第六章「正精進」締めくくり
日々は変わらず流れているように見えて、確かに変わっていた。
トシの内面で、何かが根を張りはじめていた。
慌ただしい通勤電車の中、職場での何気ない会話、コンビニのレジで並ぶ時間――
それまで“ただ過ぎていくだけ”だった瞬間に、トシはふと心を向けることが増えた。
「この瞬間に、心を置いていられるかどうか」
そう意識することが、いつしかトシの日々の実践になっていた。
師匠の言葉が思い出される。
「正精進とは、外の行いだけではない。
心が、どこに向いているかを知ることだ。
そして、“今”という一瞬に命をかけられるようになることだよ」
ある夜、トシは帰宅後、机の上のメモ帳に一行だけ書いた。
「精進は、今を生きる力に変わる」
その言葉を書き終えたとき、不思議と心が澄んでいた。
静かに目を閉じると、自分の呼吸の音が、遠くから聞こえるように感じられた。
「……そうか。これが、“正念”の始まりなんだな」
第七章「正念」への導入
その夜、トシは眠る前に、ろうそくの火を灯した。
炎がわずかに揺れるたび、影が部屋の壁を静かに移ろっていく。
呼吸を深くしながら、その炎をじっと見つめる。
「今ここに、心を置く。何も追わず、何も拒まず。ただ、在る」
“正念”とは、まさにこの在り方なのだろう。
明日からは、そこへ足を踏み入れていく。
これまでの努力を土台に、「気づきの力」としての精進が、新たなかたちを取ろうとしていた。
「見ること」「聞くこと」「感じること」
そのすべてに、心がともにあるとき――
トシは、ほんとうの“目覚め”へと歩み始めるのだった。
このように、「正精進」を深めた末に、「正念」――すなわち「今この瞬間に心を据える」という次の段階へ自然にバトンを渡していけます。
次章「正念」では、たとえば:
トシが「気づき」の修行を実践する日常(食事・歩行・仕事中など)
心が離れるときと戻るときの“差”に気づく体験
師匠からの「気づきの問いかけ」や「観想」の指導
気づきによって見えてくる他者への慈しみや苦しみの理解
…といったテーマが扱えます。
このまま**第七章「正念」**の本文に入っていく形でも可能です。
ご希望があれば、冒頭から一緒に書き始めましょうか?
