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鬼子母神(きしもじん[1]/きしぼじん[2])、サンスクリット語हारीतीHārītī[3]、 ハーリーティー)は、仏教を守護する天部の一尊。梵名ハーリーティーを音写した訶梨帝母(かりていも)とも言う[4]

第一章 正見 ―― 見るべきものを見る – 第二節:四つの真理 –

第一章 正見 ―― 見るべきものを見る

– 第二節:四つの真理 –

 

「見えるものを教える……?」

蒼は繰り返した。
老僧・凌山の言葉は、どこかこの世界の論理を少しだけ外れているように感じられた。
なのに、不思議と違和感がなかった。
この人なら、自分の知らない「何か」を知っている――そんな確信めいた感覚が、胸の奥でひそかに芽生えていた。

 

「蒼といったな」
「……どうして、名前を?」
「君の背中がそう語っていた。呼ばれたくて、名乗りたがっていた」

微笑みを浮かべながら、凌山は足元の砂を指先でなぞった。
そして、小さな四つの円を描いた。

 

「四つの真理がある。仏陀が最初に見た、そして誰もが見るべき真理だ」
「真理……ですか」
「うむ。苦・集・滅・道。四諦(したい)という。
この四つは、君の内側の地図になる。
君の“苦しみ”がどこから来て、どこへ向かえば終わるのか――それを示す地図だ」

 

風が一瞬だけ吹いた。
枝がゆれ、木漏れ日が地面に揺れた。
凌山の声がその風に溶けていくように、静かに続いた。

 

「第一の真理は苦諦(くたい)。
この世は、苦に満ちている。
生きること、老いること、病むこと、死ぬこと。
愛するものと別れ、嫌うものと出会い、求めて得られず、得たものは失う。
これらすべてが“苦”なのだ」

蒼はゆっくりと息を吸った。
思い当たる節が、ありすぎるほどあった。
だが、それらを「苦」と名付けたことはなかった。

 

「苦があるのなら、なぜ苦しむのか?――それが第二の真理、集諦(じったい)。
すべての苦には“因”がある。
無明、欲、執着。
ものごとを正しく見られない眼が、苦の根となる」
「……自分が、何に執着しているかも、よくわからない」
「それを、見るのだよ。正見とは、見るべきものを見ること。
苦の原因を見る。執着を見る。無知を見る。
そこからしか、道は始まらない」

 

凌山は、二つめの円の横に、小さな点を描いた。
その点は、他の円を貫いて向こう側へ突き抜けようとしていた。

 

「第三は滅諦(めったい)。
苦には、終わりがある。
執着を断ち、欲を手放し、無明を照らすならば、苦は止む。
苦しみは“絶対”ではない。
消え得る“現象”なのだ」
「……本当に、終わるんですか?この重たさが……?」
「終わらせることを選ぶなら、終わる。
だが、それには道がいる」
「……道?」

 

凌山は最後の円を指でなぞりながら言った。

 

「第四、道諦(どうたい)。
苦を滅するための道――それが、八正道だ。
正見・正思惟・正語・正業・正命・正精進・正念・正定。
八つの“正しき修行”こそが、苦しみの彼岸へ向かう舟になる」

 

蒼はしばらく黙っていた。
まるで、自分の心の奥底に沈んでいた巨大な石に、初めて手が触れたような感覚だった。

 

「君の苦しみは、今もそこにある。
だが、君がそれを“見た”なら、それはもう苦そのものではない。
見たものは、変えられる。
見ようとすること、それが“正見”の始まりだ」

 

その言葉が胸の奥に響いたとき、蒼の中で何かが、少しだけ溶けた。

 

「……見てみたいと思いました。
自分が何を恐れ、何を知らないでいたのか」

 

凌山は静かにうなずいた。
彼のまなざしは、秋の澄んだ夜空のようだった。

「では、始めよう。
君の“目”の修行を」

 

木々の向こうで、夜が訪れていた。
都会の街灯がひとつ、またひとつと灯っていく中、
蒼の中で、目に見えない灯りが一つ、そっとともされた。

 

 

 

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梵字 2  基本練習のしかた How to practice basics

1、朴筆の持ち方と使い


朴筆は、筆先より四分の  から三分の一ぐらいのところを写真のように、親指、人指し指、中指の一二本の指で持ち、紙に対して、ぽぼ垂直に立てます。
肘は机につけず、浮かすくせをつけてください。肘が机についていると、筆を自由自在に動かすことができません。背すじはまっすぐ伸ばして、肩の力を抜きます。
墨は、筆先いっぱいにしみ込ませてください。墨をつけたら、うつわのへりで余分な墨を落とします。なお、ねろしたての筆は、筆先が墨になじまないことがありますから、筆先にまず水をよく吸わせて柔らかくしてから墨をつけるとよいでしょう。
また、書写が終わったら、墨のついた筆は十分に水洗いをしてください。できれば一晩くらい唯 見を水につけて唱ぬきをするとよいでしょう。

