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『ホロン革命』

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ヒトは脳に「霊性」の部位を持つ

「では、いよいよ本論に入りましょう。 ケストラーはこう言っています」

K氏は『ホロン革命』のページをひらいた。

・・・・・・ホモ・サピエンスは進化論に適合しない病に冒された異常な生物種で、人類の過 去の記録をみても、また現代の脳科学からいっても、ホモ・サピエンスが最後の爆発段階に 達したある時点で何かに狂いが生じたことは、そしてもともと人間の体には(もっと具体的に 言えば、神経回路には) 致命的な工学上の欠陥が誤って組み込まれ、それがために人類の妄想 傾向が歴史を通して脈々と流れていることは、否定すべくもない。これは恐ろしくも当然の 仮定であり、人間の条件を真摯に追求しようとすれば、これから目をそらすことはできない」

「ゆえに、『種』として絶滅するのだ、といっております。

桐山先生は、これにたいしてどうお考えですか?

人間はケストラーのいうように、脳に致命的な設計ミスを持った異常な生物種であるとお考え になりますか?」

「いや、わたくしはそう思いません。設計はほとんど完全に近かったと思います」

すると、設計は完全に近かったが、設計通りに進行しなかったということですか?」

そうです。ですから、 ケストラー自身もいっているように、もう一つのほうの推理、『ホモ・ サピエンスが最後の爆発的段階に達したある時点で何かに狂いが生じたことは』といっているの が正しいのです。設計ミスではなかった。設計はほとんど完全だったが、進化の途中で方向が狂 ってしまったのです。わたくしは、すでに、それを『密教・超能力の秘密』で指摘しています」 「具体的にお示しください」

 

  1. 社会的な狂い:ホモ・サピエンスが社会的な組織化を進めた段階で、競争や紛争、権力闘争などの問題が生じた可能性があります。社会の複雑さが増すにつれて、個々の利益や欲望が対立し、社会全体に混乱をもたらすことがあったかもしれません。
  2. 環境への狂い:人類が自然環境を変化させ、生態系に大きな影響を与えるようになった段階で、環境への負荷が増加し、生態系のバランスに乱れが生じた可能性があります。例えば、農業の拡大による森林伐採や土地の過剰利用、化石燃料の使用による気候変動などが考えられます。
  3. 心理的な狂い:知識や技術の進歩によって、人々の生活が大きく変わった段階で、心理的なストレスや不安が増加した可能性があります。例えば、都市化やデジタル化による孤立や情報過多、社会的なつながりの喪失などが挙げられます

 

 

「人間は脳に霊性の部位を持っているのです。これはそのように設計されているのです。だか ら、この部位がその設計の通りに活動していたら、人類は、 ケストラーのいうように「狂気」の 症状をあらわさなかったでしょう。 したがって、いまのような破滅に直面するようなことにはな らなかったのです。 この部位が進化の途中で閉鎖されてしまった。そのために、人類は、超 人になってしまったのです」

 

「ふうむ、これはおどろくべき発想ですね」

「発想じゃないのです。事実なのです」

「その霊性の部位とはどこですか?」

 

「大脳の最も中心である間脳の視床下部です。 このいちばん奥に、その部位があります。 ただし、これがはたらくためには、そのすぐそばにある松果腺という内分泌腺の特殊なはたらきが必

「それは大脳生理学者の説ですか?」

「いいえ、そうじゃありません。わたくしの修行体験による発見です。インドのクンダリニー・ ヨーガ、チベット密教の修行などを参考に、わたくしが把握したものです。脳生理学はまだそこ まで到達しておりません。 ただし、アメリカのホルモン分泌学の権威J・D・ラドクリフという 学者は、その著書『人体の驚異』(小学館)の中で、おもしろいことを言っております。 「その機能がようやくわかりかけてきた松果腺は、脳の下側にくっついている小さな毬果 の腺で、人間が原始時代の祖先から受けついできた第三の目の残跡と推定されている』 というのです。

 

視床下部は、脳の最も中心に位置する間脳の一部です。間脳は、脳の中心部に位置し、大脳と脳幹をつなぐ重要な構造です。視床下部は間脳の下部に位置し、さまざまな重要な機能を調節する役割を果たしています。

視床下部には多くの核が含まれており、それぞれが異なる機能を担当しています。以下に、視床下部の主な機能とその核の一部を挙げます。

  1. 内分泌(ホルモン)の調節: 視床下部の一部の核は、下垂体と連携してホルモンの分泌を調節します。例えば、視床下部前部の下垂体接合部核は、ホルモンの放出を制御するために下垂体にシグナルを送ります。
  2. 自律神経の調節: 視床下部の一部の核は、自律神経系の調節に関与しています。例えば、視床下部前部の視床下部下側部核は、自律神経系の交感神経活動を調節します。
  3. 食欲・摂食行動の調節: 視床下部の一部の核は、食欲や摂食行動の制御に関与しています。例えば、視床下部後部の視床下部外側核は、摂食中枢として知られ、食欲や摂食行動の調節に関与します。
  4. 感情と記憶の調節: 視床下部は感情と記憶の制御にも関与しています。例えば、視床下部中心前核は、情動の調節に関与し、記憶の形成やストレス応答に関連する役割を果たしています。

