UA-135459055-1

PC

三身即一の薬師如来縁起

三身即一の薬師如来縁起

The Legend of the Medicine Buddha: Three Bodies as One

瑠璃の空に 風ひとすじ
響くは誰ぞ 古の声
癒しの光 心に射して
仏の道へと 我をいざなう

三身一つの 大いなる慈悲よ
法も報いも 応えも今ここに
病む者のそばで 光を与えん
薬師よ 薬師よ 永遠の医王

In the lapis sky, a single breeze flows,
Whose voice echoes from the ancient past?
A healing light pierces the heart,
Guiding me gently to the Buddha’s path.

O boundless compassion, three bodies as one—
The Dharma, the Reward, the Response, all here and now.
Beside the ailing, you shine forth your light,
O Medicine Buddha, eternal King of Healing.

三身即一の薬師如来縁起

三身即一の薬師如来縁起

風が静かに吹く、瑠璃色に染まる世界の片隅。とある老僧が、若き修行僧に語りかける。山寺の石畳を照らす夕日の中、老僧の言葉はまるで遠い昔から響いてくる法音のようだった。

「お前は、薬師如来という仏をご存知か?」

若者は首をかしげた。「病を癒す仏さま……でしょうか?」

老僧は微笑み、頷いた。「そうじゃ。だがそのお姿の奥には、遥かなる真理が隠されておる。その名も“三身即一の薬師如来”。今日は、その縁起を語って聞かせよう」

その昔——

インドの聖地に、一人の目覚めた者がいた。彼の名はゴータマ・シッダールタ。後の人々が「お釈迦さま」と呼ぶ、その大覚者は、自らをこう名乗った。

「私は大医王である。無上の医師であり、正しく覚った医師である」

彼の言葉は、人々の病める心に染み渡る薬のようだった。

彼が説いた「四つの真理」は、まさに医術そのものだった。

「これが苦しみである。これが苦しみの原因である。これが苦しみの消滅である。そして、これが苦しみを終わらせる道である」

この四つの道理を知る者は、まさに名医であり、世のすべての苦しみに処方箋を示す者だった。

やがて、人々はこの名医の姿を、一尊の仏として顕現させた。

その名は「薬師瑠璃光如来(やくし・るりこう・にょらい)」

梵語では「バイシャジャグル・ヴァイドゥーリャブラバ」

パイシャジャは薬を、グルは師を、ヴァイドゥーリャは瑠璃、つまり青き宝石、ラピスラズリを意味する。そしてブラバ、それは光——

すなわち、薬の師にして、瑠璃の光を放つ者。

その御身は、全身から瑠璃の輝きを放ち、人々の心身の病を癒やしたという。病に倒れる者の傍らに立ち、苦しみを取り除くその姿は、まさに慈悲の化身であった。

日本では「薬師」「医」「医師」と書いて「くすし」と訓じた。薬草や香草、スパイスを調合し、病を癒す術を知る者をそう呼んだ。

だが、薬師如来は単なる薬の神ではない。

それは、三つの身を兼ね備えた、まさに「三身即一」の仏である。

法身(ほっしん)としての真理そのものの存在。報身(ほうじん)としての悟りの果たる姿。そして、応身(おうじん)として、衆生の苦しみに応じて現れる姿。

三つの身が、一つに統合された、真なる大医王——

それが、薬師瑠璃光如来なのである。

老僧は話を終え、ゆっくりと目を閉じた。

若き修行僧は、瑠璃色の空を見上げながら、心にそっと誓った。

「私もいつか、人々の苦しみを癒やす者となろう……薬師如来のように」

そして、夜の帳が降りるころ、山寺には静かに鐘の音が響いた。

——それはまるで、遠い昔から響いてきた薬師如来の光のようであった。

 

 

 

愛染

愛染

 

 

https://suno.com/s/SSHRoDz8QSzxR4Yi

愛染明王の導き

愛染明王の導き

かつて、心の奥に激しく燃え上がる恋の炎を抱えた一人の若者がいた。叶わぬ想いに苦しみ、煩悩に心を乱されながらも、ただ純粋に、誰かを想い続けることに意味があるのではないかと問い続けていた。

