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健康  クルクミンとうつ病

Male talking to therapist in office

クルクミンはウコンで発見された明るいオレンジ黄色の化合物で、カレーに独特の色を付与します(しばしば黄色のマスタードにも含まれています)。数千年間、医学的に使用されたウコンは、アーユルヴェーダ医学で尊敬されるハーブです。クルクミンは一般的に、痛みや炎症を和らげる抗炎症薬であると考えられていますが、脳の健康を改善するのにかなりの潜在力を見せ始めています。最近の臨床試験では、クルクミンがうつ病、不安症、統合失調症に有用である可能性が示唆されています。

構造的に、クルクミンは「ポリフェノール」として知られています。ポリフェノールは自然界に広く分布しており、多くの様々な植物に含まれています。クルクミン以外にも、緑茶ブドウの種松の樹皮抽出物など、潜在的な脳の健康増進効果に役立ついくつかのフラボノイドが豊富なハーブも研究されています。一般的に、クルクミンのようなポリフェノールは強力な抗酸化物質であり、健康増進効果に影響を与えそうです。

1. クルクミンとうつ病

うつ病は、約50%の患者だけが標準薬物に効果があるため、治療が難しい場合があります。反応を見せた患者でさえ、かなりの残留症状で部分的にのみ改善されることが多いです。標準的な治療法にうまく反応しない多くの患者には、特に強力な安全プロファイルを持つ代替治療法が必要です。

セント・ジョンズ・ワート(Saint John’s wort)サフラン(saffron)を含む他のうつ病の自然療法が期待されていますが、クルクミンに関する最新の研究で、うつ病や気分低下にも効果があることが強く示唆されています。動物モデルがストレス反応の正常化、抗炎症効果、セロトニンを含む神経伝達物質の機能改善など、様々な効果を示唆しているため、うつ病治療剤としてのクルクミンに対する関心が高まっています。

うつ病に対するクルクミンの臨床試験の歴史は10年と浅く、最初の試験が行われたのは2013年のことです。最初の臨床試験では、吸収を高めるために黒コショウ抽出物と組み合わせたかなり少ない量のクルクミンを使用しました。患者には、クルクミンまたはプラセボと組み合わせた標準的な薬が5週間処方されました。結果は有意なものではありませんでせしたが、クルクミンを服用した場合、服用しなかった場合よりも緩和の速度が速くなる傾向を発見しました。

さらなる研究では、様々な用量範囲でのクルクミンの異なる製剤を探求しました。最近のメタ分析は、9つの異なる臨床試験の結果を組み合わせて、クルクミンがうつ病の症状を改善すると結論付けました。効果があまり大きいので、強力な抗うつ効果があることも発見しました。ただし、他のレビューではエビデンスの質に疑問を提起しており、実際の利点を十分に理解するにはより多くの研究が必要だと指摘している点に注目する価値があります。

2. クルクミンと不安症

パッションフラワー(passionflower)レモンのバーム(lemon balm)アシュワガンダ(ashwagandha)カバ(kava)など、いくつかの自然療法が不安症治療の可能性を見せ始めていますが、クルクミンを用いた臨床試験も有望です。多くのうつ病患者が不安症に苦しんでいるため、クルクミンに対する多くの臨床試験で、うつ病と不安症状の両方を組み合わせて評価しました。

すべての試験で抗不安効果が認められたわけではありませんが、大部分では認められました。最近のレビューのいくつかでは、クルクミンがうつ病と不安症の両方に役立つと結論付けています。

3. クルクミンとアルツハイマー病

認知症の最も一般的なタイプはアルツハイマー病です。この疾病は非常にゆっくりと発症し、脳への損傷が蓄積されるにつれて10~20年にわたって発症する可能性が高いです。最初の症状としては記憶力に問題があるが、進行するにつれて壊滅的になり、患者は自分の世話ができなくなり、友人や家族を見分けられなくなります。

現在のアルツハイマー病の主な治療法は、適度に機能が向上するかもしれませんが、基礎疾患の進行を遅らせることはありません。世界が認知症患者の流行に直面している今、私たちにはこれまで以上に、予防と治療のためのより良い手段が必要です。

他の条件と同様に、いくつかの予備臨床研究は、魚油、シチコリン、アセチル-L-カルニチンなどの多くの自然なアプローチの利点を示唆しています。自然療法の中では、クルクミンもある程度の効果があるようです。

