物語の始まりは、革命的な科学の進歩が世界を変えることを予感させる。アメリカ海・空軍のために、バッファローのコーネル航空研究所が鋭意開発している「人間増幅器」の存在が明かされた。
その装置は、肉体を超えた存在を約束する未来の兆しであり、人間の筋肉を遥かに凌駕する「筋肉系」を持つ人造の存在を生み出すという革新的な概念であった。この「増幅人間」は、鋼鉄製の骨格に水圧原動機によって運動する甲羅を身にまとい、人間の動きを感知し即座にそれに反応する軽いワク組を内部に備えていた。
その能力は驚異的であり、最初の計画では片手で1000ポンドの重さを持ち上げることができるとされた。しかし、その力はまだ未知数であり、将来的にはさらに驚くべき業績を達成することが期待されていた。トラックを軽々と持ち上げたり、子供の遊びのように軽く扱う日が来るかもしれない。
一方、ゼネラル・エレクトリック社は、アメリカ陸軍のために「ペディプレクー」と呼ばれる歩行操縦器を開発していた。この装置は、竹馬のような金属の脚に膝や関節を備え、バランスを保ちながら巨大な歩幅で歩行することを可能にした。
これらの技術の進化により、人間は超人的な力と能力を手に入れることができるようになるかもしれない。大またで歩き、重い物を軽々と持ち上げるだけでなく、水中を高速で泳いだり、枝から枝へと飛び移ることさえ容易になる日が来るかもしれない。
しかし、この技術の真の進化は、肉体の増幅ではなく、大脳の能力を引き出すことにあるかもしれない。人間の知能が増幅されることで、私たちは未知の領域に挑戦し、新たな可能性を追求することができるようになるだろう。