 

正しい朴筆の待ち方

 

1. How to hold and use a park brush
One
As shown in the photo, hold a quarter to one-third of the tip of the brush with your thumb, index finger, and middle finger, and stand it vertically against the paper.
Do not put your elbows on your desk, but give them a floating habit. If your elbows are on your desk, you will not be able to move the brush freely. Straighten your spine and relax your shoulders.
Soak the ink in the brush tip. After applying the ink, use the edge of the container to remove excess ink. In addition, since the tip of a freshly squeezed brush may not fit in with the ink, it is recommended to first absorb water well to soften the brush and then apply the ink.
Also, after copying, wash the ink brush thoroughly with water. If possible, soak it in water for about one night and sing it.

How to wait for the correct brush

第一章 正見 ―― 見るべきものを見る

– 第二節:四つの真理 –

 

「見えるものを教える……?」

蒼は繰り返した。
老僧・凌山の言葉は、どこかこの世界の論理を少しだけ外れているように感じられた。
なのに、不思議と違和感がなかった。
この人なら、自分の知らない「何か」を知っている――そんな確信めいた感覚が、胸の奥でひそかに芽生えていた。

 

「蒼といったな」
「……どうして、名前を?」
「君の背中がそう語っていた。呼ばれたくて、名乗りたがっていた」

微笑みを浮かべながら、凌山は足元の砂を指先でなぞった。
そして、小さな四つの円を描いた。

 

「四つの真理がある。仏陀が最初に見た、そして誰もが見るべき真理だ」
「真理……ですか」
「うむ。苦・集・滅・道。四諦(したい)という。
この四つは、君の内側の地図になる。
君の“苦しみ”がどこから来て、どこへ向かえば終わるのか――それを示す地図だ」

 

風が一瞬だけ吹いた。
枝がゆれ、木漏れ日が地面に揺れた。
凌山の声がその風に溶けていくように、静かに続いた。

 

「第一の真理は苦諦(くたい)。
この世は、苦に満ちている。
生きること、老いること、病むこと、死ぬこと。
愛するものと別れ、嫌うものと出会い、求めて得られず、得たものは失う。
これらすべてが“苦”なのだ」

蒼はゆっくりと息を吸った。
思い当たる節が、ありすぎるほどあった。
だが、それらを「苦」と名付けたことはなかった。

 

「苦があるのなら、なぜ苦しむのか?――それが第二の真理、集諦(じったい)。
すべての苦には“因”がある。
無明、欲、執着。
ものごとを正しく見られない眼が、苦の根となる」
「……自分が、何に執着しているかも、よくわからない」
「それを、見るのだよ。正見とは、見るべきものを見ること。
苦の原因を見る。執着を見る。無知を見る。
そこからしか、道は始まらない」

 

凌山は、二つめの円の横に、小さな点を描いた。
その点は、他の円を貫いて向こう側へ突き抜けようとしていた。

 

「第三は滅諦(めったい)。
苦には、終わりがある。
執着を断ち、欲を手放し、無明を照らすならば、苦は止む。
苦しみは“絶対”ではない。
消え得る“現象”なのだ」
「……本当に、終わるんですか?この重たさが……?」
「終わらせることを選ぶなら、終わる。
だが、それには道がいる」
「……道?」

 

凌山は最後の円を指でなぞりながら言った。

 

「第四、道諦(どうたい)。
苦を滅するための道――それが、八正道だ。
正見・正思惟・正語・正業・正命・正精進・正念・正定。
八つの“正しき修行”こそが、苦しみの彼岸へ向かう舟になる」

 

蒼はしばらく黙っていた。
まるで、自分の心の奥底に沈んでいた巨大な石に、初めて手が触れたような感覚だった。

 

「君の苦しみは、今もそこにある。
だが、君がそれを“見た”なら、それはもう苦そのものではない。
見たものは、変えられる。
見ようとすること、それが“正見”の始まりだ」

 

その言葉が胸の奥に響いたとき、蒼の中で何かが、少しだけ溶けた。

 

「……見てみたいと思いました。
自分が何を恐れ、何を知らないでいたのか」

 

凌山は静かにうなずいた。
彼のまなざしは、秋の澄んだ夜空のようだった。

「では、始めよう。
君の“目”の修行を」

 

木々の向こうで、夜が訪れていた。
都会の街灯がひとつ、またひとつと灯っていく中、
蒼の中で、目に見えない灯りが一つ、そっとともされた。