四神足(しじんそく)について詳しく解説いたします。これは仏教における高度な修行段階に位置づけられる「神通力(じんつうりき)」の実現を支えるための、**四つの心の鍛錬法(四つの集中法)**です。
■ 四神足(しじんそく)とは
「四神足」は、サンスクリット語で「catasro ṛddhipādaḥ(チャトゥシュリッディパーダ)」といい、
直訳すると「神通の足(あし)」、つまり神通力への道筋・基礎・手がかりという意味です。
◯ 目的
深い三昧(サマーディ)に入るための修行法
五神通(他心通・天耳通など)など超越的な力の発現
解脱に向かう集中力の完成
■ 四神足の構成要素
四神足には、それぞれ「三昧」(深い集中)と「修習」(継続した実践)を組み合わせた四つの道があります。
名称サンスクリット語内容の概要修行の特徴欲神足(よくじんそく)chanda-ṛddhipāda「修行をしたい」という欲(意欲)を基盤とした集中正しい願望が強い集中力を生む勤神足(ごんじんそく)vīrya-ṛddhipāda勤(努力)を基盤にして三昧に入る継続的な精進によって集中力を高める心神足(しんじんそく)citta-ṛddhipāda心(精神の統一)を基盤にした集中心を静かに一つに保つことで三昧に至る観神足(かんじんそく)mīmāṃsā-ṛddhipāda / vīmaṃsā観察・省察(智慧)を基盤とした集中物事を正しく見て深める洞察力による集中
■ 四神足の修行過程と意味
1. 欲神足(chanda)
仏道修行において「やりたい、知りたい、目覚めたい」という正しい欲求を持つこと。
欲望というと否定されがちですが、仏教では**善き欲求(善欲)**は、向上心として重視されます。
欲が強まることで、その対象に心が集中していく。
🧘♀️ 例:覚醒したいという強い願いが、瞑想の集中を促す
2. 勤神足(vīrya)
継続的な努力(精進)によって、集中状態を築く。
三昧は一瞬では得られないため、反復的な修習が不可欠。
四正勤とも通じ、悪を止め善を増やす努力が含まれる。
🧘♂️ 例:日々の瞑想を怠らず積み重ねることで、心が整っていく
3. 心神足(citta)
心そのものを柔らかく、静かに、一点に定める訓練。
「心を制する者は、世界を制する」というように、集中の核心を成す。
雑念を払い、心を調える技術が求められる。
🧘 例:呼吸に意識を集中し、心の波を静める
4. 観神足(mīmāṃsā / vīmaṃsā)
知恵と観察力によって、真理を見抜くための集中。
特に「四念処(身・受・心・法の観)」の修習と深く関わる。
現象の無常・苦・無我を見つめ、執着を離れていく。
🧘♀️ 例:体験に対して「これは生じ、変わり、消えていくものだ」と観察する
■ 四神足と仏教修行の位置づけ
四神足は、以下のような仏教の修行階梯と密接に関係します。
段階内容四念処(しねんじょ)身・受・心・法を観察する四正勤(ししょうごん)善を育て、悪を止める努力四神足(しじんそく)集中力を高める四つの実践五根・五力信・精進・念・定・慧を育てる七覚支・八正道解脱への完成された道
■ 四神足を現代的に応用するなら?
現代人の瞑想や自己鍛錬にも、四神足は非常に応用可能です。
神足現代的実践例欲神足「自分の成長を強く願う」意図を明確にする勤神足毎日の習慣として瞑想・日記・修行を続ける心神足集中を妨げるスマホなどを遠ざけ、静かな時間をつくる観神足自分の心の動きや感情を冷静に観察し、手放す力を養う
■ まとめ
四神足は、仏道修行者が深い集中力と神通力を得るための土台となる実践です。
しかしそれは単なる超能力を目指すものではなく、心を制御し、智慧を育て、解脱への道を進むための核心的技法です。




