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如意輪観音 ― 願成就の覚醒譚 ― 願いは、叶えるものではなく、育てるものである ―  

 

如意輪観音 ― 願成就の覚醒譚
― 願いは、叶えるものではなく、育てるものである ―
夕暮れの公園。
ベンチに腰掛けた真輝は、
夕焼けに染まる空を、ぼんやりと見つめていた。
普賢菩薩の行願に触れてから、
彼は多くの人と関わり、動き、与えるようになった。
だが、ふと心に浮かぶ思いがあった。
「努力しても、報われないことがある。
祈っても、願いが叶わないことがある。」
「願うこと自体が、間違いなのだろうか。」

如意宝珠の光
そのとき、夕焼けの空に、
ひときわ柔らかな光が浮かんだ。
それは、星でも、街灯でもなかった。
掌に収まるほどの、小さな光。
光の中から、
一尊の菩薩が現れた。

如意輪観音――
六臂を持ち、
如意宝珠と法輪を携え、
安らかな姿で坐していた。
「願いを、否定するな。」
その声は、風のようにやさしかった。
願いの重さ
「私は、願いが叶わないたびに、
自分が足りないのだと思ってしまいます。」
真輝は、正直に語った。
「努力が足りない。
信じ方が足りない。
祈りが足りない……」
如意輪観音は、静かに首を振った。
「願いは、努力の報酬ではない。
願いは、心が世界とつながろうとする声だ。」
「叶わぬ願いにも、
無意味なものはない。」

願いの種

如意輪観音は、如意宝珠を掲げた。
宝珠は、光りながらも、
どこか種子のようでもあった。
「願いとは、種である。」
「種は、すぐには花にならない。
土に埋もれ、見えなくなり、
ときに、腐ったように見える。」
「だが、見えぬところで、
確かに根を張っている。」
真輝は、自分の胸の奥に、
いくつもの“願いの種”が眠っていることを感じた。
叶わなかった夢。
報われなかった努力。
届かなかった想い。
それらは、消えたのではなく、
まだ、土の中にあったのだ。

願成就の真意

「では、願成就とは何なのですか。」
真輝は、問いかけた。
如意輪観音は、穏やかに微笑んだ。
「願成就とは、
願いが“叶うこと”ではない。」
「願成就とは、
願いによって、あなたが変わること。」
「願いによって、
あなたの心が広がり、
他者を思い、
世界とつながるようになること。」
その瞬間、
真輝は、これまでの人生の“願い”が、
すでに彼を変えてきたことに気づいた。
それが叶わなかったとしても、
それが、彼を今の彼へと導いていた。

仏眼仏母のまなざし

空間の奥に、
仏眼仏母の眼が、再び輝いた。
「見る眼が開かれたとき、
願いは、執着ではなく、道標となる。」
如意輪観音は、深く頷いた。
「願いは、握りしめるものではない。
育て、委ね、やがて、手放すものだ。」

結び

夕焼けは、夜へと変わっていた。
真輝は、ベンチを立ち、
ゆっくりと歩き出した。
願いが叶うかどうかではなく、
願いと共に、どう生きるか。
それが、如意輪観音の教えであり、
真輝の新しい歩みであった。

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