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薬師如来 病気に苦しむ人々を助ける仏

夕暮れが近づく小さな村。山の稜線が夕陽に染まり、静寂の中に鳥のさえずりが響く。村の中心にある祠には、薬師如来の像が鎮座していた。その穏やかな眼差しは、どんな苦しみも包み込むような慈悲に満ちていた。

ある日、この村に住むサヨという若い女性が重い病に倒れた。普段は朗らかで働き者の彼女が、床に伏せて動けなくなったと聞き、村人たちは深く心を痛めた。どんな薬を試しても病状は回復せず、彼女の家族は日に日にやつれていった。

「薬師如来様におすがりしよう。」

村の長老がそう提案すると、村人たちは祠に集まり、供物を捧げた。そして、薬師如来の真言を唱え始めた。

「オン・コロコロ・センダリ・マトウギ・ソワカ…」

その声は、次第に夜の帳の中に溶けていき、風に乗ってどこまでも広がっていった。人々の願いが空へと昇るかのようだった。

夜が明ける頃、一筋の光がサヨの家を包み込んだ。まるで薬師如来の慈悲が降り注いだかのように、彼女はゆっくりと目を開けた。家族が驚き、涙を流しながら彼女の手を握ると、サヨはかすかに微笑んだ。

「…夢を見たの。」

彼女は語り始めた。夢の中で、青い衣をまとった穏やかな顔の仏が現れ、そっと薬壺を差し出した。そして、静かに告げた。

「お前の病は癒えた。生きる喜びをもう一度感じなさい。」

その言葉を聞いた瞬間、サヨの体は軽くなり、目が覚めたのだった。

村人たちは薬師如来の奇跡に感謝し、その夜も再び祠に集まった。そして、再び声を揃えて真言を唱えた。

「オン・コロコロ・センダリ・マトウギ・ソワカ…」

その祈りの声は山々を超え、夜空へと溶けていった。薬師如来の慈悲が、また一つ人々の心に安らぎをもたらしたのだった。

 

 

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