曼荼羅(まんだら)を見たことはあっても、描かれているものにどんな意味があるのか、何に使うものなのかを知っている人は少ないのではないでしょうか。そんな素朴な疑問を解決していく《おさえておきたい曼荼羅の基本》。第2回は「金剛界(こんごうかい)」を解説します。
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胎蔵界と金剛界
ふたつの世界は本質的に同じ
金剛界曼荼羅は、中央の成身会をはじめ、会と呼ばれる9の区画からなる。金剛頂経の教えを表す成身会は、大日如来の智慧の世界そのものともいえる会で、単独で金剛界曼荼羅と呼ばれることもあるほど重要な会。根本会や羯磨会とも呼ばれる。
胎蔵界曼荼羅と金剛界曼荼羅は、ともに大日如来を中心として表されるが、それぞれの世界で、手指でつくる印のかたちが異なっている。胎蔵界では、膝の上に右手が上になるように、両手を仰向けに重ね、左右の親指の先をつける法界定印、金剛界では金剛拳にした両手から立てて伸ばした左手の人差し指を右手の小指で握る智拳印を結んでいる。
法界定印が表すのはこの世の真理。智拳印が表すのは、菩提(悟り)と煩悩(迷い)は本質的には同じであるという大乗仏教の教え、煩悩即菩提を表している。真言密教では、そうして異なる姿の大日如来を対とし、一体とすることで、胎蔵界と金剛界は根源的には一体であり、その教えはふたつでひとつのものである(金胎不二)ことを表している。
金剛界を解剖!
金剛界曼荼羅は9の「会」でできています。
「会(え)」と呼ばれる9の区画からなり、1461尊が描かれている。悟りに至るまでの9段階を説いており、九会(くえ)曼荼羅とも呼ばれる。
1.成身会(じょうじんえ)
大日如来を中心に四如来などが描かれる、金剛界曼荼羅で最も重要な会。
2.三昧耶会(さんまやえ)
成身会の内容を、諸尊それぞれの三昧耶形で表したもの。
3.微細会(みさいえ)
成身会の内容を、三鈷杵(さんこしょ)の光背をもつ尊像の姿で描く。
4.供養会(くようえ)
成身会に描かれる諸尊が互いに供養し合う光景を描いている。
5.四印会(しいんえ)
成身会の内容を分かりやすく簡略化し、代表的な尊格のみで表している。
6.一印会(いちいんえ)
四印会をさらに簡略化し、成身会の内容を大日如来のみで表している。
7.理趣会(りしゅえ)
中心は金剛薩埵。煩悩をも悟りに高められると説く理趣経の教えを表す。
8.降三世会(ごうざんぜえ)
成身会などの菩薩の一部を不動明王、降三世明王などに置きかえている。
9.降三世三昧耶会(ごうざんぜさんまやえ)
降三世会の内容を、諸尊それぞれの三昧耶形で表したもの。