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イーロン・マスクが事業化を目指す「人間がAIに対抗するための狂気の技術」BMIとは何か

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イーロン・マスクが事業化を目指す「人間がAIに対抗するための狂気の技術」BMIとは何か

小林 雅一
2045年、人工知能の「シンギュラリティ」で人類は滅びるか?

新たなビジネスとして注目

脳にコンピュータやロボット・アームなどを接続し、頭の中で念じることで、これらマシンを操作する。あるいは脳から直接パソコンやスマホに情報を入力したり、逆にこれら外部の端末から脳に直接情報を送り込む。

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まるでSFのような、こうした技術は一般に「ブレイン・マシン・インタフェース(BMI)」あるいは「ブレイン・コンピュータ・インタフェース(BCI)」と呼ばれ、最近、急激に技術開発のペースが加速してきた。

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たとえば今年7月には、脳卒中が原因で長年、重度の身体麻痺と言語障害に苦しんできた米国の男性患者が、脳にコンピュータを接続して自分の言いたいことをディスプレイに表示することによって、周囲の人たちと一種の「会話」をすることに成功した(図1)。

図1)今から18年前の脳卒中で言葉を話せなくなった男性が脳から念ずることで会話する様子 出典:https://www.youtube.com/watch?v=_GMcf1fXdW8&t=56s

これは米国の大学における臨床研究だが、こうした学術的な成果をベースに最近、著名起業家イーロン・マスク氏が新たに創業した米ニューラリンク社や、世界各国のIT企業等がこの分野に参入。各々事業化を図るなど、「BMI」は新たなビジネスとしても期待が高まっている。

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脳に特殊な装置を取り付ける

現在、実際の患者を対象にした臨床研究をリードしているのは、それら企業よりも、むしろ米国をはじめ世界各国の大学だ。

そこでは事故による脊髄損傷や重度神経疾患などで身体の麻痺した患者らを対象に、脳から念じることでロボット・アームやコンピュータを操作するなど、主にリハビリ医療を目的とした研究や技術開発が進められてきた。

中でも冒頭で紹介した「脳とコンピュータをつないで会話する」技術を開発したのは、米カリフォルニア大学サンフランシスコ校のエドワード・チャン教授らの研究チーム。

その臨床試験の被験者となった男性は、今から18年前の2003年に交通事故で腹部に重傷を負った。すぐに入院して手術を受けたが、その副作用による血栓で脳卒中に陥り、首から下が麻痺すると同時に、重度の言語障害で言葉を全く話せなくなってしまった。

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2018年に始まった臨床研究で、チャン教授らの研究チームは、手術で男性患者の頭蓋骨と髄膜を切り開き、その下にある脳の表面に薄いシート状のスパイク信号読み取り装置を取り付けた(図2)。

スパイク信号とは、脳が身体各部をコントロールするために発する電気信号だ。それを拾い上げる読み取り装置は、128個の電極(センサー)と信号処理用の半導体チップなどから構成されている。

図2)脳が発する電気信号を拾い上げる読み取り装置は、手術で脳の表面に取りつけられる 出典:https://www.youtube.com/watch?v=_GMcf1fXdW8&t=34s

AI技術の発達が「BMI」に寄与

シート状のスパイク信号読み取り装置は、脳の中でも「感覚運動野(sensory motor cortex)」と呼ばれる領域に取りつけられた。ここは人間が何かを話そうとする際に、唇や舌、顎、喉頭、声道など発声器官を制御する信号を出している。

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18年前の交通事故とその後の脳卒中により、この男性は「脳幹(brainstem)」が機能不全に陥り、身体が麻痺すると同時に言葉を話せなくなってしまった。しかし感覚運動野は無傷のまま残され、今でも正常に機能している。

手術で脳の表面に取り付けられたシート状の読み取り装置は、男性が何かを話そうとする際に、脳の感覚運動野が各種の発生器官を制御するために発する電気信号を受信する。この信号は男性患者の頭部から突き出た連結装置と通信ケーブルを経由して、コンピュータへと送信される。

コンピュータには、最近のAI(人工知能)ブームで注目された「ディープラーニング」と呼ばれる機械学習ソフトが搭載されている。このソフトが、男性患者の脳から通信ケーブルを経由して送られてきたスパイク信号を解読し、男性が話そうとした言葉をディスプレイに表示する(図3)。

図3)脳の電気信号をコンピュータ(のAI)が解読することで、男性患者が話そうとする言葉が画面に表示される  出典:https://www.youtube.com/watch?v=_GMcf1fXdW8&t=34s

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ただし、これを実現するには、患者と研究チームによる長期間の準備作業が必要だ。

臨床研究が開始された2018年以来、患者は延べ81週間に渡るトレーニングを行った。その中で、研究チームが提示した様々な単語を頭(脳)の内部で念じる練習を繰り返し、その際に脳が発するスパイク信号をディープラーニングが処理した。

