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千手千眼観音菩薩

 

遥か昔、世界が未だ混沌に包まれていた時代、人々は絶え間ない苦しみと悲しみに喘いでいた。そこに現れたのが千手観音——「大慈悲」を象徴する存在である。

彼女の姿は神秘的で、見る者を圧倒した。千本の腕があらゆる方向に広がり、その掌には千の眼が輝いていた。その一つひとつの眼は、人々の苦悩を見逃さず、彼らの助けを求める声を決して聞き漏らさない。千本の腕は、救いを求めるすべての命に手を差し伸べるために存在していた。それは、数に限りがあるものではなく、無限の慈悲と智慧の象徴だった。

彼女の名は「千手千眼観自在菩薩」。その大いなる慈悲から「大悲観音」と呼ばれることもあれば、観音の王として「蓮華王」とも称されていた。

しかし、千手観音は一人でその使命を果たしていたわけではない。彼女の周囲には、二十八部衆と呼ばれる力強い守護者たちが控えていた。阿修羅の勇猛さ、金剛力士の圧倒的な力、その他の守護者たちが、彼女を守り、支え、人々の苦しみを取り除くために共に戦っていた。

その姿は、ただ畏れ多いだけの存在ではなかった。千手観音は、苦しみの中にある者たちにとって、温かな光そのものだった。彼女の姿を目にした者は、自然と心の平穏を取り戻し、前を向いて生きていく勇気を得るのだった。

彼女の慈悲は、単なる伝説として語られるだけではなかった。現実の世界においても、多くの寺院に千手観音像が安置され、その前で祈りを捧げる者たちの数は絶えなかった。彼女の存在は、人々にとって救いそのものだったのだ。

その無限の手が、人々を絶え間なく支え続け、無数の眼が見守り続ける。千手観音は、すべての苦しむ命を見つめ、その慈悲の力で包み込む存在である。彼女の名を耳にするたび、人々はその大いなる愛に感謝し、祈りを捧げる。彼女の物語は、今も静かに、けれど確かに続いている。

 

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