これらは一部の例であり、視床下部は多くの機能を持っています。視床下部の核は相互につながり、複雑な神経回路を形成しています。これにより、視床下部は多様な身体機能や行動の調節に重要な役割を果たしています。

 

 

第三の目というのをご存じですか?」

ざんせき

ずうっと以前に、そういう題名の本を読んだことがあります。 なんとかいう英国人が、チベッ

トでラマ僧について密教の修行をし、眉間のあいだに、四次元世界や霊界を見ることのできる第 三の目を持ったという内容で、ベストセラーになりましたね。もうほとんど内容を記憶しており ませんが、読んだおぼえがあります」

「そうですか、わたくしは、『密教・超能力の秘密』で、このラトクリフの文章を引用して、こ うのべております、『第三の目とホルモン」という章で、

おそらく、ひとは、「第三の目」などというと、いかにも空想的な、馬鹿々々しいことの ように思うかも知れない。 しかし、ヒトは、たしかに第三の目を持っていたのである。い や、げんに持っているのだ。 人間のからだのなかで最も重要なはたらきをする内分泌腺をく わしくしらべてゆくと、それがはっきりしてくるのである。

ヒトはまさしく第三の目を持ち、しかもそれは、J・D・ラドクリフのいうように“残 “ではなく、いまでも、活用すれば、実際に“見る”ことすら可能なのである。 最近の科 学の実験がそれを証明している。その最近の実験を紹介する前に、ひとつ、この不思議なは たらきをする内分泌腺というものを、もう少しくわしく調べてみようではないから

と、こうのべております」

その第三の目が、つまり、先生のおっしゃる霊性の部位というわけですか?」

「いや、ちょっとちがいます。密接な関係はあるが、ちょっとちがいます。 第三の目は、ラトクリ

きゆうみけい

「なるほど」

「ふうむ」

れんけい

「なるほど」

フのいうように、松果腺です。 わたくしのいう霊性の場は、それよりすこし深部の視床下部です」 「それはどうちがうのですか?」

「それは、ひと口でいうと、第三の目というのは、霊的次元のさまざまな現象を知覚し、見聞す る能力を持つ目、といったらよいでしょう。 視床下部のほうはそれを動かす 『場』です。それは つまり、いまわれわれが持つ普通の目と脳との関係にあると思ったらよいでしょう」

「視床下部がなぜ霊性の『場』であるかについて、わたくしは、『密教・超能力の秘密』で、脳 生理学とホルモン分泌学と、酵素薬理学の三つの面から解明しています。 この視床下部が第三

目として活動するとき、人間は霊性を顕現するのです。その究極において、『密教・超能 力の秘密』でいっているように、カミ、ホトケにまで到達するのです。 人間は、知性・理性の場

ちゅうかん

かんのう

である新皮質と、本能の座である辺縁系の中間にある『脳』に、霊性の場を持っていたので す。これにより、人間はバランスがとれるのです。 ところが、この間脳にある霊性の場を、人間 は失ってしまった」

しかし、それを知っているひとたちがいた。その代表が、シャカです。 シャカは、『成仏法』 という名で、この霊性の場を再開発するシステムを完成した。 古代密教が、それを受けついだ」

「古代密教とおっしゃるのはどういうわけですか?」

後世の密教は、大乗仏教の影響をうけて、シャカがつたえたシステムを様式化してしまったの です。まったくちがったものにしてしまった」

しかし、仏像とか、仏画とかは、古代密教の表象をそのままつたえています。密教の仏像の多 くが、第三の目を持っているのはこのためです」

「あの、のところにある目ですね?」

けいしゅら

そうです。その密教の代表ともいうべき仏像が、摩醯首羅です。 これは、梵語の mahōsuvara

(マーシュバラ)を音写したもので、これを「大自在天』と漢訳し、宇宙の大主宰神とされて おります。眉間に第三の目があって、合計、三つの目を持っています。われわれは、目が二つで す。その二つの目の一つは、辺縁系の脳に通ずる目であり、もう一つは新皮質の脳に通ずる目 で、この二つが一対になって、現象世界 (物質世界)を見るのです。このほかに、じつはもう一 つの目があった。それは間脳の視床下部の脳に通ずる霊性の目で、霊的世界を見る目です。 こ れ が、第三の目とよばれるものなのです」

