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仏教

ミラクルの池  Miracle Pond

 

 

ミラクルの池  Miracle Pond

白き閃光 頬を裂き
不意に降りた霊の火
師の声さえ遠のいて
魂だけが立ち尽くす

火と水 空に舞い
チャクラは星を貫いた
導師は語らずとも
振動がすべてを語る

White flash cuts across my cheek
A sudden fire the spirit speaks
The master’s voice begins to fade
And only soul remains, afraid

Fire and water rise to sky
The chakras pierce the stars on high
The master speaks no single word
Yet in the pulse, all truth is heard

 

 

 

求聞持聡明法の秘密

求聞持聡明法の秘密

私は、深い定に入っていた。

それは、三度目の求聞持聡明法の修行であった。時も場所も忘れ、ただ己が内奥へとひたすら降りていく。私の中にある“なにか”が変わろうとしていた。

最初の修法では、真言密教の伝統的な行法をそのまま試した。けれど、それは集中力を高めこそすれ、魂の根源に触れるような変容には至らなかった。私は考え、研究し、結論に至った。――弘法大師空海が成就した求聞持法の背後には、彼が書き遺さなかった“なにか”がある。彼の遺した法は、あくまで道筋の断片に過ぎず、その奥義は、弟子たちのうち、自らの力でそれを見出す者にのみ開かれるものであったのだ。

二度目の修行では、私は古代ヨーガの技術を組み入れた。すると、体と心の奥に、確かに“響き”のようなものを感じ始めた。五十日間の行では成就に至らなかったが、私の方向性は誤っていない。そう確信した。ならば、積み重ね、延ばしてゆけばいい。この道しかない。私は信じた。心の底から。

そして三度目の修法。私は新たな方法を確立していた。それは山に籠ることなく、日常の中で行える修法であった。明星を脳裏に深く焼きつけ、あとは静かな部屋で、日々の生活の中で繰り返し、繰り返し、鍛錬を重ねていく。それは法を民衆の手の届くところへと引き戻す革新だった。

百日目の夜明け――その瞬間は、ふと訪れた。仄暗い意識のなかで、私は失心にも似た感覚に包まれた。忘我の瞬間。だが、決して眠りではなかった。

そして――稲妻。

「うあッ!」

私は叫び声をあげていた。頭蓋の奥に、まるで雷が落ちたような感覚。目の前に紫電が走り、そのあとに暗黒。――失明か!? 一瞬、恐怖が走る。しかしその直後、頭の内側、深いところに、ポッと小さな灯がともったのだ。脈拍に合わせ、冷たい白光が静かにまたたく。まるであの山中で見つめた、あの明星のように。

「そうか……これが、明星だったのか!」

私は声をあげていた。求聞持聡明法の核心に、私はついに触れたのだ――。

第三の発見。それは、「視床下部」の秘密であった。

思い返せば私は幼きころから剣道を学び、北辰一刀流の型を叩き込まれて育った。試合で面金を越えて鮮やかに面を打たれたとき、目から火が出るような衝撃を味わったことがある。あの時の閃光、そして鼻をつくキナ臭さ――それが、今、私の頭の内側でふたたび起こったのだ。外から何も受けていないのに、あの衝撃。あれは、いったい何だったのか?

私は再び静かにポーズをとり、特殊な呼吸法を用いて定に入った。そして、同じ場所に、また“火”を感じた。

それは錯覚ではなかった。私の脳の奥、間脳の「視床下部」に、実際の異変が起きていたのだ。

視床下部――それはヨーガで「サハスラーラ・チャクラ」と呼ばれる場所、宇宙の門であり、内分泌の統合の座である。今までそれが松果腺だと誤解されてきたのは、その近さゆえだろう。だが、真実は視床下部にある。私は、ヨーガの中からそれを動かすムドラーとポーズを発見し、百日間、絶え間なく物質的・精神的エネルギーをそこに集中した。

そして、神経繊維が反応を起こした。神経液か、分泌物か、それらが混ざり合い、化学反応を引き起こした。その反応が閃光となり、私の網膜に火を走らせたのだ。そしてその瞬間、私の脳の構造は、確かに一変した。

