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大日如来 すべての生き物の根本となる仏 Mahāvairocana

 

大日如来

すべての生き物の根本となる仏

Mahāvairocana

 

――夜明け前。
まだ空が群青に沈むころ、山の稜線の向こうから、かすかな光がにじみ始めた。
それは太陽の光ではない。
もっと静かで、もっと深い――
まるで宇宙そのものが呼吸するような、根源の輝きだった。
その中心に、ひとりの尊き姿があった。
大日如来――梵名、Mahāvairocana。

宝冠は星々のきらめきを宿し、首飾りは銀河の流れのように胸元へと垂れている。
如来でありながら、菩薩のように華麗な装い。
それは、ただ一人――宇宙の真理そのものを体現する存在だからであった。
「大いなる日輪」
その名のとおり、智慧と慈悲の光は永遠に滅びることがない。
すべての命は、この光から生まれ、再びこの光へと帰っていく。

――そのとき、虚空に二つの曼荼羅が広がった。
一つは、鋭く澄みわたる光の世界。

金剛界。
大日如来は、左手の人差し指を立て、それを右手の拳で包み込む。
智拳印。
堅固なる智慧。
金剛のように砕けぬ真理。
迷いの闇を断ち切る、揺るがぬ覚醒。
「智慧は、壊れぬ。
真理は、決して傷つかぬ。」
その声は雷鳴のようでありながら、同時に心の奥底にそっと触れる囁きでもあった。
もう一つは、やわらかな光に満ちた世界。

胎蔵界。
大日如来は両手を重ね、静かに定印を結ぶ。
まるで母の胎内のように、すべてを包み込む無限の慈悲。
怒りも、悲しみも、過ちも。
善も悪も、光も影も。
すべてはこの大いなる存在の内に抱かれている。
「あなたもまた、わたしの光。」
その言葉とともに、森羅万象がひとつに溶け合った。
釈迦も、薬師も、阿弥陀も。
あらゆる仏は、この大いなる存在のはたらきの一面にすぎない。

宇宙は分かれているのではない。
ただ、光が無数の形をとって現れているだけなのだ。
やがて、東の空に本物の太陽が昇る。
だが、その光さえも――

大日如来の智慧の輝きの一滴にすぎない。
あなたが今、息をしていること。
迷いながらも歩いていること。
願いを抱き、祈ること。
それ自体が、すでに大日如来の中にある。

そして静かに、声が響く。
「即身成仏――
この身、このままでよい。」
光は広がり続ける。
終わりも始まりもなく。
宇宙そのものとして。

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