薄暗い座禅室。
トシは畳の上に正座し、ゆっくりと目を閉じた。
しかし、心の中は静まらず、様々な思考が波のように押し寄せてきた。
(またあのプレゼンのことか……)
(上司のあの言葉が引っかかって離れない……)
(自分は本当にこの仕事に向いているのか?)
浅くなった呼吸に合わせて、胸のざわつきが強くなっていく。
心臓が早鐘のように打ち、手のひらに汗がにじんだ。
「どうしてこんなに心が乱れるんだ……」
トシは内心で呟き、心を落ち着けようとした。
だが、雑念は止まるどころか、次々と襲いかかってくる。
(俺はダメだ。いつもこうだ……)
(弱い自分を認めたくないのに、逃げられない)
焦燥感が胸を締めつけ、涙がにじむ。
トシは深く息を吸い込み、師の言葉を思い出した。
「心は川の流れのようなもの。止めることはできない。流れに逆らわず、ただ見つめるのじゃ」
彼は呼吸に意識を戻し、目を閉じたまま静かに息を吸う。
雑念が波のように押し寄せても、無理に排除せず、ただそこにあることを認めた。
時間がゆっくりと流れていく中で、胸のざわつきは少しずつ和らいだ。
心の奥に静かな安らぎが芽生え始めるのを感じた。
数分後、トシはゆっくりと目を開け、静かに息を吐いた。
後日、寺の座敷で師と向かい合うトシ。
疲れた表情ながらも、どこか穏やかな光が瞳に宿っていた。
「師匠、まだまだ心は乱れますが、少しずつ気づく力がついてきた気がします」
師は優しく微笑み、頷いた。
「それでよい。心の揺れを責めず、ただ観察できることが大切じゃ。正定の修行は長い道のり。焦らず歩むのじゃ」
トシは深く息を吐き、決意を新たにした。
「ありがとうございます。これからも一歩ずつ、続けていきます」
こんな感じでよろしければ、続けてトシの仕事や日常の中での葛藤、そこから学ぶ正定の実践も描いていきますね。




