幼い頃、釈迦族の王宮は黄金に輝き、富と平和に満ちていた。その中で、ひときわ輝く瞳を持つ少年が生を受けた。彼の名はゴータマ・シッダールタ。その誕生は異彩を放っていた。母である摩耶夫人は、夢の中で白い象が自分の胎内に入るのを見た。そしてその夜、シッダールタは摩耶夫人の右わきからこの世に現れた。
生まれて間もない赤子は、信じがたいことに7歩、まっすぐ大地を歩いた。その足跡には蓮の花が咲いたという。そして、ふいに空を見上げ、小さな指で天地を指し示した。彼の口から発せられた言葉は、「天上天下唯我独尊」。周囲にいた者たちは、その場の荘厳さに息を呑んだ。だが、その言葉の真意を知る者は少なかった。シッダールタの言葉が意味するのは、「この世に生まれた命はすべて尊く、聖なる使命を帯びている」という深い悟りだったのだ。
成長するにつれ、シッダールタの心は宮殿の中の贅沢や権力では満たされなかった。彼の目は、外の世界に向けられた。ある日、四門を抜けて外界へ出たとき、病人、老人、死者、そして修行僧と出会った。初めて見る苦しみと無常に触れた彼は、その原因を探求する決意を固めた。
29歳のとき、シッダールタは家族を後にして宮殿を去った。妻や幼い子を残す苦しみにも耐え、彼は森へと向かった。そこでは厳しい苦行が待っていた。長い年月をかけて肉体と精神を極限まで追い込んだ彼は、ついに35歳のとき、菩提樹の下で深い瞑想に入った。その夜、彼は真理に目覚めた。苦しみの根源、そしてそれを超越する道を見出したのだ。
その後、人々は彼を「ブッダ」(目覚めた者)と呼び、釈尊として崇めた。彼は至るところで説法を行い、人々に生きる道を示した。装飾品を身につけることなく、螺髪と呼ばれる独特の小さなカールを持つ髪型で現れたその姿は、彼の簡素な生き方を象徴していた。
歳月が流れ、釈迦は80歳で沙羅双樹の下に横たわった。その姿は涅槃像として知られる。彼の最後の言葉は、弟子たちへの教えだった。「すべてのものは無常である。怠ることなく修行に励みなさい。」釈迦の目が閉じられると、弟子たちの間に静かな悲しみと、彼が遺した真理の光が広がった。
彼の物語は、誕生から入滅まで、数多の人々の心に刻まれた。そして今もなお、その教えは世界中で生き続けている。




