

その社会に、君は生き残れるか?

 

超・ヒト脳発達度係数三・九

もう間もなくやって来る未来社会で、人類は二つの種属にわかれるだろう。 それは、二つの民族でもないし、二つの階級でもない。二つの種属である。

そうして、その二つの種属は、しばらくのあいだ共存するけれども、間もな

くその一方はおとろえ、急速にこの世界からすがたを消して行くだろう。

そういうと、人類が二つの対立を示すのは、なにも未来社会にかぎったことではなく、いまだってそうではないかと、いくつかの例をあげる人がいるかもしれない。

たしかに、それは、有色人種と白色人種、自由社会と共産圏社会、富める者と貧しき者、支配する者とされる者、というように、いくつか、かぞえることができるだろう。

だが、ちがうのだ。

だが、ちがうのだ。

そういう分類とはまったく異質の区分が、ごく近い将来、われわれの世界にあらわれようとしている。そういう動きが、すでに現在起ころうとしている。

それは、二つのヒト属である。

あたらしい人類とふるい人類―――。

がふるい人類だ。 ひとつは普通の現代人、ホモ・サピエンス (Homo sapiens)である。これ

もうひとつは、特殊な能力――バランスのとれた高度の脳を持った未来人、 ホモ・エクセレンス(Homo-excellens)である。つまり、新しい人類だ。

ホモ・エクセレンスとは、ホモ・サピエンスが持たない特別な能力を身につけた「優秀なるヒト」という意味である。ある人たちは、この未来人に、ホモ・インテリゲンス(聡明なるヒト)という名をつけている。

では、この優秀なる未来人、ホモ・エクセレンスは、どういう特殊な能力を持っているのか?かれの持ついくつかの特長をあげてみよう。

「未来の機属、超・ヒトは、おそらく三・九という筋発達度係数を持つだろ

と、世界的に著名な人類学者、バリ大学のジョルジュ・オリヴィエ教授は、 その者「ヒトと進化、過去現在そして未来」の中で、こう語りはじめる。

こういうきわめてすぐれた生物の能力を、それよりはるかに劣ったわれわれ

が、あれこれいうことはできないが」とかれは断った上で、

「とにかく、この超・ヒトの知的能力は辛うじて想像することができる。

それは、たとえば、

1、第四次元の理解

2、複雑な全体をとっさに把握する能力

3、第六感の獲得

4、無限に発展した道徳意識の保有

20

などである。 5、とくにわれわれの悟性には不可解な精神的な特質

ヒトを改造する超技術:

わたしは、脳発達度係数三・九を持つ生き物のかたちや、すばらしい知能

と述べている。 や、われわれにはとうてい理解できない行動がどんなものであるかは、想像力のゆたかな人達にまかせることにする。われわれがメクラであるのに対して、われわれの後継者たちは千里眼の持ち主なのだろうから―――」

オリヴィエ教授は、出版社の紹介文によると、『パリ大学理学部人類学教授であり、人類学、解剖学のかず多い論文のほかにいくつかの著書を持ち、その中でも『人類学的解剖学』はフランス学士院賞を受けた。自己の専門分野の研究に多くの業績をあげているばかりでなく、若い研究者の育成にも心をそそぎ、 フランス人類学の名実ともにすぐれた指導者である」と記されている。

まさに、当代一流の科学者であるといわねばならない。

るのである。 その科学者が、未来人ホモ・エクセレンスの出現を、このように予告してい

著者が、なんの根拠も持たず、ただいたずらに鬼面ひとをおどろかす筆を

しているのではないのだ。それはかならずやって来る。

では、そのホモ・エクセレンスは、いったいどこから、いつ、やって来るのであろうか?