血糖値の問題や糖尿病はアルツハイマー病と強く関係しています。アルツハイマー病は3型糖尿病と言われるほどつながりが深いのです。クルクミンは、この状態を引き起こす要因の1つである血糖値を制御する効果を示しています。

さらに、アルツハイマー病は、アミロイド斑やタウタングルなど、長年にわたって発生する特徴的な脳損傷を引き起こします。少なくとも動物モデルでは、クルクミンがアミロイド斑の形成を抑制し、すでに形成されているもののレベルを下げることが示されています。もし、このような効果が人間に対しても発揮される場合、クルクミンは予防と治療の役割を果たす可能性があります。

クルクミンと認知症の人体実験

現時点では、人間の臨床試験はほとんどありませんが、有望です。ある研究では、高齢者を対象にしてクルクミンとプラセボを比較しました。1年以上にわたり、クルクミンを服用した参加者は安定した認知機能を持っていましたが、プラセボを服用した参加者は大幅な低下を示しました。

おそらく最も印象的な研究は、認知症のない高齢者を対象に生体利用可能な形態のクルクミン(Theracurmin)をテストしたことです。18カ月の間に、クルクミンを服用する被験者の記憶力と注意力が向上しました。さらに、(脳)画像検査は、アミロイド斑とタウタングルの両方が研究の過程で減少したことを示しました。データは、認知機能低下と認知症に対するクルクミンの予防可能性を示唆しています。

すべての臨床試験でクルクミンの利点が発見されたわけではないが、使用されたクルクミンの投与療法と形態は研究によって大幅に異なります。また、クルクミンは、より深刻な記憶障害があると診断された患者に対する治療よりも、初期の介入としてより効果的に作用する可能性があります。

クルクミンの安全性

クルクミンはかなり安全であることが証明されており、通常臨床試験では十分に容認されています。ただし、2つの懸念事項が存在しています。まず、クルクミンによって誘発される自己免疫肝毒性の報告がいくつかあり、一つの報告書がよく記録されています。クルクミンが中止されたとき、患者は回復しました。クルクミンがサプリメントとして相当多く使われているし、肝疾患でも肝臓に対する臨床研究でもメリットだけを示すものが多いことを考えると、クルクミンによる肝毒性リスクはまれだと言えるけど、やっぱり認識はしておいた方がいいです。クルクミンの服用中に吐き気、かゆみ、目や皮膚の黄変などの肝疾患の症状が現れた場合は、医師の診察を受けてサプリメントを中止する必要があります。

最近、クルクミンによる肝臓炎の原因は、これらの症例報告書の評価で指摘されているように、ピペリンを含む製品にある可能性があります。クルクミンの安全性に関する2番目の懸念は、一部のクルクミン製品に、肝臓に損傷を与える可能性のある残留溶媒、重金属、またはその他の偽和物が含まれている可能性があるということです。もう一つの潜在的な問題は、天然クルクミン価格の約1/5である合成バージョンのクルクミンも市場に参入したことです。市場で販売されているクルクミン製品の品質管理に関するこれらの潜在的な問題は、製品が天然資源に由来し、汚染物質がないことを確認できる評判の良いサプライヤーからクルクミンを購入することの重要性を強調しています。明確ではありますが、このセーフガードは、まれな状況で肝臓毒性のリスクを完全に排除できない場合があります。

バイオアベイラビリティ

クルクミンは水に溶けず、消化管から吸収されるのが非常に難しいです。そのため、多くのサプリメントには吸収を高める何らかの方法があります。黒コショウ抽出物(ピペリン)、ナノ粒子バージョン、および乳化製品は、バイオアベイラビリティを改善するためによく利用されます。一般的には、吸収強化と臨床研究支援の利点が証明されている製品の使用が推奨されています。

結論

クルクミンは、脳健康をサポートするための大きな可能性を持っている興味深いハーブ製品です。うつ病や不安症を緩和させるのに役立つことから、老化と関連した最も恐ろしい脳疾患を予防するのに役立つことに至るまで、クルクミンは大きな期待を抱いています。より多くの臨床研究が行われるにつれて、脳健康をサポートするためにクルクミンを利用する最善の方法に対する理解を深めることができます。

 

健康 臓と脳の健康を維持することにあります。

 

 

現代に生きる私達は、人類史上かつてないほど長生きしていますが、たとえ寿命は延びても、必ずしも以前より健康になったわけではありません。それどころか、運動不足に加えて、座りっぱなしの生活や食生活の乱れで不健康な生活習慣に拍車がかかり、慢性疾患や早期老化が増える一方です。