これが、求聞持聡明法の成就である。

――これは、外の神ではなく、内なる宇宙を開くための修行であった。明星は空にあるのではない。我らの頭蓋の奥、視床下部にこそ、それはまたたいていたのだ。

ミラクルの池  Miracle Pond

ミラクルの池

そのとき、突然、それはやってきた。

師の大きな声が、すうっと遠ざかるように消えかけた瞬間だった。右斜め前方から、がつん、と頭から頬にかけて殴りつけられたような衝撃を受けたのだ。

目の中で白い閃光が走った。まるで剣道の試合で面を打たれたときのような、あの光。それが視界を走り抜け、私は思わずよろめき、額に手を当てた。

――これは、バイブレーションだ。

そう理解したものの、これほど激しい霊的震動は、いまだかつて経験したことがなかった。密教の修行者として数々の霊場を歩き、何度か霊的波動に触れてきた。しかし、今回のそれは、叩きつけるような猛威を帯びていた。しかも、心構えもなかった。まったくの無防備。だからこそ、不意を衝かれた衝撃は、ことさら深かった。

数秒続いたかのように感じたが、実際には一瞬の出来事だった。次の瞬間、師の声が耳に蘇った。

「待ってください」

私は思わず手を挙げて制した。

「少し待ってください。……今、ものすごいバイブレーションを感じました。あの方向から……あの凹地のあたりです」

五十メートルほど前方、雑草の生い茂る小さな凹地を私は指さした。

「ああ、あれですか」

師は頷いた。

「あれは“ミラクルの池”です。仏陀が奇跡を顕された場所です。……上半身を火に、下半身を水に変え、池の上に浮かび上がったのです」

「それは……どういう意味なのでしょうか?」

師は語り始めた。

かつて、スラバスティの長者スダッタが仏陀のために土地を買い、大精舎を建立した。その名声は四方に広まり、多くの人々が教えを求めて集まった。しかし、近隣の外道の教団たちはその名声をねたみ、仏陀を「口先だけの山師」と罵った。神通力を持たぬ者は導師ではない――それが当時の常識だった。仏陀は意図的にその力を示さなかったため、彼らの中傷は日に日に増していった。

ついには、他教団の指導者たちは仏陀との“神通力比べ”を申し入れてきた。負けた者がこの地を去るという条件で。スダッタは断りきれず、仏陀に試合を懇願した。

仏陀は静かにそれを受け入れ、そしてこの“ミラクルの池”で、かの奇跡を示されたのだという。

私は額に手を当てたまま、師の話に耳を傾けていた。しかし、話が終わるころ、ふいに別の感覚が全身を包んだ。やわらかな振動とともに、ひとつの明確な思念――いや、概念が、脳の奥深くに流れ込んできたのだ。

私は思考を完全に止め、それを受け入れた。だが、その最後、激しい戦慄が走った。全身の血が一瞬で引いていくような、名状しがたい恐怖だった。

そのとき、誰かが尋ねた。

「先生……その、上半身が火で、下半身が水というのは、どういう意味なのでしょうか?」

私は応じた。

「それは全身のチャクラが強烈に開き、火と水のエネルギーとして放射されたのでしょう。空中浮揚のため、仏陀は全チャクラを一点に集中させたのです」

その説明を終えたあと、私たちはラクノウのホテルに着いた。部屋に入るや否や、私は急いでシャワーを浴び、すぐに坐った。あの“ミラクルの池”での体験を、もう一度定の中で再現したかった。

すると、私の手が勝手に動き始めた。自動書記――霊的状態において、手が無意識に文字を綴る現象だ。

メモ帳もペンもなかった。荷物はロビーに預けてしまっていた。私は机の引き出しをあさった。幸いにも、ホテルのメモ用紙とボールペンを見つけ、しゃぶりつくようにペンを握った。

それは奔流のように書き出された。はじめは単語の羅列だったが、次第に意味を成し、あの体験と一致するものとなっていった。

そして、私は最後にこう記したのだった――

それは、突然、ななめ前方からやってきた。

一瞬、目がくらむほどの衝撃。予期せぬそれに、無防備な私はたたきのめされた。

これまでの修行も教学も、まったく役に立たなかった。

――私は、型者にすぎなかったのだ。

だが、私は誓う。この聖なるバイブレーションを受けうる“型地”を、わが東の国に築くことを。このサヘト・マヘトの輝きを、そのまま日本へと移し替えること。それが、私の使命なのだ。

