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中野信子 最新

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中野 信子(なかの のぶこ)

東京大学大学院工学系研究科修士課程、東京大学大学院医学系研究科医科学専攻修士課程を2004年に修了。

東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程を2008年に修了。博士論文「高次聴覚認知における知覚的範疇化の神経機構 fMRI・TMSによる複合的検討」で博士(医学)の学位を取得

 

「快楽」と聞くと、反射的に「いけないこと」というイメージを持たれる方が多いのではないでしょうか。 ではその「快楽」とはどういうものでしょう。 まず、食欲や性欲など、生物的な欲求を満たすことで得られる「快楽」があります。高価な美食を追求したり、風俗店に足繁く通ったりするのがわかりやすい例でしょうか。

また、アルコールやタバコ、麻薬や覚醒剤など、特定の物質を摂取することにより得られる快楽もあります。さらには、買い物やギャンブル、コンピュータゲームやSNS、チャットなど、いわゆる趣味的なものに「ハマる」ことも、一種の快楽でしょう。 程度の差こそあれ、これらは、私たちが人生の目的を達成する妨げとなる存在であるとお考えの方も多いと思います。 ところがこの両者──人生の目的のために真摯に努力することと、快楽に我を忘れること──には、同じ脳内物質が関わっているのです。 何かを成し遂げ、社会的に評価されて喜びを感じるとき、友人や家族や恋人から感謝やお祝いの言葉を聞いて幸福感に包まれるとき、私たちの脳の中では、快楽をもたらす物質「ドーパミン」が大量に分泌されています。

この物質は食事やセックス、そのほかの生物的な快楽を脳が感じるときに分泌されている物質、またギャンブルやゲームに我を忘れているときに分泌されている物質とまったく同じなのです。これは一体どういうことなのでしょう。 ご存じのように、ヒトという生き物は大脳新皮質、つまり「ものを考える脳」を発達させることで繁殖に成功してきました。 狩りをしたり、植物の実を食べたり、繁殖期に異性を見つけて交尾したり、今を生きるために必要なことならほかの動物にもできます。 ところがヒトという種は、遠い将来のことを見据えて作物を育てたり、家を建てたり、さらには村や国を作り、ついには何の役に立つのかわからない、科学や芸術といったことに懸命に力を注ぐような生物です。そういった、一

 

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