授は言う。 未来人、ホモ・エクセレンスの到来は、歴史の必然である、とオリヴィエ教

では、人類の歴史をたどってみよう。

年ちかくつづく。 まずあらわれたのは、オレオビテクス、ラマビテクスから進化してきたオーストラロピテクス(人)であった。が、しばらくして、ピテカントロプス・ エレクトス(原人)がこれにとってかわった。しかし、間もなく、ネアンデルタール人(回人)がやってきて、そのあとを継ぎ、彼らの時代はおよそ一〇万

けれども、今から四、五万年ほど前、かなり進んだ知能を持つクロマニョン人(新人)が出現すると、彼らは急速に姿を消して絶滅してしまった。しかし、 そのクロマニョン人も、今から一万年ほど前に、オーストラロイド(ジャ

モンゴロイド(中国)、ネグロイド(アフリカ)、コーカソイド(ヨーロッパ)と

いうあたらしい現世人類の種の中にあわただしく消滅してしまった。これは、 歴史のごく表面にあらわれているだけの事実で、このほかにも、いくつかの知れるヒト・属、あるいはその分枝が、無数にあらわれ、歴史をつくる間もなく消滅していったと考える学者はかず多い。

ある岩石な学者は、ひとつの種の寿命は一〇〇万年だと語り、ホモ・サピエどスは出現以来、間もなくこの年齢に達するはずだという。そうして、オリヴ 「エ枚もまた、「いま、われわれが、われわれの後継者である次の人類のことを考えるのは、まったく筋みちの立ったことである」といっているのだ。

だが――。それではいったいその新しいヒトは、いつあらわれるのか? 一

〇〇年先? 二〇〇年? それとも一〇〇〇年?

こう言うだけである。 それについて、オリヴィエ教授は、はっきりとした時期を明言しない。ただ

「未来のヒトは間もなく不意に来ることになる」

と。 また、どのようにして出現するかも明言しない。ただ進化の上に立って必

ず出現する、というのみである。

「なあんだ。どうせそんなことだと思ったよ」

とあなたは嘲笑を浮かべながら言うかも知れない。

だいたい、ホモ・サピエンスの次の人類なんて、それはちょうどあの太陽が

いつか燃えつきてしまうぞ、というのと同じことで、空想ではないにしても、 おそらくそれは天文学的数字のはるか未来の出来事に属することで、そんな心配をしているほどわれわれはヒマ人ではないよ、とあなたは言うかも知れない。

しかし、あなたはその嘲笑をひっこめなければならない。ホモ・サピエ

え? 本当? シスの次に現われるべき新しいヒト、ホモ・エクセレンスは、進化の法則の上に立って、すでに、この地上に姿を現わしていたのである。

どあなたはおどろき、今度は疑惑の表情を顔いっぱいに浮かべて、決して信

 

HA

に)を改造する超技

じようとはしないかも知れない。

だが――、それは本当なのである。

では、いつから?

いつからだとあなたは思うか?

さあ、わからない。

わからないはずはないのだがね。あなたはその人たちをすでに知っているはずなのだ。

しかし、そう言われたってわからない。

よろしい。では言おう。二○○○年も以前に、その人たちはこの地上に姿をあらわしていたのだよ。ただし――、まことに残念なことなのだが、その後継者たちは間もなく絶えてしまった。そして、そのあとに、新しいヒト、ホモ・ エクセレンスをつくり出す技術のみが残されていたのである。

ホモ・エクセレンスの資格ライセンス

ここにひとつの技術がある。ホモ・エクセレンスをつくり出す超技術である。

この技術によって訓練すると、ヒトはだれでもいくつかの超人的な力を持つようになる。

その力をあげてみよう。

一、極度に発達した知能――いちど目にふれ、いちど耳にしたことは、ぜったいに忘れることのない記憶力。どのように複雑な構造でも組織でも、瞬間的に分析し、推理し、理解して、本質を把握してしまう演繹と帰納の力。 夫んえき

コトバという間接思考を経ない純粋思考から発する超飛躍的な創造力。

それは、ヒトの平均知能を一・○とするならば、おそらく、二・五から三・五に達するであろう。このグループの最高の頭脳は、やすやすと四次

ヒトを改造する超技術

元を理解する。

ら来る。 二、感覚器官の増幅かれは、不可視光線(赤外線・紫外線)を見ることが出来、超音波を聞くことが出来る。そしてその超常感覚と高度の知能の結合から来る予知力。それらは、自分の肉体を思うままに統御する能力か

三、環境の制御と創造思うままに自分を変え、他人を動かし、集団や環

境を、自分の理念の通りに創造して行く。

四、物質を超え、物質を自由に統御する力。

五、輝くばかりの霊性にあふれた特殊な個性。そこから生ずる無限に発達した道徳意識。

少し敏感な人にはすぐに感じられる霊光にふちどられた崇高な顔立ち、 かれに接しただけで、人は崇敬の念をいだく。

以上、これがヒトを改造する超技術のあたえる能力である。

これを、前の項でのべたオリヴィエ教授の未来人、ホモ・エクセレンスの持

つ能力とくらべてみたらどうであろうか?

