七覚支(しちかくし)法は、仏教における最も重要な修行法の一つであり、涅槃(ニルヴァーナ)に至るための七つの精神的目覚めの要素を示します。これらは、「修行者が煩悩を断ち、智慧と解脱を得るための七つの覚りへの支え(=覚支)」とされます。
それぞれの要素は、単独ではなく相互に関係し、段階的かつ柔軟に心を導いていきます。
🌿七覚支(しちかくし)一覧と解説:
1. 択法覚支(ちゃくほうかくし)|法を選びとる智慧
意味:正しい法(ダルマ)を選びとり、善悪・正邪を見極める智慧。
実践:物事の本質をよく観察し、「これは苦を増す行いか、苦を滅する行いか」を見分ける力。
仏教的観点:正見(八正道)に通じる。無明(無知)を破る初動の覚支。
2. 精進覚支(しょうじんかくし)|たゆまず努力する力
意味:善を育て、悪を避けようとする精神的なエネルギー。
実践:怠け心や無気力を退けて、持続的な努力を続ける。
仏教的観点:四正断(悪を断ち善を育む)と深く関係。
3. 喜覚支(きかくし)|法悦(ほうえつ)・心の喜び
意味:正法に触れ、修行が進むことで生じる心の喜びや感動。
実践:瞑想中に湧き上がる爽快な喜び。信や理解が深まると自然に湧いてくる。
仏教的観点:「法を味わう」ことで自ずと生じる、悟りの予兆ともいえる喜び。
4. 軽安覚支(きょうあんかくし)|身心の軽やかさ
意味:煩悩や執着が軽くなったことで感じる、身と心の安らぎ。
実践:喜びの後に訪れる、静かで軽やかな感覚。身体の力が抜け、集中が深まる。
仏教的観点:禅定の深まりとともに顕れる境地。
5. 定覚支(じょうかくし)|深い集中(サマーディ)
意味:心が乱れず、一点に定まる状態。
実践:対象に集中し、雑念が去り、深い静寂と統一が生じる。
仏教的観点:四禅(しぜん)のような深い禅定の境地。
6. 捨覚支(しゃかくし)|心の平静・執着の放棄
意味:喜怒哀楽に偏らず、心を手放し、均等に保つこと。
実践:「これは執着だ」と気づき、静かに離れていく心の姿勢。無執着の境地。
仏教的観点:「捨(う)」は最終的な中道的バランス。智慧の成熟を意味する。
7. 念覚支(ねんかくし)|気づき・マインドフルネス
意味:今ここに心をおき、気づき続けること。
実践:呼吸、身体、心の動きを絶えず観察し、忘れないようにする。
仏教的観点:四念住(しねんじゅう)と関係し、他の六覚支を支える根本。
🛤️ 実践の流れ(例):
念覚支で気づきを養う
そこから択法覚支で正しい方向性を見極める
見極めたら精進覚支で努力を続ける
成果により喜覚支が湧き上がる
心身が静まり軽安覚支に至る
深い瞑想状態で定覚支が定まる
最後に捨覚支で執着を超えた心の自由を得る
🌸まとめ:七覚支は「悟りの七段階」
七覚支は、単なる瞑想技法ではなく、苦の原因を滅し、智慧を得て、自由な心を開くための精神的発展の道筋です。それは、「気づき(念)に始まり、気づきに終わる」道であり、すべての修行の中心に「マインドフルネス=念」が据えられています。