「で、その第三の目が、『残跡』となると同時に、先生のおっしゃる霊性の『場』もはたらかな くなってしまったということですか?」

ヒトは脳に「霊性」の部位を持つ

「そうですね、しかし、それは、霊性の『場』が閉ざされてはたらかなくなってしまったから、

ざんこん

第三の目もはたらかなくなって、たんなる『残

』になってしまったのだともいえるでしょう。

うみんかんけい

「ふうむ」

「しかし」

要するに、密接な相関関係にあるものですから」

K氏はしばらく考えこんでいたが、

小首をかしげた。

「なぜ人間は、その霊性の『場』を失ってしまったのですか? 退化、とは考えられませんね

え。人間の精神活動は原始時代から非常なスピードで進化し、進歩しているわけですから、退化 などとは考えられない」

「その理由ですか?」

とわたくしは言った。

「第三の目」はなぜ消えてしまったか?

「第三の目が閉じられてしまったのには、もちろん、大きな理由があります。 わたくしのいう霊 性の『場』は、間脳の視床下部にありますが、それは、要するに、物質的な欲望や本能を制御 し、時には否定して、より崇高なるものにあこがれる精神領域です。そういうと、それは新皮質 系の領域じゃないかといわれるかも知れません。 そうじゃないのです。新皮質系の知性は、神を考え (分析し演釈する)、仏を理解しようとするものですが、霊性は、神と一体になり、仏と同化しようとする性です。 明らかに新皮質系のものとはちがうのです。新皮質が生む知性は、 時実博士の表現によれば「より良く生きる」ことと、「より高く生きる』 (六四ページ挿図参照)ことを目ざします。 そのための創造行動をいとなみます。その結果、どうい うものが生み出されたかといいますと、精神的には、哲学 (および倫理・道徳)、物質的には科 学と技術です。 ことばを変えていうと、より良く生きる』 が科学と技術を生み出し、「より 高く生きる』が哲学・倫理を生み出した。ところが、哲学・倫理はいままったく行きづまって、 人類がいまかかえる問題に、大声で警告は発するけれども、なんの答も出すことができない。

一方、新皮質の「より良く生きる』という目標は、より便利に』『より速く』の追求になって しまった。 ごらんなさい。 現代社会は、 新皮質文明であり、新皮質の産物ですが、 現代社会の目 標は、『より便利に』『より速く』がモットーでしょう。地球上のすべての企業が、それを目ざし 狂気のごとく活動しています。 それが結局は自分の首をしめることを新皮質は知りながら、正と聞いた。

めることができない。なぜならば、それをおしとどめる間脳のはたらき、霊性の『場』を、はるか以前に、新皮質自身が押さえこんでしまっていたのです」

「そんなことがあり得るのですか?」

「こういう現象は、大脳においてつねにおこなわれるものです。たとえば、動物が高等になるに つれて新皮質が発達してくるために、旧皮質はしだいに大脳半球の底面へ押しやられ、古皮質は 大脳半球内部へ押しこまれるようになります。これは大脳生理学の定説で、これとおなじ現象 が、人間の大脳においておこなわたのです。

新皮質は、それが人類の進歩と進化であり、平和と繁栄につながるのだという大義名分のもと に、 間脳を押さえこんでしまったのです。そういう理くつを考え出すのは、新皮質の得意ちゅう の得意ですから。

霊性とは物質的な欲望や本能を制御し、時には否定さえして、より崇高なるものにあこがれる 精神領域だと、さきにわたくしは申しましたが、そういうものは、新皮質の生み出す物質文化に ブレーキをかけるものです。考えようによっては、新皮質の敵といっていい。だから、新皮質は 全力をあげて、霊性の場を押しつぶしにかかった。 人間のすべての欲望 (大脳辺縁系)がこれに くわわった。これが、人間の『業』というものでしょう。

だから、知性と称するものは、霊性、霊的なものを、いまでも、迷信といって敵視するでしょ

う。知性の持ちだと自称するひとたちが、『霊』ということばを聞くと、たちまち歯をむき 出して噛みついてくるのは、そのためです」

「ははは、なるほど、なるほど」

K氏は大声で笑ったが、

「それはつまり、新皮質脳が開脳を押しつぶしてしまったのは、人類の歴史で、いつごろの ことでしょうか?」

知性(新皮質脳)と霊性(間脳)が

一時に花ひらいた時代

わたくしは、逆にK氏に質問した。

「といいますと?」

「K先生は、さきほど、人間の精神活動は原始時代から非常なスピードをもって、進化し、進歩 してきたとおっしゃいましたが、はたしてそうでしょうか?」

「わたくしは、ずうっと古いある時代から、すこしも進歩していないのじゃないかと思うので

 

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