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「愛を、悟れ」

失恋から立ち直れずにいた大学生の遥(はるか)は、ある夜、友人に誘われて渋谷の小さな神社を訪れた。

「この神社、恋愛成就に効くらしいよ。特に愛染明王っていう神様が有名なんだって」

半信半疑でお参りした帰り道、遥はひとり、境内に残った。木々の間から赤い灯りがゆらめき、不意に時間が止まったような静けさに包まれる。

「君は、まだその想いを捨てられずにいるのか」

声がした。振り返ると、そこには赤く燃えるような衣を纏い、三つの目と六本の腕を持つ異形の存在が佇んでいた。だがその目は不思議と優しく、どこか懐かしい光を宿していた。

「愛染…明王…?」

遥が言葉を失っていると、明王は静かに語り始めた。

「愛に苦しむのは、悪いことではない。愛欲、煩悩——それらは、決して捨てるべきものではない。むしろ、それがあるからこそ、人は真の自分と向き合える」

「でも…愛って、こんなに苦しいものなの?」

遥の問いに、明王は微笑むように答えた。

「それでも、愛を選ぶか?」

遥は黙ってうなずいた。その瞬間、明王の六本の手のひとつが、弓を取り、もう一方の手が矢をつがえる。そして、光の矢が遥の胸を射抜いた——苦しみの中心にある、彼自身の「本当の願い」を貫いて。

胸の奥で何かが弾けた。涙があふれる。遥はようやく、自分がただ相手を想っていただけでなく、「誰かに必要とされたい」と願っていたことに気づいた。

「オン・マカラギャ・バザロウシュニシャ・バザラサトバ・ジャクウン・バンコク——唱えるがいい。愛を求めるその心が、やがて誰かを癒す力となる」

夜が明けた。あの不思議な出会いが夢だったのか、現

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