そんな中で、このような疾患の発生を最小限に抑えるため、細胞レベルで有害な酸化ストレスや慢性炎症の予防を助け、長寿につながるとされる植物性物質への関心が高まっています。誰もが望む健康長寿を達成するための鍵は、心臓と脳の健康を維持することにあります。植物性食品に含まれるレスベラトロール、オリーブ葉エキス、ブドウ種子エキス、中鎖トリグリセリド(中鎖脂肪酸)といった成分には、長寿だけでなく健康増進にも役立つエイジングケア効果が期待できます。

1. レスベラトロール

レスベラトロールは、70種以上の植物に含まれるポリフェノールの一種で、特にブドウとその果皮や種子をはじめ、赤ワインやブルーベリーなどに多く含まれています。このレスベラトロールがエイジングケアに有効な食品とされているのは、中からキレイにすると考えられているからです。もう一つ、レスベラトロールならではのメリットは、さまざまな神経変性疾患の予防に有益な神経保護作用があると考えられることです。これは、脳が代謝副産物の一部を除去しやすいように助けることで生じる作用です。この副産物が脳に蓄積されてプラーク(コブ)を形成すると、高齢者に見られる認知症などの症状を引き起こすと言われています。

レスベラトロールは、細胞のミトコンドリアを保護することで、神経保護作用を発揮するという説があります。つまり、このポリフェノールは、酸化ストレスの有害な影響から細胞レベルで体を保護できると言えるかもしれません。また、レスベラトロールには軽度の刺激作用があり、活力増進に役立つ可能性があることから、疲労緩和にも期待できそうです。さらに、レスベラトロールの保護作用には、アミロイドペプチド(アルツハイマー病の発症に関わっているとされる脳内タンパク質の一種)を除去しやすくして、神経細胞アポトーシス(組織の成長過程でプログラム化された細胞死)を減少させることが含まれます。

健康長寿を目指す上で重要な要素の一つは、心臓の健康を維持することです。レスベラトロールは、心拍に不可欠な心臓細胞内のカルシウムの流れを改善するとみられる他、体重とトリグリセリド(中性脂肪)濃度を減らし、血圧をサポートし、心血管疾患を軽減する可能性もあります。

なお、レスベラトロールの摂取量については、1回1gの服用であれば副作用がほとんどなく、1日最大5gまでは安全とされています。ただし、1回2.5g以上の場合、人によっては胃腸の不快感を感じるケースがあるようです。

2. オリーブ葉エキス

地中海食に欠かせないオリーブオイルには、健康や食事に重要な成分として認識されている遊離脂肪酸やトリグリセリドがさまざまな量で含まれています。オリーブ葉エキスは、還元成分が豊富で抗炎症作用もあり、代謝や心血管の保護作用に役立つ可能性があります。オリーブオイルには健康への効果が認められている成分が数多く含まれていますが、その中でも特にポリフェノールが注目されています。このうちの一つが、オリーブ葉エキスに含まれる化合物であり、オリーブやオリーブオイルの苦味の素であるオレウロペインです。

オレウロペインのようなオリーブ葉エキスの化合物は、過剰な日光、栄養バランスの悪い食生活、強度のストレスなどによる細胞損傷後に放出されがちな炎症性メディエーター(体内で炎症反応を起こしたり維持したりする物質)を減少させるのに役立つことがわかっています。また、オリーブ葉エキスに含まれる化合物は、炎症性カスケード(カスケード=生化学的反応などを介して1つのシグナルを段階的に増幅させる生物学的プロセス)を引き起こす炎症マーカー(炎症指標)であるインターロイキン6(IL-6)の血中濃度を減少させることも明らかになっています。このマーカーを減らすことで、体内の細胞は炎症反応を起こしにくくなり、痛みや損傷の他、早期老化を招く症状やあらゆる兆候の予防につながります。

オリーブ葉エキスが持つもう一つのエイジングケア特性は、コレステロール値の低下を促進する能力です。オリーブ葉エキスの補給について調べた動物研究では、悪玉コレステロールとして知られるLDLコレステロール値が低下しました。このコレステロールが血管内に溜まると、心血管系の健康状態が低下しやすくなり、心臓だけでなく脳にも影響が及ぶことがわかっています。また、オリーブ葉エキスは、食後の満腹感を高めやすい酵素を増やすことも示されました。

