ら考えまして、人類史上における現段階の危険度というものは、当然のことながら、たみたいで
いのものではありますまい」
では、いったい、人類はどうなるのか?
解体しっぱなしで、ドロドロの液体状態の混乱のなかで、ホモ・サピエンスは絶滅してゆくの
か? 市川亀久弥先生はどのような予測をなされるか?
以上の私見にたいした誤りがなかったとしますならば、おそらく、人類史におけるつぎの段階
は、アプソリューティズムという名の、有効性が保たれていた幼虫的段階から、羽根や管形口器
の獲得に該当する,まったく新しい人類史的段階への脱出が待ちかまえていることになります。
つまり、大なり小な、戦争や、搾取や、「不バ心意識などにふりまかされてきたこれまでの、小

い占いが的階の延長線上にかける豚皮かのではなく、社会システム史における完全変
むかいたかとか、いかぶへ巡人類史的段階V公の移行の可能性が訪ねていか であります』
おお、これぞ、ティヤール・ド・シャルダン神父がぜったい信じて疑わなかった超・ヒト、ジ
ョルジュ・オリヴィエ教授が予測するホモ・エクセレンスが現実に生きる超人類社会 (Society of
super state homo-sapience)の実現である。なんとすばらしいことではないか。みにくいサナギも
蝶になる。にんげんばんざい、ホモ・サピエンスばんばんざあい!
アア
ウルトラ・メー
あと、ちょ、ちょっと待ってもらいたい。そんなところでおどっていては困るんだ。少々は
する。そうはいかないんだなあ、これが。

そのあとにつづく市川先生のコトバがたいへんきびしいのだ。
『しかし、それは、単なる可能性が残されている、というに過ぎないのでありまして、サナギ化
の解体段階で、完全にその命脈を終わってしまう可能性のほうがより高いのかもしれません。そ
の心配の種と申しますものは、従来の、社会システム上の変革段階にくらべて、解体の深度がひ
じょうに大きいことです。したがってまた、この解体過程のなかにもちこまれる試行錯誤の過程
にあらわれてくる、社会的なエントロピー(熱力学上の抽象的な量の単位)の増大化 (無秩序化)に
は、予断を許さないものがあると考えなくてはなりますまい。
つまり、現代の巨大化された機械文明というものは、ひとたび収拾のつかない状態におちいっ
てしまったら、あんがいにもろいことが予想できるわけであります』(引用文中の傍点は著者)
で、では、ヤッパリダメナンデショウカ?
なんだい、急にショゲてしまったじゃないか。
いや、そうでもないのだ。
ここに、さすがの市川亀久弥先生もお気がつかなんだすばらしいシステムがひとつあるのだ
な。市川先生は、せっかくいいところまで肉迫しながら、まったくの専門ちがいのために惜しく
もお気がつかれなんだ超人類社会創造のための唯一のシステムがここにあるのだ。
地を這うみにくいイモムシが、一転してサナギとなり、つづいて春の中空を花から花へうらら
かに飛び交う、羽翼のいろもあざやかな蝶へと変身してしまう、すばらしい技術とシステムが、
37社会における解体と変身
なかぞら

 

 

ここにある。
サナギはかならず蝶になるのだ。
ヒトにおける解体と変身
拙著「変身の原理」において、私は、湯川秀樹博士の文章を引用し、ひとつの道に秀でたすぐ
れた才能は、べつの世界においてもおなじようにすぐれた才能を発揮するのであろうという意味
の讃辞を、この偉大な科学者に呈したのであったが、いままた、この本で、それとまったくおな
じことばを、湯川氏のお弟子である市川亀久弥氏に呈さなければならないことになったというこ
とは、これはいったいどういう因縁というものであろうか。
「変身の原理」で、私はこのように述べた。
『両極端は一致するというけれども、ひとつの世界をきわめた知性はまったくべつな世界にたい
しても、凡人のおよばぬ洞察をなすものなのであろうか。
私は、つぎに述べるような湯川秀樹博士の文章を目にしたとき、思わずわが目を疑うほどのお
どろきを感じたものである。湯川氏は科学について述べておられるのであるけれども、私には、
それがそのまま(密教)について語っているのではないかと思われるものであったのだ。
この文章とまったくおなじ言葉を、私は、ふたたび、この本で、今度は、市川亀久弥氏の、
「等価で検展開理論」の、サナギの変態脱皮論にたいしてささげなければならなくなったのであなぜならば、相川氏が説くこの理論のなかの、昆虫の脱皮過程における発展のメカニズム
そ、そっくりそのまま、密教の持つ、超能力開発・変身の技術のシステムだったのである。
「破局からの制造』5頁で、氏は、このように述べておられる。
ー以上の脱皮過程における発展のメカニズムは、もう少しくわしくみると、どのような内容
になっているのでありましょうか。現代発生学上の記述を総合いたしますと、およそ、その概要
は図ものごときものとなっているのであります。
すなわち、すでにふれてまいりましたように、昆虫の体内では、幼虫的特徴の維持や、サナギ
化の開始などが、二種類の内分泌ホルモン、すなわちIHとPGHの両ホルモンの活性レベル
や、その時間的な交換によってコントロールされているものでありました。この小心かい制御の
たか、は、そのまま小変革過程としての、胞皮の出現過程のなかにもあてはまるのでかいお
す。(得点は著者)
文中の、このホルモン制御のメカニズム』は、そのまま、密教のヒト改造の超技術に”あて
はまるのである。
いや、この”ホルモン制御のメカニズム、こそ、密教の秘密技術の根幹となるものだったので
こんなん
339 社会における解体と変身
ある。
参戦は、五○○○年ものむかしに、この『等価変換展開理論』という現代のすぐれた科学者が