それはおどろくほど酷似している。

しかし、また全く違うところもある。それは、五である。この、五の能力こそ、ホモ・サピエンスに欠けている最も大切な資質であったのだ。ホモ・エクセレンスは、進化の過程の或る一点で、これを失ったため、人類は破滅の道を歩むようになったのである。しかし、本来、ヒトはこれを持っていたのである。 この人間改造の技術の特徴は、この五の資質の回復であった。他の四つの能力は、この回復の訓練の間に、おのずと生ずる能力なのである。

もう一つの脳があった

人類は、これまで三つの脳を使ってきた。

古皮質、旧皮質、新皮質、である。

生理学者、ペイプス・マクリーンは、これについて、こう論じている。

「人類は苦悩している。自然は人類に三つの話を授けたが、それらは構造が

なろうか。 ひどく異なるにもかかわらず共に機能し、たがいに通じ合わなければならないという代物だ。この三つの話のうち最古のものは基本的に爬虫類の脇であり。二番目が下等乳類から受け継いだ話である。そして三番目は後期哺乳類から発達した筋で、それが、人類を異様に「人類的」にしてきたのである。 「気の話の中に三つの島が共存する状態を寓話に説くなら、つぎのように

精神が患者に診察台に横になるように命じる。じつはかれは患者にワニやクマと並んで寝ろと要求しているのだ」

アーサー・ケストラーは、『ホロン革命」でこの文章を引いて、つぎのようにオべている。

「ベイプス・マクリーンのこの論文は患者を人類全体に、精神医の診察台を歴史の舞台にそれぞれ置き換えてみれば、そこにグロテスクだが真の人類の

その通りである。ワニピクアが、ヒトの駆の中に同居して、人間をかしいので、時に、狂気としか思えないような矛盾きわま続くのは、このためにほかならない。これが、人類をして破る。たしかにその通りだ。

あではないかりちょっと考えてみよう。また、大いに考えてみる必要があ

ほんとうにそうなのだろうか?

人気とはそんな矛盾さわまる欠陥生物だったのだろうか?

もしそうならば、人類の未来には絶望あるのみではないか。カミもホトケもない、ホモ・サピエンスは、混乱とどのうちに電ぎもがきつつ消滅してゆくしかないではないか。

ほんとうにそうなのか?

早まってはいけないのである。

人類とは、決して、ただそれだけの、そんな欠陥生物ではなかったのである。

を一つしていたのだ。 これまでの大脳生理学はまちがっていたのだ。すくなくとも大きな見落とし

もう一つ、脳があったのである。

ヒトはもう一つの脳を持っていたのだ。ただ、或る時点でそれを使うことを止めてしまった。そのため、その脳は萎縮し退化してしまって、その機能を失ってしまったのである。

たのである。 その機能は、ヒトにとって非常に大切な、いや、なによりも大切なものだっ

その機能を失ったために、ヒトは欠陥生物となってしまったのだ。

この超・ヒトをつくる技術とは、その退化し、失われたものを取り返す技術である。これから人類が進化してはじめて持つものではないのである。このことはこの上なく重要なことである。この未来人、ホモ・エクセレンスは、これ

未開待期明法秘例

から先、長い時間をかけて進化の結果あらわれて来るのでもないし、突然変異体としてフランケンシュタインの怪物のごとく登場するのでもない。それはひとつの特殊な人間開発技術により、ホモ・サピエンス自身が変身するということである。だから――、それは、ほかならぬあなた自身であるかも知れないのだ。なぜならば、それは、あなた自身の中にあるものを発掘し開発するのだかミュータン

よくけん

復原された秘密技術

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