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未来の約束—弥勒菩薩の誓い

未来の約束  Promise of the Future

夜空の彼方 光は遠くも

 

迷いし魂 風に揺れる
須弥の頂 響く願い
静かに待つ 慈しみの声

オン・マイタレイヤ・ソワカ
時を超えて 君を迎えよう
五十六億の祈りの果てに
必ず来る 光の時よ

 

Beyond the night sky, the light feels so far,
Wandering souls, swaying in the wind.
A prayer echoes from the peak of Sumeru,
A gentle voice, quietly waiting.

On Maitreya Sowaka,
Through time, I will welcome you.
At the end of five point six billion prayers,
The light shall come, a destined time.

 

 

未来の約束—弥勒菩薩の誓い

 

漆黒の宇宙の果て、遥かなる須弥山の頂を越えた天空に、兜率天という世界があった。そこには、一人の菩薩が静かに座している。

弥勒——彼は、未来に仏となることを約束された存在。やわらかな微笑を浮かべ、右足を曲げ、左膝の上に乗せている。右手の指先を頬に当て、深い思索に沈んでいた。その瞳には、遠い未来の世界が映っていた。

「五十六億七千万年後、私は地上に降りる。だが、その時まで、人々はどれほどの苦しみに耐えなければならないのだろうか……」

彼の心をよぎるのは、救いを求めながらも、なお迷い、苦しみ続ける人々の姿だった。釈迦が示した道を歩めなかった者たち。煩悩に囚われ、欲望の波に溺れながらも、ほんのわずかな光を求める者たち。

彼らの声は、時を超えて弥勒のもとへと届いていた。

「オン・マイタレイヤ・ソワカ」

静かに唱えられる真言が兜率天に響く。その言葉は、まるで慈悲の光のように、未来の人々の心へと届けられる。

この世は、今もなお苦しみと混沌に満ちている。神も仏も遠く感じられ、救いの手がどこにも見えないと嘆く者たち。だが、約束された未来には、必ず光が訪れる。その光こそが、悟りを開いた弥勒如来の姿である。

だが、弥勒の役割は救世主として現れるだけではない。

「共に修行をしよう。私を信じる者は、この兜率天へと導かれ、ここで学び、悟りへと近づくことができるのだ」

彼の言葉を信じる者は、死後、兜率天へと往生することができる。そして、弥勒とともに修行を積み、五十六億七千万年後、彼が仏として降臨する時、共に生まれ変わり、新たな世界へと歩み出すことができるのだ。

釈迦の教えに辿り着けなかった者たちにとって、弥勒の存在は最後の希望だった。

静かに目を閉じる弥勒。その胸の奥には、未来に生きるすべての魂を救う誓いが燃えていた。遥かなる時の彼方、弥勒の慈悲が届くその日まで——。

 

 

 

 

 

 

准胝観音──七倶胝仏母の伝説

准胝観音──七倶胝仏母の伝説

遥かなる時の彼方、まだ世界が混沌に包まれていた時代。人々は終わることのない戦火に怯え、飢えと病に苦しみ、夜の闇は絶望に満ちていた。

そんなある日、天が裂け、黄金の光が地上を照らした。その光は昼をも凌ぐほど眩しく、まるで天そのものが目覚めたかのようだった。光の中から現れたのは、一人の荘厳なる女神──准胝仏母(じゅんていぶつも)。

彼女は静かに世界を見つめ、慈悲深く両の手を広げた。その姿は神々しく、美しさと威厳に満ちていた。しかし、彼女はただの美しき女神ではなかった。彼女の十八の手には、剣、蓮華、数珠、法輪──それぞれが真理と力を象徴する神聖な法具が握られていた。彼女は慈愛に満ちた仏の母であると同時に、魔を討ち滅ぼす戦いの女神でもあったのだ。

遥かなる過去、彼女はヒンドゥーの世界でドゥルガーと呼ばれ、シヴァ神の妃として崇められていた。悪しき魔族が世界を脅かしたとき、彼女は神々の武器をその手に受け取り、戦場へと降り立った。その勇姿は雷鳴のごとく、敵を薙ぎ払う剣は嵐のようだった。しかし、ただ滅ぼすために戦ったのではない。彼女の戦いは世界を護るため、弱き者たちを守るためのものだった。

そして今、彼女は仏母として、七億の仏を生み出し、世界のすべての苦しむ者たちを救うために姿を現したのだった。

「この世の苦しみを救わん……」

その誓いとともに、彼女の体から七色の光が放たれた。光は世界の隅々まで届き、人々の心を照らした。その手のひらに触れた者は穢れを払い、名を唱えた者は新たな道を見出した。

彼女の存在はやがて仏教に取り入れられ、准胝観音(じゅんていかんのん)と呼ばれるようになった。仏の母として、あらゆる命を生み出し、慈悲の光をもたらす女神。六観音の一尊として数えられ、人々の安産や子授けを見守る観音菩薩として信仰されるようになった。

