七倶胝仏母──七億の仏を生む母
はるか昔、時の流れさえ定まらぬ混沌の時代に、一人の女神が誓いを立てた。
「この世の苦しみを救わん……」
彼女の名は七倶胝仏母(しちくていぶつも)。
七倶胝──その名に秘められた意味は、計り知れぬ広がりを持つ。倶胝(くてい)とは、古の言葉コーティ(koṭi)を音写したもの。一つが一千万を示し、七倶胝は七千万 × 一千万。すなわち、それは七億という果てなき数を象徴していた。
彼女は仏を生み出す母。**仏母(ぶつも)**と呼ばれ、智慧と慈悲をもって人々を導く存在。彼女の懐から生まれた仏たちは、七億もの光となり、世界の隅々へと旅立った。
苦しみにあえぐ者のもとへ、希望なき者のもとへ。
人々はその名を唱えた。
「オン・シャレイ・シュレイ・ジュンテイ・ソワカ……」
その声は風に乗り、大地に響き、やがて世界を満たしていった。七億の仏たちは今もなお、人々を見守り続けている。