3. ブドウ種子エキス

ブドウの種子と果皮には、かなりの量のポリフェノールが含まれています。過去何千年にもわたってブドウが利用されてきた理由は、果物としての栄養価やワインの需要だけでなく、栄養補助食品としての特性にもあるでしょう。通常、ワインの製造工程で廃棄されるブドウの種子と果皮には、ブドウ種子エキスの中で最も重要なポリフェノールであるフラボノイドと非フラボノイドが含まれています。ちなみに、ブドウ種子エキスに含まれるフラボノイドは、ストレスを軽減する化合物であることが示されています。

その高い還元成分含有量により、ブドウ種子エキスには慢性疾患に対する予防効果や心血管の保護作用があると言われています。その上、ブドウの果皮に含まれるポリフェノールは、ブドウを細菌感染から守ることがわかっており、人体でも、黄色ブドウ球菌による皮膚細菌感染症の予防にも役立つと考えられています。皮膚マイクロバイオーム(皮膚微生物叢)に多いこの細菌は、異常繁殖して感染症を引き起こすことがあります。

ブドウ種子エキスに含まれるフラボノイドには心臓保護作用もあると考えられています。赤ワインが心臓に良いと信じられているのは、LDL(悪玉)コレステロールの低下を助ける働きがあるフラボノイドを多く含むためでしょう。フラボノイドによるその他の心臓保護効果は、このポリフェノールの特性によるものと考えられています。還元成分は血管壁の保護に役立ち、血管内の炎症反応を抑えることで、瘢痕(はんこん。損傷)を防ぎやすくすることから、血液がスムーズに流れる健康な血管内腔(けっかんないくう。血液の通り道)を維持すると言われています。さらに、還元成分は、脳への血流を維持し、脳に必要な栄養素の供給を促進し、年齢と共に蓄積されて数々の慢性神経疾患の原因となる老廃物を除去することにより、神経保護作用を発揮するとされています。

4. 中鎖トリグリセリド(中鎖脂肪酸)

健康体重を維持することは長寿への近道であることが明らかになっています。スカンジナビアで犬を対象に行われた動物モデル研究では、体重が少なめの個体は生存率が高い見込みがあることが示されました。飽和脂肪酸は不健康な食事の一端をなすものとして、多くの世界的権威が摂取を制限することを推奨しています。ただし、飽和脂肪酸といってもさまざまな種類があり、こうしたアドバイスの多くは、健康への悪影響が比較的大きいとされる長鎖トリグリセリドを評価した研究結果に基づいたものです。

その一方で、中鎖トリグリセリドは心臓を保護する効果があることがわかっています。長鎖トリグリセリドと中鎖トリグリセリドの最大の違いは鎖の炭素数で、長鎖型は炭素数が12以上、中鎖型は6~12です。中鎖トリグリセリドはLDLコレステロール値を下げる働きがあるとされ、総トリグリセリド濃度には影響を与えなかったことが研究で示されました。中鎖トリグリセリドは、オイルのサプリメントとして摂取できる他、ココナッツオイルやパーム核油(パームカーネルオイル)に含まれていることもあります。これらのオイルは、カロリー消費と満腹感に影響し、胃腸の健康と体重増加を抑えるのに役立つことがわかっています。つまり、消化時にカロリーを消費しながらも腹持ちが良いということになります。

さらに、中鎖トリグリセリドは減量をサポートするだけでなく、心臓保護作用があり、長寿につながるエイジングケア効果があることも示されています。また、血清コレステロール値の低下に期待でき、糖尿病などの慢性疾患の予防に重要な血糖コントロールを促進する可能性もあります。このような慢性疾患を予防することで、中鎖トリグリセリドは心血管系の健康維持に役立ち、長寿に寄与すると考えられます。なお、中鎖トリグリセリドを補給する際に起こり得る副作用として一部の胃腸障害が挙げられますが、許容範囲内で少量ずつ摂取することで最小限に抑えられるでしょう。

魔法の薬はあるのでしょうか。

健康寿命の延伸を目指す医学の進歩に伴い、加齢に伴う生活の質(QOL)について考えることも重要です。健康的な加齢を左右するのは、遺伝的な要素よりもむしろ生活習慣です。バランスの良い食事をはじめ、適度な運動、質の高い睡眠、禁煙の他、ストレスを減らしたり、脳を鍛えたり、社交的であるといった要素は健康長寿につながる重要な鍵であり、特に以下の地域がそうした特徴で知られています。