そう、もう一度、私はこの地に来なければならない。そのとき、何かが起こる。私はそれを恐れている――だが、避けられない予感がある。

ああ、あの一瞬の霊的バイブレーション。

百年の苦行も、万巻の書物も、それなくしては路傍の石にも劣る。

あのバイブレーションを与える者こそ、真の導師であることが、今ようやくわかった。

聖師よ、ありがとう――

ミラクルの池  Miracle Pond

小高い丘の上に立って、わたくしは師の説明を聞いていた。

そのとき、突然、それがやってきたのだった。

師の大きな声が突然すうっと遠のいたかと思うと、右ななめ前方から、 がぁんと、頭から頬にかけてなぐりつけられたような衝撃を感じたのだ。

目の中を白い閃光が飛んだ。剣道で力いっぱい面を打たれたとき、目の中を走るあの閃光に似ていた。わたくしは思わずくらくらとして、額に手

をあてた。一種のバイブレーションであることはわかった。わたくしも密教の修行者として各地の霊場をあるき、何度か霊的なバイブレーションをうけている。しかし、こんなすさまじい叩きつけるようなバイブレーショ

ンははじめてであった。しかもまったく無防禦だったので、完全に不意を

つかれたという感じだった。どこでも霊場へ入るときには、それなりの心

がまえをして入る。だからつよいバイブレーションをうけてもうけとめられるのだが、ここでは全く無防禦だったので、その衝撃はことにつよかったのだ。数秒つづいたように感じたが、それはほんの一瞬のようであった。師の大きな声がふたたび耳によみがえってきた。

「待ってください」

わたくしは手をあげて師を制した。

「ちょっと待って。わたくしはいま、ものすごいバイブレーションを感じ

たのです。それはものすごいバイブレーションで、そう、あの方向からきました。あれはなんですか? あの凹地は――」 くぼち

と思われた。 わたくしは、その衝撃がきたと思われる方向をゆびさした。五十メートルほど前方に、雑草の生いしげった凹地があった。そこから、それがきた

「ああ、あれですか」

がまえをして入る。だからつよいバイブレーションをうけてもうけとめられるのだが、ここでは全く無防禦だったので、その衝撃はことにつよかったのだ。数秒つづいたように感じたが、それはほんの一瞬のようであっ

た。師の大きな声がふたたび耳によみがえってきた。

「待ってください」

わたくしは手をあげて師を制した。

「ちょっと待って。わたくしはいま、ものすごいバイブレーションを感じたのです。それはものすごいバイブレーションで、そう、あの方向からきくぼち

ました。あれはなんですか? あの凹地は―――」

わたくしは、その衝撃がきたと思われる方向をゆびさした。五十メートルほと前方に、雑草の生いしげった凹地があった。そこから、それがきた

と思われた。

「ああ、あれですか」

と師はうなずいた。

 

 

 

 

「あれは、ミラクルの池です」

「ミラクルの池?」

「そう、ミラクルの池。仏陀が奇跡をおあらわしになった。そこであそこを、ミラクルの池とよぶのです」

「そのミラクルとは、どんなミラクルなのですか?」

「それは、仏陀が空中を浮揚してこの池の上に立ち、上半身を火に、下半

身を水にかえたのです」

「ほう、それはどういうことですか?」

それはですね、と師の説明によると、こうであった。

スラバスティの大長者スダッタ(須達多)が、仏陀のために大金を投じてここに土地を求め、大精舎を建立した。仏陀の名声は四方につたわり、教えを乞うもの踵を接した。 きびす

この附近には、ジャイナ教その他の外道の寺院がたくさんあった。それらの寺院の指導者たちは、仏陀の名声をねたみ、いろいろ、仏陀を中傷、

批難した。中でもとくに、仏陀を口のうまい山師にすぎないといいふらした。口さきで理論を説くだけで、なに一つ神通力を持っていない、要する

に口舌の徒であるという批難であった。当時のインドの宗教界では、指導者となるためには、なんらかの神通力を持つことが、必須の条件とされていた。ところが、仏陀は、無用に神通力をあらわすことをきらって、この地に来てから一度もその力を示すことがなかったのである。

他の教団の指導者たちは、これを、仏陀にその力がないからだと考え、 これを攻撃したわけである。仏陀が大神通力の持ちぬしであることを知っている高弟たちは、一度、ぜひその力を示されるようおねがいしたが、仏陀は承知されなかった。いよいよ神通力などないと思いあがった他教団の指導者たちは、自分たちのパトロンである他の長者や勢力者たちを通じて、スダッタに、仏陀と神通力の試合を申し入れた。負けたほうがこの地を去るという条件である。スダッタもついにことわりきれず、仏陀に試合

を態逃した。あるいは、スダッタも仏陀の神通力を見たかったのかも知れ

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わたくしは、額に手をあてて師の説明を聞いていた。途中からふいに、

説明もおわった。 やわらかなバイブレーションとともに、ひとつの概念――思考の流れがしずかにわたくしの脳髄ふかく流れこんでくるのを感じたのである。わたくしは、自分の思念をまったくとめて、それをすなおにうけいれていた。突に、さいごに、すさまじい戦慄が走った。全身の血がいっぺんにひいてゆくような、名状しがたい恐怖感の襲撃だった。それがおわったとき、師の

