天然色素アスタキサンチンに記憶・学習向上効果
―記憶司る海馬の神経新生を促進する作用判明
:筑波大学(2015年12月22日発表)
筑波大学は12月22日、サケやイクラなどに含まれる天然色素で強い抗酸化力を持つ「アスタキサンチン(ASX)」を長期間摂取すると、記憶を司っている海馬の神経新生が促進され、学習記憶能力が向上することが明らかになったと発表した。アンチエイジングに効果的なサプリメントとしての利用が進むだけではなく、今回の研究成果をもとに関連の新薬の開発も期待できるという。
■サプリメントの利用促進や新薬開発も
赤い色素のアスタキサンチンは、老化や病気の元となる活性酸素を消去する抗酸化作用や、眼精疲労の回復効果などさまざまな作用があるとされ、サプリメントや健康食品、化粧品などに用いられている。
また、動物実験でアスタキサンチンに急性の脳損傷に伴う神経の炎症や死滅を防ぐ神経保護効果があることや、脳虚血に伴う記憶の低下を抑制する効果があることなどが報告されている。しかし、海馬機能に与える効果についてはこれまで明らかでなかった。
研究チームはアスタキサンチンが海馬機能にもたらす影響に的を絞り、さまざまな側面から調査、研究した。
実験ではまず、アスタキサンチンの濃度が異なる飼料(0.02%、0.1%、0.5%)と、プラセボ(偽薬)の混ざった飼料を大人のマウスに4週間与えた。海馬の神経新生は、細胞増殖の数(Ki67陽性細胞)と新生した細胞のうち神経細胞へと成熟した数(BrdU/NeuN陽性細胞)の数で評価を行った。
その結果、0.1%と0.5%濃度の飼料を与えたグループで海馬の細胞増殖数の有意な増加が認められ、そのうち0.5%濃度の摂取グループでは、新生細胞のうち神経細胞に成熟した数(新生成熟細胞数)の有意な増加が認められた。つまりアスタキサンチンの効果は濃度依存的であり、0.5%が神経新生を高める有効な濃度であることが分かった。