  • イタリア・サルデーニャ島
  • カリフォルニア州ロマリンダ
  • コスタリカ
  • 沖縄

健康長寿を目指すなら、やることリストや、食べるものリストに従うのではなく、生活習慣全体として考えることをお忘れなく。結論として、レスベラトロール、オリーブ葉エキス、ブドウ種子エキス、中鎖トリグリセリドは、老化を防ぐのに役立つ魔法の薬なのでしょうか。残念ながら違います。ただ、この4種類をはじめとするサプリメントは、心臓と脳の健康維持を後押しすることで、できるだけ長く活動的でいられるように、絶えず脳を刺激するのに一役買うかもしれません。また、普段の生活で生じるストレスによって蓄積されがちなフリーラジカルに抑えやすくするなど、この4種類の成分は、健康長寿を目指して加齢の影響に立ち向かう上で強い味方となるでしょう。

参考文献:

2022年9月5日  今日の運命

202295

六白金星の日

新しい企画を持った人との接触あり。気が高ぶり争いが起りやすい。負けるは勝ち。怒ったら損、自己を誇るなかれ。心豊かにほのぼのと

 

健康

免疫強化への関心が高まっている今、研究者らの間で天然の免疫増強物質が新たに注目されています。その中でもとりわけ重要なのがラクトフェリンです。ラクトフェリンは生体タンパク質の一種で、哺乳類が出産後に初めて分泌する栄養分である初乳に含まれています。

このタンパク質の免疫強化と抗菌作用は、新生児に栄養を与えて感染から保護する上で欠かせません。製品としては、最新のろ過技術で牛乳からラクトフェリンが分離され、ウシ(牛)ラクトフェリンと呼ばれる栄養補助食品が作られます。

ウシラクトフェリンを含む栄養補助食品はウシ初乳を粉末にしたものが販売されていますが、その濃度は0.5〜20%と製品によって大きく差があります。そこで開発されたのが、ラクトフェリンを20%供給できるように標準化されたウシ初乳製品で、天然由来の免疫グロブリンG1(IgG1)・G2(IgG2)やプロリン・リッチ・ペプチド (PRP)など、免疫系をサポートする生理活性化合物も配合されています。ただし、低温加工されたウシ初乳でなければ、免疫グロブリンとラクトフェリンの生理活性を維持できません。

ウシ初乳ラクトフェリンの効能に関する研究は、過去30年あまりで飛躍的に増加しました。この記事では、ラクトフェリンの抗感染作用と免疫力向上作用について詳しくご説明したいと思います。2

ラクトフェリンとは

ラクトフェリンは乳(乳糖、ラクトース)由来の化合物で、鉄(元素記号Feの由来であるラテン語のFerrumから派生したFerrin)と結合できる成分です。当初はラクトフェリンが新生児の鉄吸収に重要な役割を果たすと考えられていましたが、その後の研究により、鉄の吸収を調節しているわけではないことがわかりました。

むしろラクトフェリンは、鉄が不足すると鉄の吸収を促進して血中濃度を高め、鉄の貯蔵量が多い時や感染症または炎症がある場合は鉄を隔離する働きがあります。鉄は感染症や炎症を悪化させやすく、多くの感染性微生物の増殖を促します。また、炎症が起きると、鉄はフリーラジカルを発生させ、体の組織にダメージを与えることもある一方、ラクトフェリンは鉄と結合して感染や炎症を抑える可能性があります。

ラクトフェリンの働き

鉄に関連する生理活性以外にも、ラクトフェリンはさまざまな活性を発揮することが研究で明らかになっています。ラクトフェリンの主な機能(体内で自然に生成される場合も、サプリメントとして摂取される場合も同じく)には以下のようなものがあります。2

  • 鉄代謝の調節
  • 免疫機能強化
  • 抗菌・抗真菌・抗ウィルス作用
  • 健康な腸内フローラ(腸内細菌叢)の促進
  • 抗酸化作用

研究で最初に確認されたのは、ウシラクトフェリンがヒトの腸管で消化されてラクトフェリシンという化合物に変換されることです。この化合物はヒトのラクトフェリシンよりもさらに強力なものです。3