提唱する創造理論をすでに技術化して、その体系のなかにとり入れてしまっていたのである。
いったい、いかなるすぐれた叡智がそれをなしとげていたというのであろうか?
前の頁で、私は、ながながと市川教授の文章を引用させていただいたが、それはこのことを説
明したいためだったのである。もちろん、それだけのことではなく、人類史における各変革段階
を、それは生産出力の増大とそれに対応する社会システムの制御パターンの変革にほかならない
とする今日的な視点に立ったとらえかた、そして、現代文明の危機こそ、まさに、この、生産出
力の飛躍に対応する社会システムの制御パターンの行きづまりであるという明快かつすぐれた論
旨も知っておいていただかねばならぬ必要もあったからであるが、最大の理由は、密教のメカニ
ズムと近代創造理論の関連について説明したかったからである。
市川氏は、すでに前に引用した文章のなかでこう述べておられる(効頁参照)。
『この幼虫のからだのなかには、それまでの幼虫独自の形態、つまり、あのイモ虫状形態を維持
するために分秘されていたホルモン (幼弱ホルモンと命名されているホルモン)が急速に減少してい
く段階が訪れてくるのであります。(中略)、ところで、この前サナギ段階を含めました サナギ段
階と申しますところは、虫体の内部におきましては、空前の大変革がまき起こっている時期なの
であります。すなわち、前述の幼弱ホルモン (JH)の分泌レベルが落ちて前胸腺ホルモン (PG
H)の分泌が高まってまいりますと、それまでの特有な幼虫の形態は、急速に細胞レベルにまで
解体化を開始していくのであります。(中略)」
そうして、「それまでの生理個体の過去の蓄積を土台として、これを未来に向かって質的に レ
ベルアップしていく」という進化の階段をのぼっていくわけである。
これが、そのまま、密教の特殊技術なのだ。
ヨーガは、訓練によってヒトに超能力をあたえる。それは、それまでのヒトを一変させる。ま
ったくべつなヒトに変えてしまう。ときにはヒト以上の存在にさせてしまうことも稀れではな
い。いうなればヒトにおける”変革””脱皮”である。
変と脱皮についての市川教授の理論を聞こう(破局からの創造8~弘頁)。
「たとえば、不完全変態の昆虫と申しますものは、大局的にいいますと、以上にとりあげました
等価変換展開を、段階状展開とでもいうべき、ステップ・バイ・ステップ方式によって、小出し
にして、所定の変革を実現しているのであります。いな、劇的変換をみせている完全変態の昆虫
といえども、一度にかかる発生過程上の新段階を実現したわけではなく、おそらく不完全変態の
段階を、いる過去の時代に通過しているものであることはいうまでもないと思います。
つまり、以上を大局的に申しますと、昆虫進化史の過程にあらわれた個体発生史における創造
的展開」、はじめの段階において、小出しの変革過程をくり返しているうちに、ある特定の種の
祖先のなかに、最後の小変革段階である羽化の段階を、徹底した大変革のパターン (完全変態)
に移行せしめていったものらしいのであります。(中略)
さて、大要前述のようなプロセスによりまして、完全変態の昆虫におきましても、サナギ化に342
はいるまでの段階で経験するところの小変革は、いったいどういう形態をとって実現しているも
のでありましょうか。これが周知のへ脱皮Vといわれている段階にほかならないのであります。
周知のように昆虫の幼虫は、すべて、この脱皮と名づけられる段階的な八皮ぬぎ作業>を、お
のおのの成長段階に応じて周期的にくり返し、その最終段階にはいって羽化とよばれております
ところの、羽根開きの段階にはいっていくのであります。これは、不完全変態の昆虫、完全変態
の昆虫にかかわらず、一様にたどる経過なのであります』
私が、古代ヨーガの技術をとり入れ、真言密教の理論にもとづき、開発編成した超能力開発の
トレーニング・システムは、ヒトに八回の脱皮をさせ、九回目に羽化せしめる。市川理論の表現
をかりれば、八回の小変革的段階を経て、九回目に徹底した大変革のパターン (完全変態)を完
成させるということである。
カイコは、四回脱皮して、五回目にはサナギに変身、六回目には羽化して空に舞いあがる。私
の密教システムは、八たび変身、九回目には大超能力者となって物質世界を飛び越える。三次元
世界から四次元世界への飛翔である。それは、みにくい、不気味なかたちをしたサナギやイモム
ジを、一夜にして可憐な蝶に変身させ、中空たかく舞いあがらせてしまう、奇跡としか思えない
に異のメカニズムと、おなじ原理の上に立っているのである。