「先生、その、上半身が火となって、下半身が水となる、というのは、どこういうことでしょうか?」

とだれかがわたくしに質問した。

「ああ、それはね、全身のチャクラが、すさまじいパワーで、エネルギーを放射したのでしょう。空中浮揚をするために、仏陀は全身のチャクラにすさまじいエネルギーを集中した。池の上に降り立って、そのエネルギー

それができたのは、それから数時間後、ラクノウという都市に着いて、 ホテルに入ったときであった。

わたくしは、あわただしく自分の室に入って、シャワーを浴びると、 ぐに定にはいった。ミラクルの池でのあの体験を、もう一度再現しようと思ったのである。

定にはいると、すぐに手がはげしく動いた。「自動書記だな」と直感した。これは、霊的状態になって手が無意識に動き、文字を書くのである。

すぐに、ノートを、と思ったが、あいにく、このホテルは、宿泊するのではなく、午後九時発の夜行列車に乗るまでの三、四時間を、休息と食事のために入ったので、トランクその他、筆記用具を入れた鞄はすべて、みんなの荷物といっしょに、下のロビーに預けてしまっていた。手もとには何もない。しかし、とりにいっているひまはない。時機を逸したら、もう二度とこの手の動きはもどって来ないかも知れぬのだ。

わたくしはあわただしく座を立って、机のひき出しをさがした。あっ

 

た!さいわい、ホテルのメモ用紙が数枚あった。ボールペンのミルしゃぶりつくようにペンをにぎると、それは勢いよくメモの上を走った。

最初、それは、肥絡のない単語や名詞の羅列であった。しかし、それ

は、ミラクルの池のあの思念の流れと一致していた。わたくしは、食事もとらず、出発までの時間を挙げてこれに傾注した。整理して、さいごに書きあげたのがつぎの文章であった。

しめそれは突然ななめ前方からやってきた。

一瞬、目がくらむほどの衝撃だった。

そんなことなどぜんぜん予期しておらずまったく無防備だった自分は、

あっというまにその衝撃に叩きのめされてしまったのだ。

らされた。 修行、学問、そんなものはなんの役にも立たぬものであることを思い知

こころひそかに誇っていたこれまでの自分の修行も教学も、あっという

いま、わたくしは型者であることをつよく

すべてのひとびとがこの聖なるバイブレーションを受けることのできる型地を、わたくしはひがしの国につくらねばならぬ。この輝きにみちたサヘト・マヘトの地を、そのまま、日本の国にうつさねばならぬ。それがわたくしの使命だったんですね。それをかならずはたすことをわたくしはあ

なたに誓います。

そうですか。

もう一度、わたくしはこの地に来なければならないのですね。だが、そのときなにが起きるのでしょうか? そのとき起きる或ることを、わたくしは非常なおそれの感情とともに予感します。

ああ、あの一瞬の霊的バイブレーション!

一〇〇年の苦行も万巻の書物も、このバイブレーションなくしては、路傍の石ころにも劣るのだった。このバイブレーションをあたえることので

きる聖者こそ、真の導師だったのだ。理解できました。

聖師よ、ありがとう!

昭和五十五年十一月八日

ラクノウのホテルにて

急拠しるす。

書き終えて、わたくしは虚脱状態になった。

(『一九九九年カルマと霊障からの脱出』)

―――このサヘート・マヘートにおける状況は、奇しくも、阿含宗の記録映画

「おお、サヘト・マヘト、聖なる地」に収録されているので、読者はぜひ、機会をつくってごらんいただきたい。

ところで、以上の文章をお読みになって、「求聞持法」(としておく) 成就のときのわたくしの状態と、サヘート・マヘートにおいて霊的バイブレーションを

05 第二章 間脳の開発法

 

 

 

 

徳の種をまく者  Sower of Virtue

徳の種をまく者  Sower of Virtue

 

風が運ぶ梵鐘の音
迷いの中で経を閉じた
求めし福はどこにある
問いかけた空に夕日が燃ゆ

種をまけば 心に芽吹く
三つの道が光となる
如来・正法・聖なる縁
徳の花 咲かせゆくため
The wind carries the bell’s deep chime
I close the sutra, lost in time
Where is the joy my heart has sought?
The sunset burns with silent thought

If seeds are sown, the soul will grow
Three paths of light begin to show
Buddha, the Dharma, and sacred friends
Blooming the grace that never ends