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虚空蔵の智慧

虚空の蔵  The Vault of Emptiness

静寂の山に 風が舞う
月影映す 古き寺
遥かなる声 響きわたり
秘めたる智慧 今もなお

オン・バサラ 光よ降れ
無限の記憶 心に満つ
求めし答え 己の中に
虚空の蔵は 開かれり

In the silent hills, the wind takes flight,
Moonlight shines on the temple old,
A distant voice echoes through the night,
The hidden wisdom still unfolds.

Om Basara, let the light descend,
Infinite memory fills my soul,
The answer I seek lies deep within,
The vault of emptiness now unfolds.

 

 

 

 

虚空蔵の智慧

静かな山寺に、一人の若き修行僧が佇んでいた。名を慧然(えねん)という。彼は幼い頃から並外れた記憶力を持ち、学問に励んできた。しかし、どれほど経典を読み、教えを学んでも、心の奥底にある「真の智慧」への渇望は満たされることがなかった。

ある日、彼は師匠から「虚空蔵求聞持法(こくうぞうぐもんじほう)」の話を聞く。これは虚空蔵菩薩の真言を百万遍唱えることで、無限の記憶力と仏の智慧を授かるという修行法であった。慧然の胸は高鳴った。「もし、この修行を成し遂げることができれば、真理に近づけるかもしれない…」

夜明け前、慧然は山の奥深くへと足を踏み入れた。そこで彼はひとり座禅を組み、虚空蔵菩薩の御名を唱え始めた。

「オン・バサラ・アラタンノウ・オン・タラク・ソワカ……」

彼はひたすらに唱え続けた。朝日が昇り、月が沈み、季節が移り変わっても、ただ真言を繰り返す。最初は集中していた心も、やがて疲労に侵され、雑念が忍び寄る。それでも彼は諦めなかった。

千日が過ぎた頃、慧然の意識は次第に研ぎ澄まされ、周囲の自然と一体になる感覚を覚えた。まるで自分の心が広大な宇宙と溶け合うようだった。ある夜、彼の目の前に黄金の光が降り注ぎ、一人の菩薩が現れた。その姿は端正で、一つの顔に二本の腕を持ち、右手には剣を、左手には如意宝珠を携えていた。

「慧然よ、汝の求める智慧はすでに汝の内にあり」

その声は静かでありながら、心の奥深くに響くものだった。慧然は悟った。智慧とは外に求めるものではなく、己の内にある無限の蔵から引き出すものなのだと。

翌朝、慧然は山を下りた。彼の目には、これまでとは違う世界が映っていた。人々の笑顔、風のささやき、木々のざわめき――すべてが深遠な意味を持っているように感じられた。

彼はその後、多くの弟子を導き、虚空蔵菩薩の教えを広めたという。その教えは時を超え、今もなお、人々の記憶と智慧を照らし続けている。

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