そんな彼の前に、ふと現れたのは、全身赤く染まり、三つの目と六本の手を持つ異形の存在——愛染明王であった。

「愛とは、ただの欲ではない。欲の中にこそ、真の悟りへの道があるのだ」と明王は語る。その声は燃えるように熱く、それでいて不思議な静けさを宿していた。

仏教では、愛欲は煩悩とされ、捨てるべきものと教えられてきた。しかし密教では、煩悩こそが菩提、つまり悟りへの入口であると説く。「煩悩即菩提」——人の欲望の奥底にこそ、真理への扉が潜んでいるのだ。

愛染明王はその教えを象徴する存在。恋に悩む者を導き、結ばれるべき縁を紡ぎ、病を退け、命を守り、時には戦をも勝利に導く。彼のご利益は多岐にわたり、染物屋や水商売に生きる人々にまで及ぶという。

彼は弓を持ち、まるで西洋のキューピッドのように愛の矢を放つ。だが、その矢はただ人の心を射るだけではない。煩悩を射抜き、それを悟りの光へと昇華させる力を秘めていた。

若者はそっと目を閉じ、愛染明王の真言を唱える。

「オン・マカラギャ・バザロウシュニシャ・バザラサトバ・ジャクウン・バンコク」

その瞬間、胸の奥に灯る炎は穏やかな光に変わり、彼の心を静かに照らし始めた。愛は苦しみではなく、歩むべき道だったのだ。

 

 

「愛を、悟れ」

失恋から立ち直れずにいた大学生の遥(はるか)は、ある夜、友人に誘われて渋谷の小さな神社を訪れた。

「この神社、恋愛成就に効くらしいよ。特に愛染明王っていう神様が有名なんだって」

半信半疑でお参りした帰り道、遥はひとり、境内に残った。木々の間から赤い灯りがゆらめき、不意に時間が止まったような静けさに包まれる。

「君は、まだその想いを捨てられずにいるのか」

声がした。振り返ると、そこには赤く燃えるような衣を纏い、三つの目と六本の腕を持つ異形の存在が佇んでいた。だがその目は不思議と優しく、どこか懐かしい光を宿していた。

「愛染…明王…?」

遥が言葉を失っていると、明王は静かに語り始めた。

「愛に苦しむのは、悪いことではない。愛欲、煩悩——それらは、決して捨てるべきものではない。むしろ、それがあるからこそ、人は真の自分と向き合える」

「でも…愛って、こんなに苦しいものなの?」

遥の問いに、明王は微笑むように答えた。

「それでも、愛を選ぶか?」

遥は黙ってうなずいた。その瞬間、明王の六本の手のひとつが、弓を取り、もう一方の手が矢をつがえる。そして、光の矢が遥の胸を射抜いた——苦しみの中心にある、彼自身の「本当の願い」を貫いて。

胸の奥で何かが弾けた。涙があふれる。遥はようやく、自分がただ相手を想っていただけでなく、「誰かに必要とされたい」と願っていたことに気づいた。

「オン・マカラギャ・バザロウシュニシャ・バザラサトバ・ジャクウン・バンコク——唱えるがいい。愛を求めるその心が、やがて誰かを癒す力となる」

夜が明けた。あの不思議な出会いが夢だったのか、現実だったのか、遥にはわからなかった。ただ、心は軽く、目の前の世界が少しだけ色鮮やかに見えた。

そして新学期、遥はキャンパスの図書館でふと目が合った、笑顔の誰かに——新しい恋に、歩み始めるのだった。

愛染明王の導き Aizen Myo-o’s Guidance

愛染明王の導き

Aizen Myo-o’s Guidance

赤い灯り 揺れる夜に
名前も知らぬ願いが一つ
胸の奥 消せない想い
ただ誰かを 想い続けた

愛を悟れ 痛みの中で
矢が貫くのは 真実(ほんとう)の声
迷いも涙も 無駄じゃないから
その煩悩(おもい)が 明日を照らす

In the red-lit night, the shadows sway
A nameless wish won’t fade away
A burning ache I can’t erase
Still, I long for just one face

Awaken love, through all the pain
The arrow strikes where truth remains
No tear is wasted, no doubt in vain
Your deep desire will light the way