多羅菩薩
ターラー])は、仏教で信仰される女性の尊格(チベット語名:སྒྲོལ་མ་ sgrol ma [ドゥルマ]、漢字名:多羅,多羅仏母、救度仏母)。手に青い蓮の花を持つ。種字は、チベット仏教ではターン(tāṃ ཏཱཾ་)[1]、日本仏教ではタン (taṃ तं)等
誕生(大乗仏教〜中期密教)編集
この菩薩は、観音菩薩が「自分がいくら修行しても、衆生は苦しみから逃れられない」と悲しんで流した二粒の涙から生まれた。右目の涙からは白ターラーが、左目の涙からは緑ターラーが生まれた。 彼女たちは「衆生の済度を助ける」と発願し、菩薩は悲しみを克服したという[5]。
誕生(後期密教)編集
過去仏である鼓声如来という仏に信仰を持つナツォク・オ(彩光、sna tshogs ‘od)国の王女イェシェ・ダワ(慧月、ye shes zla ba)が、鼓声仏の弟子たちによって男身に変身するよう説得されるも、それを断り、女身のまま衆生に利益するという誓願を立てる。[6]これにより彼女は「度母」と呼ばれるようになった。数多の時を経て成果を得たとき、「十方の衆生の苦しみを除く」という新たな誓願を立てて、昼夜を問わず幾多の悪魔(māra)、人ならざるもの(amanuṣya)を調伏したため「救度速勇母」とも呼ばれるようになる[6]。また、あるオ・キ・ナンワ(‘od kyi snang ba)という名の堅固に戒律を守る一人の比丘が、十方の諸仏から灌頂を受けて観世音菩薩になった。蓮華を持った観世音菩薩の心際中からは、仏父と仏母の化身が現れた。その仏母の化身が多羅尊であり、この時から多羅菩薩は観世音菩薩との間に強い因縁を持つようになった。また彼女は様々な幻身を以って、さまざまな法相を示現し、無数の衆生を救い、すべての苦しみから逃れしめ、解脱を得させた。[7]
チベット音による真言編集
ཨོཾ་ཏཱ་རེ་ཏུཏྟཱ་རེ་ཏུ་རེ་སྭཱཧཱ། (oṃ tāre tuttāre ture svāhā)
中天音(日本真言宗)による真言編集