しかし、彼女の真の姿を知る者は少ない。彼女は単なる観音ではなく、悠久の時を超えて人々を救い続ける、七倶胝仏母そのものなのだ。

今もなお、彼女の名は世界のどこかで唱えられている。

「オン・シャレイ・シュレイ・ジュンテイ・ソワカ……」

その響きは風に乗り、時を超え、彼女の慈悲は今日も世界を包み込んでいる。

 

准胝観音──七倶胝仏母の伝説

暗闇を切り裂くように月が雲間から現れた。伽藍の奥深く、金襴の垂れ幕が微風に揺れている。香炉から立ち上る白煙が、漆黒の厨子に収められた尊像を優しく包み込む。

「これが七千万の仏を生み給うた母というのか」

若い修行僧が震える指先で灯明の火を揺らした。瑠璃色の光の中に浮かび上がったのは、一際異彩を放つ観音像だった。十六歳の乙女のような柔和な面立ちながら、手には金剛杵が握られ、宝剣が鞘に鳴りを潜めている。衣装の褶(ひだ)ひとつに至るまで、この世のものとは思えぬ精緻さで刻まれた像は、どこか異界の気配を漂わせていた。

「元はドゥルガー女神と聞けば納得がいく」

背後から響いた老僧の声に、修行僧はひざまずいて額を畳につけた。老僧の錫杖が石畳を叩く音が、深夜の仏堂に清冽に響き渡る。

「阿修羅どもが天界を脅かした時、シヴァ神の妃は十の腕に神々の武具を授かり、乳海から立ち上る悪鬼を討ち伏せた。その勇姿が仏法に取り入れられし時、戦いの女神は安産の守り手に姿を変えたのだ」

ふと厨子の奥で金色の光が波紋のように広がった。准胝仏母の第三の目が微かに輝いているように見えた。修行僧が息を飲むと、老僧は静かに経文を唱え始めた。

「七倶胝仏母…数え切れぬ過去世において無数の仏を胎内に宿し、この世に送り出したという尊格。だが天台の教えでは如来に、真言の法灯では観音菩薩に。その矛盾こそが、この尊が仏と衆生の狭間を司る証ではなかろうか」

突然、外を駆け抜ける風が全ての灯明を消した。暗闇の中、准胝観音の宝冠に嵌められた七宝が幽かに光り始める。修行僧の耳元で、赤子の産声のような、しかし千年の時を超えた声が囁いた。

(全ての命は我が胎内より)

再び灯明がともった時、老僧の姿はすでになかった。修行僧の掌に、白檀の香りを纏った紅い糸が巻きついている。月は西の山稜に傾き、暁光が東の空を染め始めていた。

准胝観音──七倶胝仏母の伝説

准胝観音──七倶胝仏母の伝説

遥かなる時の彼方、まだ世界が混沌に包まれていた時代。人々は終わることのない戦火に怯え、飢えと病に苦しみ、夜の闇は絶望に満ちていた。

そんなある日、天が裂け、黄金の光が地上を照らした。その光は昼をも凌ぐほど眩しく、まるで天そのものが目覚めたかのようだった。光の中から現れたのは、一人の荘厳なる女神──准胝仏母(じゅんていぶつも)。

彼女は静かに世界を見つめ、慈悲深く両の手を広げた。その姿は神々しく、美しさと威厳に満ちていた。しかし、彼女はただの美しき女神ではなかった。彼女の十八の手には、剣、蓮華、数珠、法輪──それぞれが真理と力を象徴する神聖な法具が握られていた。彼女は慈愛に満ちた仏の母であると同時に、魔を討ち滅ぼす戦いの女神でもあったのだ。

遥かなる過去、彼女はヒンドゥーの世界でドゥルガーと呼ばれ、シヴァ神の妃として崇められていた。悪しき魔族が世界を脅かしたとき、彼女は神々の武器をその手に受け取り、戦場へと降り立った。その勇姿は雷鳴のごとく、敵を薙ぎ払う剣は嵐のようだった。しかし、ただ滅ぼすために戦ったのではない。彼女の戦いは世界を護るため、弱き者たちを守るためのものだった。

そして今、彼女は仏母として、七億の仏を生み出し、世界のすべての苦しむ者たちを救うために姿を現したのだった。

「この世の苦しみを救わん……」

その誓いとともに、彼女の体から七色の光が放たれた。光は世界の隅々まで届き、人々の心を照らした。その手のひらに触れた者は穢れを払い、名を唱えた者は新たな道を見出した。

彼女の存在はやがて仏教に取り入れられ、准胝観音(じゅんていかんのん)と呼ばれるようになった。仏の母として、あらゆる命を生み出し、慈悲の光をもたらす女神。六観音の一尊として数えられ、人々の安産や子授けを見守る観音菩薩として信仰されるようになった。

しかし、彼女の真の姿を知る者は少ない。彼女は単なる観音ではなく、悠久の時を超えて人々を救い続ける、七倶胝仏母そのものなのだ。

今もなお、彼女の名は世界のどこかで唱えられている。

「オン・シャレイ・シュレイ・ジュンテイ・ソワカ……」

その響きは風に乗り、時を超え、彼女の慈悲は今日も世界を包み込んでいる。