ラクトフェリンの免疫サポート効果

ラクトフェリンは自然免疫系に欠かせない要素で、1感染や炎症に対する防御の第一線となるタンパク質と考えられており、上気道感染症(かぜ症候群)や胃腸感染症の予防にも不可欠なものです。ラクトフェリンは、人体の内膜表面を覆う細胞によって生成され、主として呼吸器、消化器、膣管の粘膜分泌物や涙にも含まれている他、特定の白血球が感染部位で活性化した場合も分泌されます。

このタンパク質ならではの特徴として、さまざまな免疫強化作用を発揮し、多くのウイルス感染症によくある過剰な炎症反応(歯止めがきかない免疫活性を原因とするサイトカインストームすなわち免疫暴走)を抑制するという点が挙げられるでしょう。多様な動物モデル(ラット、ヒツジ、ブタ、ネコなど)を用いた研究やヒト臨床試験を経て、ウシラクトフェリンが免疫系の調整に直接作用することがわかっています。特に、ラクトフェリンには、ウイルスや細菌などの微生物を文字通り死滅させる働きがあることからナチュラルキラー(NK)と呼ばれる細胞をはじめ、白血球の数に影響を与える他に、白血球機能の主要なメディエーター(伝達物質)の活性と発現を高めることも示されています。1,2,4,5

ある重要なヒト研究では、手術後の患者を対象に、ウシラクトフェリンとプラセボの経口投与の効果が評価されました。6その結果、ラクトフェリンを摂取した患者には有意な改善(白血球の増殖反応、免疫調節因子の生成、白血球数など)が見られました。おそらくこの研究で最も注目すべき点は、発表されたデータによると、ラクトフェリンを投与された患者全員の免疫反応が向上したことでしょう。これは、術後に発生しがちな感染症の予防にラクトフェリンが役立つ可能性を示唆する有意義な結果と言えます。

ラクトフェリンの抗菌作用

ラクトフェリンは、病気の原因となる多数のウイルス、原虫、酵母、細菌に対して抗菌作用を発揮しますが、それ以上に重要なのは、ウイルスや細菌などの病原微生物がヒト細胞に付着するのをラクトフェリンが防ぐという最近の発見かもしれません。

ほぼあらゆる種類のウイルスに対して優れた作用を示すラクトフェリンは、ウイルス感染症予防に欠かせない非特異的保護物質と言えるでしょう。ラクトフェリンは、主に宿主細胞(単独では増殖できないウイルスが、自己増殖のためにその代謝を利用する細胞)表面の細胞受容体と結合する能力を妨げることで、細胞内へのウイルス侵入を防ぎます。また、細胞がウイルスに感染した場合、ラクトフェリンはその複製を抑制しますが、これは特にウイルス感染性の初期段階に効果的です。

ラクトフェリンは、健康に有益な細菌(プロバイオティクス)の強力な増殖促進剤でもあります。有害な悪玉菌の増殖を防ぎつつ、ビフィズス菌のような善玉菌の増殖を促進することで、ラクトフェリンは健康なマイクロバイオーム(微生物の集合体)の成長を助けます。

ウシラクトフェリンのサプリメントを摂取すると、胃の中のヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)の増殖を抑えやすくなることが複数の研究で示されています。このピロリ菌が胃の粘膜で過剰に増殖すると、胃の炎症や消化器障害につながる可能性があります。ある研究では、消化不良の症状があるピロリ菌陽性患者151人が2群に分けられ、1群は標準的な3剤併用療法である胃酸分泌抑制薬と2種類の抗生物質を服用し、もう1群はその3剤に加えてラクトフェリンを摂取しました。その後、摂取期間終了から8週間後にピロリ菌の数を確認したところ、除菌率はラクトフェリン摂取群が95.9%にのぼった一方で、3剤併用療法群では72.5%にとどまりました。7

最新の研究では、400人のピロリ菌陽性者が4群にランダムに割り付けられ、それぞれ2週間にわたって(A)3剤併用療法、(B)3剤併用療法+抗生物質投与(順を追って投与する逐次治療)、(C)3剤併用療法+ウシラクトフェリン投与、(D)逐次治療+ウシラクトフェリン投与が行われました。結果はピロリ菌除去率が(A)70.3%、(B)82.8%、(C)85.6%、(D)94.5%というもので、3剤併用療法のみ(70.3%)よりも3剤併用療法+ラクトフェリン投与群(85.6%)の治療成功率が顕著に高く、逐次治療+ウシラクトフェリン投与(94.5%)と逐次治療のみ(82.8%)の間にも大きな開きがありました。8