このシステムは最初間違えることが多かったが、これを研究チームが粘り強く修正するうちに、最終的には74パーセントの精度で男性患者の言いたいことを解読して、コンピュータ画面に表示できるようになった。

ただし現時点で解読できる語彙は、チャン教授らの研究チームが予め選定した僅か50個の単語だ。従って患者はこれら50単語を組み合わせて、自分の言いたいことを表現する必要がある。

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今後の研究チームの課題は、使える語彙の数を増やすと同時に解読精度を高めることだ。が、それ以上に求められるのは、現在の有線方式から電波による無線方式へと切り替えることだ。

これにより装置全体を、患者の頭蓋骨の内側へと完全に埋め込むことができる。すると頭部から突き出た連結装置や邪魔な通信ケーブル等を無くすことができるので、患者の生活の質を改善できるなどのメリットが期待されている(図4)。

図4)BMIシステムを無線化すれば、患者の生活の質が向上する 出典:https://www.youtube.com/watch?v=_GMcf1fXdW8&t=34s

ニューラリンクは最初から無線方式を目指す

無線方式のBMI技術は、実は(冒頭で紹介した)マスク氏のニューラリンク社が既に開発済みだが、それはまだ動物実験の段階だ。

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今年4月、同社はその実験の様子をインターネット動画で公開した(図5)。

そこでは予め手術で脳にスパイク信号読み取り装置を埋め込まれた、実験用の小型猿が使われている。この装置と、スパイク信号を解読するコンピュータはブルートゥース規格に従う近距離無線、つまり電波で接続される。従って、(前述の)臨床試験に参加した男性患者のように、頭部から突き出た連結装置や通信ケーブル等は要らなくなる。

実際、図5をご覧頂ければ一目瞭然だが、脳に読み取り装置を埋め込まれた猿は外見上、普通の猿と何ら変わりはない。この猿は手を使う代わりに脳から念じることで、ビデオゲーム「ポン(Pong)」を遊ぶことができる(図5を見ると、猿は右手で握ったレバーを操作しているようにも見えるが、これは実はレバーではなく、ご褒美のバナナ・スムージーが流れて来る管である)。

図5)マカク猿が脳の思念でビデオ・ゲーム「ポン」を遊ぶ様子。画面上で上手くピンポン玉をヒットできると、ご褒美のバナナ・スムージーが口にくわえた管から貰える 出典:Monkey MindPong https://neuralink.com/blog/

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ニューラリンクはこのようなBMI技術を今後、身体が麻痺した患者のリハビリなど医療に応用する計画だ。既に、実際の患者を対象にした臨床研究の準備は整っている模様だが、米国の規制当局FDA(食品医薬品局)から承認が中々下りない。恐らくは「脳に埋め込まれた半導体チップによる発熱が脳細胞を傷つけるかもしれない」といった健康面の懸念が、FDAの承認を遅らせている主な理由と見られている。

が、他方で(前述の)大学等による臨床研究は既に何度も実施されている。確かに有線方式と無線方式という違いはあるものの、手術で脳に読み取り装置を取り付けるなど基本的なところは同じだ。大学の臨床研究は許可されるが、ニューラリンクなど企業では許されないとなると、マスク氏のような起業家は内心イライラしているかもしれない。

ただ、規制当局の承認が下りないのは、それ以外の理由もありそうだ。と言うのも、マスク氏(ニューラリンク)は身障者のリハビリなど医療以外にも、一般の健常者を対象にしたビジネスも考えているからだ。しかも、奇想天外な目標を掲げているのだ。

マスク氏が本当にやりたい事とは

それは「BMIで人間の知的能力を強化してAIに立ち向かおう」という目標だ。

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マスク氏は以前から「AIが今のペースで進化を続ければ、いずれ人類はそれに取り残され、いつかはAIやロボットに支配されてしまうだろう」といった危機感を度々口にしていた。最近、巷で囁かれる「AIやロボットに私たちの仕事が奪われる」という雇用不安とも重なるところがある。

これに対抗するため、私たち人類の方でも脳に半導体チップを埋め込むなど、生来の知的能力をITで強化する必要があるとマスク氏は主張するのだ。

Gettyimages

手始めに、脳から念じることでスマホに直接情報を入力するBMI技術を開発する。これによって私たちの情報処理能力を飛躍的に向上させることができる。いずれは脳にコンピュータやインターネットを直結させて、生活や仕事に必要な情報を脳に直接ダウンロードできるようにする。

こうすれば私たちが日ごろコツコツと時間をかけて勉強する手間を省いて、あっという間に新しい仕事に必要な知識や技能を習得することができるだろう。果てしない進化を続けるAIに立ち向かうためには、私たち人類の方でもここまで思い切ったことをしなければいけない、というわけだ。

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一種、狂気に近い才気を感じさせる発想だが、これを日頃から公言されると規制当局としても慎重にならざるを得ない。ニューラリンクのBMIが実現されるか否かは、創業者マスク氏の並外れた野望を現実世界に適合させるため、周囲の関係者がそれをどうコントロールするかにかかっているのかもしれない。

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