こうした臨床結果から見て、ウシラクトフェリンがピロリ菌除菌を目的とする3剤併用療法または逐次治療の効果を高めることは明らかでしょう。

ラクトフェリンと上気道感染症に関する臨床試験

これまで、14件の対照臨床試験で呼吸器感染症に対するウシラクトフェリンの評価が行われています。最近、そのうちの9件が選ばれ、呼吸器感染症へのラクトフェリンの効果の統計的有意性を判断するメタアナリシス(過去に行われた複数の研究データを統合して解析した統計手法)が実施されました。9ちなみに、この9件の研究は、発表されている中で最も質の高い臨床研究です。10-18

このメタアナリシスにより、ウシラクトフェリン摂取群の呼吸器感染症の発症率は対照群(非摂取群)を大きく下回り、全体の相対リスク比が43%低いことが明らかになりました。その上、個別の研究でも、かぜ症候群などの呼吸器症状とその持続期間が大幅に減少することもわかりました。

これらの研究のいくつかでは、ウシラクトフェリン強化処方の乳児用調製乳が使用されています。例えば、生後12〜32ヶ月の幼児を対象に行われた日本の研究では、ラクトフェリン(1日48mg)強化ミルクを13週間与えたところ、呼吸器と消化器の症状が著しく減少することが示されました。具体的には、急性呼吸器症状のあった総日数が、ラクトフェリン投与群が9日だったのに対し、プラセボ投与群は15日と大きな差がありました。11

さらに包括的な研究では、ラクトフェリン(850mg/L)を1年間にわたって摂取した26人の乳児は、通常の粉ミルクを与えられた別の26人と比較して下気道疾患がはるかに少なく、1年間で66%の減少が見られました。15

乳児だけでなく、ウシラクトフェリン摂取は大人にも効果があることが対照臨床試験で示されています。その一例に、オーストラリアで90人の被験者に90日間ウシラクトフェリンまたはプラセボが投与された研究があります。この90日間に記録された呼吸器感染症の総数は、ラクトフェリン群の48件に対し、プラセボ群は112件にのぼりました。つまり、ウシラクトフェリンを補給することで呼吸器感染症が58%減少したことになり、ウシラクトフェリン摂取群の参加者が報告した呼吸器感染症の総症状数はプラセボ摂取群を有意に下回る結果となりました。16

ラクトフェリンの摂取量に関する留意点

ラクトフェリンの摂取量は、メーカーによっても、個人の体格や症状によっても異なります。一般的には、健康増進をはじめ、幼児や小柄な成人には低用量、成人全般および特定の症状には高用量が推奨されています。なお、吸収を最大限に高めるために、ラクトフェリンは食前または空腹時に摂取しましょう。

健康専門家の多くは、ラクトフェリンの供給源として、高度に精製された製品よりも、前述のIgGやプロリン・リッチ・ペプチドといった生理活性成分を豊富に含むウシ初乳を勧めています。ウシ初乳を使用する際はラクトフェリンの含有量を確認し、それに応じて摂取量を決定しましょう。例えば、ラクトフェリン含有量が20%のウシ初乳なら、500~1,000mgを1日1〜3回の摂取が目安です。

ラクトフェリンについてよくある質問

乳糖不耐性や牛乳アレルギーがある人もラクトフェリンを摂取できるのでしょうか。

それはラクトフェリンの供給源によります。乳糖不耐症や牛乳アレルギーのある方は、高度精製されたラクトフェリン製品であれば問題ありませんが、初乳を含む製品はお勧めできません。

ラクトフェリンに鉄分は含まれているでしょうか。

この場合もラクトフェリンの供給源によって異なります。高度精製されたラクトフェリン製品に含まれる鉄分はごくわずかです(1gあたり180mcg未満)。このように鉄分を含まないラクトフェリンはアポラクトフェリンと呼ばれています。一方、初乳なら若干鉄分を補給できるかもしれませんが、やはり重要な鉄の供給源とは言えません。

感染症予防対策としてウシラクトフェリンを摂取すべきでしょうか。

ウシラクトフェリンのサプリメントを摂取することで、非特異的な宿主防御と総合的な免疫力をサポートできます。免疫系に不安がある場合は、予防としてウシラクトフェリンを使用してみてはいかがでしょうか。ウシ初乳にも同様の効果が期待できます。